嫉妬を「かくし味」にする
すこし前に、嫉妬には他者の状況や持ちものを通して、自分の「欲しい」「なりたい」が映し出されている、という記事を書きました。
自分の中の嫉妬をどう扱う?という視点から、もう一歩踏み込んでみます。
「憧れ」の変化形は扱いやすい
嫉妬が「憧れ」の変化形なのだと感じられていたら、まだ扱いやすいと思います。
「わたしもあんな風になりたい!」と羨ましく思える範囲なら、自分も何かしらの形で届く可能性がある人だということ。
その要素を分析して、真似したり、取り入れられることもたくさんあるはずです。
「あんな風にキレイになりたい!」なら、その人の「キレイ」の要素を分解してみて、姿勢や歩き方を意識したり、ファッションや仕草を真似してみる、などなど。
ちょっと厄介なのは、「イラッとする」とか「目障り(見たくない)」という形でやってくる嫉妬です。
「みんなはちゃんとしてるのに、あの人だけ時間にルーズでイライラする」
「あの人、すごい細かいところを指摘してくるから、嫌なんだよね」
などという時
なんでイライラするのかな?なぜこんなに嫌な感じがするのだろう?と考えてみると・・・どうでしょうか?
これは本音の「こうしたい」を抑えている時の、裏返しの嫉妬でもあります(自分も、本音では〇〇したい!)。
わたしの例なら、ルールを守って誠実にありたい自分が、ゆるく自由にやりたい自分を隠しているときに、抑えられた方の自分の欲求が、イライラや目障りという感覚として吹き出してきている。
細かいところを指摘してくる人が嫌ならば、細かいところを言われた時にイタタ!と感じるくらい、自分にも、細部も大事で、間違いなくやりたいと思ってところがあるからなのです。
裏返しの「憧れ」をひとつまみ
裏返しの嫉妬が出てきた時は、抑えられている方の「憧れ」をかくし味にできないかと考えてみます。
あんこを炊くにはお砂糖を山盛り入れますが、ほんのひとつまみだけ、お塩を入れます。そうすると、甘さがきりっと引き立つだけでなく、立体的な味わいのあるあんこになるからです。
炒め物やスープがちょっと塩辛いという時に、ほんの少しお酢やレモン汁を入れると、塩味が中和されて、ぐっとまろやかになるのも、かくし味。
このかくし味のイメージで、ちょっとだけ、隠されていた方の要素を行動に取り入れてみる。
華やかでバブリーなお金の使い方をしている人が、なんだか嫌な感じがするなら、それだけ自分が堅実なお金の使い方や節約志向に傾いているのかもしれません。
そんな時は、ちょっとだけ、実用ではないけど嬉しいもの、気分が上がるものを買ってみる。
細かい点を指摘する人が気にさわるなら、「ものごとはフレキシブルじゃないと!」という思いが強いのかもしれません。
ちょっと気をつけて細部までチェックしてみる。あるいは、なにか別の分野で小さなことが気になってしまう自分にOKして、それを出してみる。
このかくし味は、その人の人間性をより魅力的にしてくれるのではないかなと思います。
わたしは、自分なので客観的には見えませんが、これを職場で意識するようにしてからは「相談しやすい」と言ってもらえることが増えました。
少なくとも、今まで嫌だった相手を見る目のこわばりが和らぎます。
そしてなにより、「ダメ!」と抑えつけられていた、もう一人の自分がラクになります。