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ハムレット|ウィリアム・シェイクスピア|※ネタバレ注意※
第1幕
第1場 エルシノア。城の前の広場
エルシノア城の城壁の上で、夜警の交代が行われている。バーナードが到着し、フランシスコと交代する。その後、ホレイショーとマーセラスも加わる。彼らは最近目撃された亡霊について議論を始める。
ホレイショーは最初、亡霊の存在を疑っていたが、突如として亡霊が現れる。亡霊は亡くなったデンマーク王の姿をしており、三人の男たちを驚かせる。ホレイショーは亡霊に語りかけるが、亡霊は何も言わずに立ち去ってしまう。
亡霊の出現に動揺した三人は、この出来事の意味について話し合う。ホレイショーは、この亡霊の出現が国家の危機を予兆しているのではないかと推測する。
マーセラスは、最近の軍事的な準備について疑問を投げかける。ホレイショーは、若いノルウェー王子フォーティンブラスが、かつて父親が失った領土を取り戻そうとしているためだと説明する。
その後、亡霊が再び現れる。ホレイショーは必死に亡霊に語りかけるが、亡霊は今回も沈黙を保つ。鶏の鳴き声とともに亡霊は消え去る。
三人は、この出来事をハムレット王子に報告することを決意する。亡霊が王子には何か話すかもしれないと考えたためだ。夜明けとともに、彼らは見聞きしたことをハムレットに伝えるため、城へと向かう。
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graph LR
A[ハムレット<br>デンマーク王子] -->|息子| B[亡王の亡霊<br>ハムレットの父]
A -->|息子| C[ガートルード<br>王妃]
A -->|甥/敵対| D[クローディアス<br>デンマーク国王]
A -->|親友| E[ホレイショー]
A -->|恋愛対象| F[オフィーリア]
B -->|殺害される| D
C -->|再婚| D
F -->|娘| G[ポローニアス<br>宮内長]
F -->|妹| H[レアティーズ]
G -->|父| H
G -->|忠臣| D
H -->|敵対/和解| A
I[ローゼンクランツ<br>ギルデンスターン] -->|スパイ| A
I -->|雇われる| D
K[フォーティンブラス<br>ノルウェー王子] -->|最終的な後継者| D
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style B fill:#99FF99,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style C fill:#9999FF,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style D fill:#FFFF99,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style E fill:#FFB366,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style F fill:#FF99CC,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style G fill:#99CCFF,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style H fill:#CC99FF,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style I fill:#FFD699,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
style K fill:#99FFCC,stroke:#333,stroke-width:2px,color:#000
```
第2場 エルシノア。城内の謁見の間
デンマーク国王クローディアスは、亡き兄の死から間もない中、宮廷で演説を行う。彼は悲しみと国家の責務のバランスを取りながら、亡王の妻だったガートルードと結婚したことを説明する。また、若いノルウェー王子フォーティンブラスの脅威について言及し、その対策としてヴォルティマンドとコーネリアスをノルウェーに派遣する。
