ある日、いっきに花ひらく
お花って「あ、つぼみが!」と気づいたら・・・ある日いっきに花ひらきます。
わたしの祖父は石職人で、祖父母の家は石を切り出す山の中にありました。
山深いので、春が遅くて、4月はほぼ冬。
でも、GWに差しかかると、梅も桜もいっきに咲きはじめて、チューリップもライラックも満開に!
もちろん開花のスピードはそれぞれに違うのですが、はたから見ていると、ある日いっきに景色が変わって、桃源郷ってこんな感じ?というくらいの美しさでした。
でも、それまでの間って、空気も冷たくて、木も草も土もシーンとしていて
そこにあることすら忘れてしまうくらい。
じゃあ、その間は何も起きていなかったかというと、そうではない。
土も草木も粛々(しゅくしゅく)と準備をしていました。
幹の中ではいろんなものが巡っていて、花芽のための準備が進んでいて、雪で折れた細い枝の断面は、生きている強い色をしていました。
それって、人も一緒だなあと思うのです。
花ひらくまでの準備期間は、地味で、外目にはなかなかわからなくて、だいぶ孤独。
何にも進んでいないように感じることもある。
この作業やこの1時間が、どこにつながるんだろう?とも思う。
でも、この、人は知らない、ともすれば本人でさえ忘れてしまいがちな、冬の時間をすっ飛ばしてしまったら、花芽はつかない。
一つひとつのプロセスと準備がなかったら、つぼみが花ひらくこともない。
今、あるテーマで花ひらいていても、次のフェーズが見えてきた時に、やっぱりまた冬のプロセスが必要になる。
冬こそ、はじまりの季節。
今が準備の時期だとしたら、何を考え、何をして過ごすか・・・
未来の花や実りを思って?
いまココのプロセスに夢中になって?
今日は何をやり切れる?
「うーん、進んでいないぞ!」という時、わたし自身も、ぐーっとカメラをひいて、冬の時間を見つめています。