自分らしさに輝いて生きる「オハナ」を広げたい:ほそかわのりこさん(2)
自分の中でエネルギーが変わりはじめた
「このままではいけない」という決心
—— のりこさんは、もともとどんなきっかけでセラピーを始められたのでしょうか?
のりこ:いちばん初めにカラーセラピストの講座を受けたのが、2014年の夏。当時は子育てやパートナーシップにすごく悩んでいて、「なんでわたしばっかり」ってイライラすることが多かったんです。
子どもが食べ物にアレルギーがあったので、授乳期から離乳期にかけては、わたしも粟とか稗とかを食べる雑穀生活をしていたの。ふつうに売っているパンやおやつも食べられなくて、外食にもいけない。少し大きくなっても、車の中ではいつも子どもたちの好きな曲が流れていて、テレビも子どもや旦那さん優先。わたしが「仕事したいな、外に出たいな」って話しても、旦那さんは家事と育児に専念しろって言って自分は仕事ばかり。平日はそれこそシャワーを浴びて寝るために帰ってくるだけ。わたしは友達と遊びに行くにも許可が必要で、出かける時はごはんも何も全部準備しなければならなかったのに、旦那さんは休日はゴルフに行ってしまう。
本来わたしは、明るくてポジティブで好奇心旺盛で、あれもやってみたい、これもやってみたいって子だったのに、自分らしさをすっかり失ってしまって、何をしたいのかも、何が好きなのかもわからないくらい自分を見失ってしまっていたの。
わたしの心がもうどうにもならない状態になっちゃって、実はカラーセラピーを学ぶ前には別居もしてたんです。半年くらい実家で暮らしていた時期がありました。
—— そんな時にどうしてカラーセラピーを?
のりこ:母親のわたしが不安定な状態だったから、子どもたちにも影響が出て、とても繊細になってしまっていたの。ちょうど上の子が中学校に入ったくらいだったのだけど、娘が「大人になりたくない、恋愛も結婚もしたくない」って言ったんです。どうしてって聞いたら「ママ、大変そうだから」と答えたのを覚えてます。それを聞いて「わたしをみてそう思ったんだ、このままではいけない。もう自分を立て直して行かなければ」と気づかせてもらったの。何か自分を癒す方法はないかなって思った時に、カラーセラピーに出会いました。
前にエステティシャンの仕事をしていたことがあって、施術で人を癒すことに喜びと自分自身の癒しも感じていたんですよね。インターネットで「癒し」「習い事」「資格」みたいなキーワードで検索したら、「TCカラーセラピー」という日本発祥のカラーセラピーが出てきて、それに惹かれたの。美しい14色のカラーボトルとテキストがセットで、全5時間でセラピストになれるという講座でした。しかも1万9千円でとっても安くて、これなら挑戦できると思ったの。
喜びをライフワークに
のりこ:軽い気持ちで始めたのだけれど、自分がやってみて、驚きました。色を通して自分が感じていること、自分も知らなかった本当の気持ちに気づいて、それだけで自分のエネルギーが高まるのを感じたんです。お友だちにもさせてもらったら、彼女たちも自分が選んだ色を通して、同じように本当の気持ちに気づいて、希望を見出だすことができたの。まさにその瞬間に立ち会って、これはすごいことだなと実感したんです。
もともとは自分を整えるためというのがきっかけで、その後はお友だちとかその知り合いにさせてもらうくらいでした。でもその後、友人のご実家が経営されている保育園で福利厚生の一環として、職員の方たち20〜30人にカラーセラピーをさせてもらう機会をいただいて、それがセラピストとしての本当のスタートになりました。
—— お仕事として始めてみて、いかがでしたか?