その後、クローディアスはレアティーズの願いを聞き入れ、フランスへの帰国を許可する。続いて、喪に服すハムレット王子に対し、過度の悲しみを諫める。ガートルードもハムレットに慰めの言葉をかけるが、ハムレットは深い悲しみを隠そうとしない。
一同が退場した後、ハムレットは独白で自身の苦悩を吐露する。母の早すぎる再婚と、叔父への嫌悪感を語る。
そこへホレイショーらが現れ、亡王の亡霊を目撃したことを報告する。驚いたハムレットは詳細を聞き、その夜自ら亡霊を見るため城壁に向かうことを決意する。
第3場 ポローニアスの家の一室
ポローニアスの家の一室で、レアティーズとオフィーリアが会話をしている。レアティーズは旅立ちの準備を整え、妹オフィーリアに別れを告げる。彼は妹に連絡を絶やさないよう求める。
話題はハムレット王子に移る。レアティーズは、ハムレットの好意を軽く見るよう妹に忠告する。王子の愛は一時的なものに過ぎず、彼の地位ゆえに自由に結婚相手を選べないと説明する。オフィーリアの名誉を守るため、ハムレットの誘惑に注意するよう諭す。
オフィーリアは兄の忠告を心に留めると約束するが、兄自身の行動にも気をつけるよう促す。
そこへポローニアスが登場し、レアティーズに出発を促す。ポローニアスは息子に様々な人生の教訓を与える。自制心を持ち、友人を大切にし、争いを避け、人の話に耳を傾けることなどを説く。最後に「汝自身に誠実であれ」と諭す。
レアティーズが去った後、ポローニアスはオフィーリアにハムレットとの関係について尋ねる。オフィーリアがハムレットの好意を明かすと、ポローニアスは娘の判断力を疑問視する。ハムレットの愛の告白を信じないよう警告し、今後はハムレットとの接触を避けるよう厳しく命じる。オフィーリアは父の命令に従うことを約束する。
第4場 広場
真夜中のエルシノア城。城壁の上でハムレット、ホレイショー、マーセラスが寒さをこらえながら立っている。彼らは夜中の時刻を確認し、亡霊が現れる時間が近づいていることを語り合う。
突然、城内から祝宴の音が聞こえてくる。ハムレットは国王が酒宴を開いていると説明するが、この習慣を快く思っていない様子だ。彼は、この酒宴の習慣がデンマークの評判を落としていると嘆く。さらに、個人の欠点が全体の評価を損なうことがあると哲学的な考察を述べる。
そこへ亡霊が姿を現す。ハムレットは驚きながらも、亡霊に語りかける。亡霊の正体や意図を問いただし、なぜ墓から出てきたのかを尋ねる。亡霊はハムレットに近づくよう合図をする。
ホレイショーとマーセラスは危険を感じ、ハムレットを引き止めようとする。彼らは亡霊が危険な場所に誘導したり、正気を失わせたりする可能性を警告する。しかしハムレットは決意を固め、亡霊の後を追う。
ハムレットが去った後、ホレイショーとマーセラスは彼の身を案じる。デンマークの国に何か重大な問題があるのではないかと推測し、ハムレットの後を追うことを決意する。
第5場 城のより離れた場所
城の奥まった場所で、ハムレットと亡王の亡霊が出会う。亡霊は、自身が地獄の炎で苦しむ運命にあることを明かす。亡霊はハムレットに、自分が殺されたことを告げ、その復讐を求める。
亡霊は、クローディアスが毒を使って自分を殺害したと語る。眠っている間に耳に毒を注がれ、命を奪われたのだという。さらに、クローディアスがガートルードを誘惑し、王位を簡単に奪ったことも明かす。
亡霊はハムレットに復讐を促すが、ガートルードには手を出さないよう警告する。そして、夜明けが近づいたため、亡霊は立ち去る。
ハムレットは亡霊の言葉に衝撃を受け、復讐を誓う。そこへホレイショーとマーセラスが現れ、ハムレットの様子を尋ねる。ハムレットは二人に、今夜見聞きしたことを誰にも話さないよう誓わせる。
最後に、ハムレットは奇妙な行動をとるかもしれないが、それは演技だと二人に告げる。そして、時代が乱れていることを嘆きながら、三人は共に立ち去る。
第2幕
第1場 ポローニアスの家の一室
ポローニアスは従者レイナルドに金と手紙を渡し、パリにいる息子レアティーズの様子を探るよう指示する。ポローニアスは、レイナルドに対して巧妙な方法で情報を集めるよう助言する。まず、パリに滞在中のデンマーク人について尋ね、その中でレアティーズの知人を見つけ出す。そして、レアティーズについて「少し知っている」と装い、彼の悪癖について軽く触れる。ただし、息子の名誉を傷つけないよう注意を促す。
