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チャーハンの美学 〜美味しい文章〜

「良い文章ってどんな文章?」と聞かれたら
「美味しいチャーハンのような文章」と答えたくなります。

プロフィールを含め、文章を書くことも編集させていただくことも多いのですが、最終形としてもっているイメージは、いつも「美味しいチャーハン」です。

なぜチャーハン?

なぜチャーハンかというと・・・小学生の頃に読んだ『美味しんぼ』という料理マンガに遡ります。

小学生の頃、祖父母の家の叔父の本棚には料理マンガ『美味しんぼ』の単行本が、50冊くらいずらりと並んでいました。

主人公は、ふだんはぐーたら、でも料理のこととなると、驚くほどの知識を持ち、急にきれっきれになる新聞記者の山岡さん。
彼と新人記者の栗田さんのコンビを軸に、展開していくこのお話。
面白いだけでなくて、毎回登場するお料理がほんとにおいしそうで、座り込んだまま2、3巻くらい一気に読んでいた記憶があります。

詳しくはもう記憶の彼方なのですが、ある事情を背景に、山岡さんと中華料理人とが、どちらが美味しいチャーハンを作れるかを競うエピソードがありました。

高級な食材をつかって、この上なく豪華なチャーハンを仕上げた中華料理人に対し、山岡さんが作ったのは、長葱と卵とかくし味くらいのごくごく簡素なチャーハン。
でも、食べくらべた一同は、山岡さんに軍配をあげます。

びっくりした中華料理人に、山岡さんは、チャーハンの美味しさとは何かを問いかけます。
そして、米の飯の美味しさを味わうのが、チャーハンのいちばんの目的だと言って、中華料理人に、料理の心構えの原点を思い出させるのです。

このお話は、子どものわたしにも、ものすごい衝撃でした。

いちばんの目的を忘れないこと、シンプルな原点に立ち返る大事さを教えてもらった気がします。

チャーハンの美学

このエピソードは、わたしが何かをつくったり、書いたりする時に、何度も思い出す大事な指針にもなっていきました。

わたしたちは、すてきな言葉やおもしろい言い回し、上手い!と思う例えやエピソードを知ると、文章や話の中でつい使ってみたくなります。
わたし自身もです・・・

でも、伝えたいメッセージがある時に、その存在感のある具材がいちばんの目的を邪魔していないかは、要チェックポイント。

ほんとうに伝えたいこと、核となるメッセージこそ、チャーハンでいえばお米の飯です。
豪華な食材や「おっ!」と感じる素材でも、具がごろごろ多すぎるチャーハンは、お米を味わうチャーハンではなくなっているかもしれません。

もちろん、それぞれの具材にはそれぞれの美味しさがあります。
でも、具材の旨みや香りがお米に絡みながらも、感じるのはお米の美味しさ!!

という方が、読み終えた時に、いちばんのメッセージが心に残る文章なのではないでしょうか。



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