見出し画像

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

良岑宗貞(僧正遍照)

五節の舞姫を見てよめる

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

(あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん)

 五節の舞姫を見て詠んだ歌

風よ
天には道があるのかもしれないが
雲を飛ばしてしまえばそんなものもなくなるはずだ
勢いよく吹いて帰り道を分からなくしてくれないか
彼女たちを天へ帰したくない
もうしばらくここにいて私たちのそばで舞い続けていてほしいから

五節の舞…陰暦11月の新嘗祭(しんじょうさい、にいなめのまつり)、大嘗祭(だいじょうさい、おおなめまつり)の翌日に宮中で行われた豊明節会(とよあかりのせちえ)という儀式と宴会で舞われた、女性による舞。舞姫は4、5人だそうです。未婚女性。
天つ風…天の風。天から吹く風。「つ」は、の。まつげ(目つ毛)の、「つ」。まつげは目の毛。
雲の通ひ路…雲の中にあると考えられていた、天上界と地上界をつなぐ道で、その道を通って天女が地上に降りて来たり、天上に上がって行ったりする。

良岑宗貞 僧正遍照

出典 古今和歌集、百人一首12番歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?