ポローニアスは、ギャンブルや飲酒、剣術、喧嘩、女遊びといった若者によくある過ちを例に挙げる。これらの噂を流すことで、レアティーズの知人から真実を引き出せると説明する。
その後、オフィーリアが慌てた様子で入ってくる。彼女は、ハムレット王子が乱れた服装で自分の部屋に現れたことを報告する。ハムレットは言葉を発さず、オフィーリアの顔を凝視し、深いため息をついて立ち去ったという。
ポローニアスは、これがハムレットの狂気の兆候であり、その原因はオフィーリアへの恋だと断定する。彼は、この事態を王に報告する必要があると判断し、オフィーリアと共に王のもとへ向かう。
第2場 城内の一室
クローディアス王とガートルード王妃は、ローゼンクランツとギルデンスターンを呼び寄せる。王はハムレット王子の様子が変わったことを懸念し、二人に王子の変化の原因を探ってほしいと頼む。王妃も協力を求め、二人は承諾する。
ポローニアスが登場し、ノルウェーからの使者が戻ったと報告する。さらに、ハムレットの狂気の原因を突き止めたと主張する。王はまず使者の報告を聞くことにする。
使者は、ノルウェー王がフォーティンブラス王子の軍事行動を止めさせたと報告する。フォーティンブラスはポーランドへの遠征に軍を向けることになり、デンマークを通過する許可を求めている。
ポローニアスは、ハムレットの狂気の原因が娘オフィーリアへの恋だと説明する。ハムレットからオフィーリアへの手紙を読み上げ、自分がオフィーリアにハムレットとの交際を禁じたことで王子が狂気に陥ったと主張する。
王と王妃は、この説を確かめるため、オフィーリアとハムレットの会話を盗み聞きすることに同意する。そこへハムレットが登場し、ポローニアスと会話を交わす。ハムレットは意味深な言葉を口にし、狂気を装っているように見える。
ローゼンクランツとギルデンスターンがハムレットと再会する。ハムレットは二人が王に呼ばれてきたことを見抜き、デンマークが牢獄のように感じると告白する。さらに、一座の役者たちが城にやってきたことを知らせる。
ハムレットは役者たちを歓迎し、特定の台詞を朗読するよう頼む。その台詞は、トロイ戦争でのピュロスの残虐な行為を描写したものだ。ポローニアスはその長さに辟易するが、ハムレットは役者に続きを求める。
役者たちが退場した後、ハムレットは独白する。自分の優柔不断さを責め、父の仇を討てずにいる自分を卑下する。そして、役者たちに父の死に似た場面を演じさせ、叔父の反応を見ることで真相を確かめようと決意する。
第3幕
第1場 城内の一室
クローディアス王は、ハムレットの奇妙な行動の原因を探ろうとしている。ローゼンクランツとギルデンスターンは、ハムレットが混乱していることを報告するが、その理由は分からないという。王妃は、役者たちが宮廷に来ていることを知り、ハムレットの気を紛らわせるのに役立つかもしれないと考える。
ポローニアスは、ハムレットの狂気の原因がオフィーリアへの恋であると推測する。王は、この推測を確かめるため、オフィーリアとハムレットの会話を密かに観察することを提案する。
ハムレットは独白の中で、生きるべきか死ぬべきかという深い哲学的な問いに悩む。そこへオフィーリアが現れ、ハムレットから贈られた品々を返そうとする。ハムレットは激しい言葉でオフィーリアを拒絶し、修道院に行くよう命じる。
オフィーリアは、かつての理想的な紳士であったハムレットの変貌ぶりに深く傷つく。一方、王とポローニアスは、ハムレットの狂気の原因が恋愛ではないと結論づける。王は、ハムレットをイギリスに派遣することを決意する。
第2場 城内の広間
ハムレットは城内の広間で、役者たちに演技の指導をしている。彼は自然な演技を心がけるよう求め、感情を抑制しつつも表現力豊かな演技を推奨する。過剰な演技や、観客の笑いを誘うためだけの即興的な演技を戒める。
ポローニアス、ローゼンクランツ、ギルデンスターンが入場し、王と王妃が劇を観覧する予定だと伝える。ハムレットはホレイショーに、劇中の特定の場面で王の反応を注意深く観察するよう依頼する。
劇が始まり、無言劇が上演される。内容は王が毒殺され、王妃が殺害者と再婚するというものだ。ハムレットは観客に劇の内容を説明し、特に王の反応に注目する。