のりこ:カラーセラピーによって、お客さまが自分の思いや気持ちに気づくのをサポートできることに感動や喜びを感じました。ただ、いまお話した保育園での時のように、ご本人にお金がかかっていないような場合、興味本位で来られる人は、わたしのフィードバックを聞いても「ふーん」という感じで、本当に自分に向き合いたいと思って来る人は、わたしの伝えた色のメッセージを受けとって真剣に応えてくださるという違いも経験しました。
受ける人のマインドによって、セッションの内容もその方が受けとるエネルギーも全然変わってくる。ご自身にコミットしていただくためにも、お金をいただくことが必要だな。そうでないと、わたしが疲弊してしまう。責任も伴うけれど、お金をいただくのは大切なことなのだと、サポートの喜びだけでなくて、現実的な部分として、仕事として提供することの大事さも学ぶことができました。
深い癒しの中から生まれた変化
—— カラーセラピーも、そのあと学ばれた星読みや数秘も、ご自身のことを知るプロセスでもありますよね?のりこさんには、どんな変化がありましたか?
のりこ:星読みでは、わたしは自分らしさを表す7天体のうちに4つもおうし座があるの。おうし座のテーマは、愛とか、人に尽くすこと、おいしいものや美しいものを味わって五感を満たすとか、人と繋がることで安らいだり意欲が湧くとか。
それまでわたしはずっと、他人軸というか、人のためにばかり考えて、自分をつい後回しにしてしまうことに悩んでいたの。でも、星を読んですごく納得しました。わたしって、人のために何かをすることで、ものすごく自分の心が穏やかになったりやる気がでたり、誰かを輝かせることで自分が輝くことにも気づいたんです。今までダメだと思っていたことが、実は才能でもあるんだということを知れたのは、とても大きかったです。
知ったことでものすごく強い癒しが起こったんですよね。「そうか。この苦しみは、こういう星の元に生まれたからなんだ!」って、いい意味で諦めることができました。自分を変えなければいけないって、ずっと戦ってきたけれど、そうでなくてこの才能を活かしていけばいいのだって気がつくことができて、とても嬉しかったの。そこから自分の中でエネルギーが変わってきました。
—— のりこさんに変化があったことで、ご家族にも影響があったんでしょうか?
のりこ:少しずつ、家族との関係がよくなっていきました。カラーセラピーを始めたころは、家族にも「なにそれ?」とか「色で何がわかるの、怪しいんじゃないの?」とかって言われました。それまでだったら、そんな風に反対されたら、どうしようって悩んだと思うのだけれど、カラーセラピーや心理学、スピリチュアリティや精神哲学を学んで、自分を愛する大切さを知っていたから、自分がやりたいことをやるという本当に強い意志を持つことができていたの。やりたいことを諦めるのではなくて、「どうしたら続けられる?」「どうしたら心地よい状態に持っていける?」って考えながら、少しずつ、いろいろな場面で、何年もかけてトライしていきました。
カラーセラピーの活動でいろいろな方のお話を聞くことで、わたしにも気づきがあって癒される。そうすると自分がどんどん高まっていって、やってみたいことが次々出てきて、自分らしさが戻ってきた。そういうわたしをたぶん魅力的に感じるようになったのだと思うの。「楽しそうだね」「キラキラしてる」って、旦那さんと子どもたちの気持ちが戻ってきたのよね。
—— ご家族への関わり方が変わっていったのでしょうか?
のりこ:そう、まず自分を受容することができました。ご飯が作れないことや家事が苦手なこと、ママなのに泣き虫なところ、ダメだと思っていたところも、どんな自分も認めることができるようになって、家族や周りの人のことを理解する余裕ができてきました。セラピストとして人の感情についての勉強をする中で、いわゆる「二次感情」、怒りや悲しみの下には、本当はこうしてほしかったという別の思いがあるということも知りました。だから、あの時旦那さんが言ったことの根底には、わたしへのこんな気持ちがあったんだなって、振り返って理解することができたの。
自分の本当の気持ちに気がつくことで、癒しが生まれて自分の心が満たされていって、だからこそ、相手の背景に目を向けることができる。相手について自分なりに理解することができるから、歩み寄ることができる。そこからお互いを理解しようとする関係になってきました。理解したから許せるかというと、それはまた別のプロセスで、時間をかけて昇華させていく必要があるのかなと思います。今でも細かく細かく揺り戻しがあって、自分の好きなことをするのに罪悪感を感じてしまうこともあるのだけれど、少しずつ少しずつ手放していっています。それも、まず相手を理解することができたというのがすごく大きな転換でした。
(インタビューはオンラインにて2021年5月29日に行いました)
*写真はすべてのりこさん提供