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「オソイホド ハヤイ」の秘密

サクサクはやく進むこと、スムーズでとどこおりがないのが、多くの場合は「良いこと」とされています。

でも、これまでとは違う世界に入り込んで行くときには
「オソイホド ハヤイ」ということもあるようです

ミヒャエル・エンデの『モモ』は、時間どろぼうに盗まれかけた人々の「時間」を、人間の一人ひとりの人の手の中に、とりもどした、女の子モモの物語。わたしにとっては、小さい頃からどれだけ読み返しているかわからない、永遠のバイブルです。

人間の時間を取りもどすために、亀に案内されて時の番人に会いにゆくモモ。その道中はなぜか、亀のカシオペイア曰く「オソイホド ハヤイ」。ゆっくり歩けば歩くほど、はやく進みます。

成績や売り上げを上げたいとき
新しいことを学びはじめたとき
恋人がほしいとき
何か形にしてみたいことがあるとき

私たちは、はやく上手くいってる状態になりたくて、方法を学んだり、時短のコツをつかもうとがんばる。
それ自体は必要で大切なことなのですが、「オソイ」が肝心なこともある。

それは、その過程で見るべきものを見る、感じるべきものを感じ、経験するための遅さ。

かつて何かをあきらめたときの絶望とか、いつか蓋をした悲しみとか、いま感じながらもしまい込んでいる怒りとか、ほんとうに叶えたいことへのむき出しの思いとか・・・

思い描いていた速さで実現しない、今すぐ欲しいのに手に入らない、なかなか形にならないことに、すごく焦りを感じるのが、私を含めて、人の性なのだとは思います・・・(書いていて我ながらズキリ!)。
はやく結果がほしいし、次に進むためにも、まずは達成感を感じたくなる!

でも、今、経験するよう促されていることは、すっとばそうとしても、また戻ってくるし、
上手く進まないときは、自分もそこに「何か」みるべきものがあるのを、実は知ってたりします

「オソイ」のは、自分の今をつくっているものを、見ていくため。
そしてそれを等身大に受け止めて、未来へのエネルギーに変えていくことで、実は「ハヤク」進んでいくことになるのだと思っています。

最近、自分自身にもですが、お客さまに伴走するときにも、この言葉を思い出して、オソイけれどハヤク、じわりじわりと進めています。




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