本編の劇が始まると、王と王妃が登場し、互いへの愛を誓い合う。しかし、王が眠り込むと、別の男が現れて王に毒を注ぐ。王が目を覚ますと、劇中の王妃は再婚を拒否する誓いを立てる。
ハムレットは王クローディアスの反応を観察し、彼の動揺を確認する。クローディアスは突然立ち上がり、劇の中断を命じて退出する。この反応から、ハムレットは叔父の罪を確信する。
劇が中断された後、ローゼンクランツとギルデンスターンがハムレットに近づき、王の怒りを伝える。ハムレットは彼らの意図を見抜き、自分を利用しようとしていると非難する。
ポローニアスが現れ、王妃がハムレットとの面会を望んでいると伝える。ハムレットは雲の形について冗談を言い、ポローニアスをからかう。
最後に、ハムレットは一人残り、これから母親と対面する決意を固める。彼は自制心を保ち、感情的にならずに母親と話をしようと自らに言い聞かせる。
第3場 城内の一室
クローディアス国王は、ハムレット王子の狂気が危険だと判断し、ローゼンクランツとギルデンスターンにイングランドへの護送を命じる。二人は王の安全を守るため、この任務を引き受ける。
ポローニアスが登場し、ハムレットが王妃の部屋に向かっていることを報告する。彼は壁掛けの陰に隠れて会話を盗み聞きする計画を告げる。
クローディアスは一人になり、自らの罪の重さに苦しむ。彼は兄弟殺しという重大な罪を犯したことを認め、祈りを通じて罪の許しを求めようとするが、王位と王妃を手に入れた利益を手放す気はない。
そこへハムレットが現れる。彼は祈るクローディアスを目にし、復讐の機会だと考える。しかし、祈りの最中に殺せば天国へ送ることになると思い直し、もっと適切な機会を待つことにする。
クローディアスは祈りを終えるが、真の悔い改めができないことを自覚している。彼の言葉は天に届かず、思いは地上に留まったままだった。
第4場 城内の別の一室
ハムレットがガートルードと対面する城内の別室。ポローニアスは王妃に、ハムレットの行動を厳しく咎めるよう助言する。ハムレットが到着すると、ポローニアスは壁掛けの陰に隠れる。
母子の対話は険悪な雰囲気で始まる。ハムレットは母の再婚を非難し、ガートルードは息子の態度を咎める。議論が白熱する中、ハムレットは母を座らせ、彼女の行動を厳しく糾弾する。
突然、ポローニアスが助けを求める声を上げる。ハムレットは「鼠か」と叫び、壁掛けを刺す。ポローニアスが倒れ、その場で息絶える。ガートルードは息子の行動に驚愕するが、ハムレットは悔いる様子を見せない。
ハムレットは亡父と叔父の肖像を比較しながら、母の再婚を痛烈に批判する。ガートルードは息子の言葉に心を痛め、もう聞きたくないと懇願する。
そこへ亡王の亡霊が現れる。ハムレットは亡霊と会話するが、ガートルードには亡霊が見えない。彼女は息子が狂気に陥っていると思い込む。亡霊はハムレットに、母を責めすぎないよう諭す。
亡霊が去った後、ハムレットは母に悔い改めるよう説得する。彼は自身のイギリス行きについて触れ、ローゼンクランツとギルデンスターンへの不信感を表明する。最後に、ポローニアスの遺体を引きずりながら退場する。
第4幕
第1場 城内の一室
クローディアス王とガートルード王妃が、ローゼンクランツとギルデンスターンを呼び寄せる。王は、ハムレットの様子がおかしいことを心配し、その理由を探ろうとしている。
王妃は二人を下がらせ、ハムレットの異常な行動について王に報告する。ハムレットは狂気の中、カーテンの陰で物音を聞きつけ、「ねずみだ」と叫んでポローニアスを刺殺したという。
クローディアス王は、ハムレットの自由な行動が周囲に脅威を与えていると懸念を示す。王は自分たちの愛情ゆえにハムレットの行動を制限しなかったことを後悔する。
ガートルード王妃は、ハムレットが殺害した遺体を引きずり出したと伝える。クローディアス王は事態の深刻さを認識し、即座にハムレットを国外に追放する決意を固める。
王はローゼンクランツとギルデンスターンを呼び戻し、ハムレットを探し出して遺体を礼拝堂に運ぶよう命じる。その後、王妃と共に賢明な者たちを集め、この事態への対処法を協議しようとする。
第2場 城内の別の一室
城内の別の部屋でハムレットが一人でいると、ローゼンクランツとギルデンスターンが彼を呼ぶ声が聞こえる。二人が入ってくると、ハムレットが死体をどうしたのか尋ねる。ハムレットは曖昧な答えをし、チャペルに運ぶよう求める二人の要求を拒否する。
ハムレットは自分の秘密を守れないと言い、王の寵愛を受ける者を「海綿」に例える。王に都合よく利用され、必要がなくなれば捨てられる存在だと皮肉る。ローゼンクランツがその意味を理解できないと言うと、ハムレットは「愚か者の耳には悪賢い言葉も届かない」と返す。
二人が死体の場所を明かし王の元へ行くよう迫ると、ハムレットは「死体は王とともにあるが、王は死体とともにない」と謎めいた言葉を口にする。最後にハムレットは「王は無に等しい」と言い放ち、三人は退場する。
第3場 城内の別の一室
クローディアス国王は、ハムレット王子の行動に懸念を抱いている。王子が自由に動き回ることは危険だが、民衆に人気があるため厳しい処置も取れない。そこで国王は、ハムレットをイングランドへ送る決断をする。
ローゼンクランツが登場し、ポローニアスの遺体の在処が分からないと報告する。国王の命令でハムレットが連れてこられる。ハムレットは皮肉めいた言葉でポローニアスの死を匂わせるが、遺体の場所を明かさない。
国王はハムレットにイングランド行きを告げる。ハムレットは表面上従順な態度を見せるが、国王の真意を察している様子。国王は側近たちにハムレットを急いで船に乗せるよう指示する。
ハムレットが退場した後、国王はイングランド宛ての密書について独白する。その内容は、イングランドがハムレットを処刑するよう要請するものだった。国王は、自身の平穏のためにはハムレットの死が必要だと考えている。
第4場 デンマークの平原
デンマークの平原にて、ノルウェー軍のフォーティンブラス王子が部下に命じ、デンマーク王への伝言を託す。王の許可を得て王国を通過する約束の履行を求めるものだ。
そこへハムレット王子が現れ、通りがかった兵士に軍の目的を尋ねる。ポーランドの一部への進軍だと知り、さらに詳細を問う。兵士は、わずかな土地のために多くの兵と財を費やす無意味さを語る。
ハムレットは仲間と別れ、独白を始める。自身の復讐の遅さを嘆き、行動しない自分を責める。父を殺され、母を汚された自分が何もせず、一方でフォーティンブラスは些細な名誉のために大軍を率いて進軍している。この対比に刺激され、ハムレットは今後血なまぐさい思いで行動することを決意する。
第5場 エルシノア。城内の一室
城内の一室で、王妃ガートルードは狂乱状態のオフィーリアとの面会を拒んでいる。しかし、オフィーリアの様子を聞いた王妃は面会を許可する。オフィーリアは入室すると、意味不明な歌を歌い始める。その歌は死や裏切りを暗示する内容だ。
クローディアス国王が到着すると、オフィーリアの狂気はさらに激しさを増す。彼女は花を配りながら、各々の花に意味を付与していく。その後、オフィーリアは退出する。
クローディアスは、オフィーリアの狂気の原因がポローニアスの死にあると指摘する。さらに、ハムレットの国外追放や、ポローニアスの秘密裏の埋葬など、最近の出来事が国民の不安を煽っていると懸念を示す。
突如、騒ぎ声が聞こえ、レアティーズが武装した群衆を率いて乱入してくる。彼は父ポローニアスの死の真相を追及し、復讐を誓う。クローディアスは冷静に対応し、レアティーズの怒りを鎮めようとする。
そこへ再びオフィーリアが現れ、さらに狂気が進行した様子で歌を歌う。レアティーズは妹の状態を目の当たりにし、さらに激怒する。クローディアスはレアティーズに真相を明かすことを約束し、二人で話し合うことを提案する。
第6場 城内の別の一室
城内の一室でホレイショーと従者が会話している。従者は、ホレイショーに会いたがっている水夫たちがいると告げる。水夫たちが手紙を持っているというので、ホレイショーは彼らを部屋に入れる。
水夫の一人がホレイショーに手紙を渡す。その手紙はイギリスに向かっていた使節から届いたものだという。ホレイショーは手紙を読み始める。
手紙の内容は、ハムレットからのものだった。ハムレットは海上で海賊に襲われ、捕虜となったことを伝えている。彼は海賊たちに慈悲深く扱われたと述べ、ホレイショーに急いで自分のもとに来るよう求めている。また、ローゼンクランツとギルデンスターンがイギリスに向かっていることも伝えている。
ホレイショーは水夫たちに、王への手紙を届けるよう指示し、自身もハムレットのもとへ急ぐことを決意する。
第7場 城内の別の一室
クローディアス王とレアティーズは城内の一室で密談している。王はレアティーズに、ハムレットが彼の父ポローニアスを殺害したことを明かす。しかし、王はハムレットを公に処罰できない理由を二つ挙げる。一つは王妃ガートルードがハムレットを深く愛していること、もう一つは民衆がハムレットを支持していることだ。
そこへ使者が到着し、ハムレットからの手紙を届ける。手紙にはハムレットが王国に戻ってきたことが書かれていた。王とレアティーズはハムレットの帰還に驚き、対策を練る。王はレアティーズに、ハムレットとの剣の試合を提案する。その際、レアティーズは毒を塗った剣を使うことになる。さらに、ハムレットが喉の渇きを覚えた時のために、毒入りの杯も用意することにする。
突然、王妃が現れ、オフィーリアの死を告げる。オフィーリアは川辺の柳の枝にのぼり、花輪を枝にかけようとしたところ、枝が折れて川に落ち、溺れてしまったという。この知らせを聞いたレアティーズは深い悲しみに暮れ、復讐の決意を新たにする。
第5幕
第1場 教会の墓地
墓地にて、二人の墓掘り人夫が仕事をしながら会話を交わす。彼らは自殺したとされる女性の埋葬について議論する。一人目の人夫は、自殺者がキリスト教式の埋葬を受けることに疑問を呈するが、二人目の人夫は検死官の判断により許可されたと説明する。
議論は自殺の定義や法的解釈に及び、一人目の人夫は言葉遊びを交えながら自説を展開する。彼らは身分の違いによる扱いの不平等にも言及し、墓掘りという職業の由来まで話題は及ぶ。
そこへハムレットとホレイショーが現れる。墓掘り人夫の歌と態度に、ハムレットは違和感を覚える。ハムレットは人夫と言葉の応酬を交わし、墓の持ち主や埋葬される人物について尋ねる。
人夫は掘り出した頭蓋骨を投げ上げる。ハムレットはその頭蓋骨を手に取り、生前の姿を想像し、死の平等性について思いを巡らせる。人夫の説明で、その頭蓋骨が宮廷道化のヨリックのものだと判明すると、ハムレットは幼少期の思い出を語り、生と死の対比に思いを馳せる。
突然、葬列が近づいてくる。ハムレットとホレイショーは身を隠し、様子を窺う。葬列の中心にいるのはオフィーリアの遺体だった。レアティーズが悲嘆に暮れ、墓の中に飛び込む。それを見たハムレットも墓穴に飛び込み、二人は激しく言い争う。
クローディアス王はハムレットの狂気を指摘し、王妃ガートルードはハムレットを落ち着かせようとする。ハムレットはオフィーリアへの愛を激しく主張し、レアティーズと対立する。最終的に二人は引き離されるが、険悪な雰囲気が残る。
クローディアス王は状況を収拾しようとし、ガートルード王妃はハムレットの様子が落ち着くまで見守ることを提案する。場面は、緊張と悲しみが入り混じった状態で幕を閉じる。
第2場 城内の広間
ハムレットとホレイショーが城の広間で対話している。ハムレットは、眠れぬ夜に船室で起きた出来事を語る。彼は無謀にもローゼンクランツとギルデンスターンの荷物を調べ、自分の処刑を命じる文書を発見した。ハムレットはその文書を書き換え、代わりに二人の処刑を命じる内容に変更した。
その後、オズリックという廷臣が登場し、王からの伝言を伝える。レアティーズとハムレットの剣術の試合が計画されており、国王が二人の腕前に賭けをしたという。ハムレットは試合を受け入れるが、ホレイショーは不吉な予感を覚える。
試合の準備が整うと、ハムレットはレアティーズに和解を申し出る。レアティーズは表面上は受け入れるが、心の中では父の仇を討つ決意を固めている。試合が始まり、ハムレットが優勢に立つ。クローディアス王は毒入りの杯をハムレットに勧めるが、ハムレットは断る。代わりにガートルード王妃がその杯を飲んでしまう。
レアティーズは毒を塗った剣でハムレットを傷つける。もみ合いの中で剣が入れ替わり、今度はハムレットがレアティーズを傷つける。ガートルード王妃が毒杯の影響で倒れ、真相を告白して死亡する。レアティーズも毒が回り、死の間際にクローディアス王の陰謀を明かす。
怒りに駆られたハムレットは、毒剣でクローディアス王を刺し、残りの毒酒を無理やり飲ませる。ハムレット自身も毒が回り始め、最期の言葉をホレイショーに託す。その時、ポーランドを征服して戻ってきたフォーティンブラスが到着する。死にゆくハムレットは、王位継承の意思をフォーティンブラスに託す。
ハムレットの死後、ホレイショーは一連の出来事の真相を語ることを約束する。フォーティンブラスは悲惨な光景を目の当たりにし、デンマーク王位への権利を主張する。最後に、ハムレットの遺体は兵士の礼をもって運び出され、砲声が鳴り響く中、幕が下りる。