自転車の通行空間を整理してみる
青切符を切られたくなかったので自転車の通行空間を整理しようとしたら沼にはまりました。
はじめに
2024年3月5日、自転車の悪質な交通違反に対して反則金を課す、いわゆる「青切符」による取締りの導入を盛り込んだ道路交通法の改正案が閣議決定されました。
反則金が課される反則行為には「信号無視」や「一時不停止」の他に、自転車が通行してはいけない道路や位置を通行した場合、定められた自転車の通行方法に従わなかった場合の「通行区分違反」や「通行禁止違反」、「歩道における通行方法違反」も含まれています。
このニュースを見て、
「よーし!これからも交通ルールを守って自転車に乗るぞ~!」
と、思ったのですが、よく考えたら“通行してはいけない道路、位置、方法”を正しく理解していないことに気付きました。
というのも、Twitter(現X)で自転車とクルマのいざこざが起こるたびに、引用リツイート等で有識者の方々が解説している通行ルールを確認しているのですが、事案ごとに少しずつルールが異なっていたり、教習所でも習わないような用語が使われていたりしていて、複雑すぎていまいち分からないんですよね。
(有識者の方の説明自体は何も問題無いです。私の理解が不足しているだけの話です。)
せっかくの機会なのでしっかり法律を確認して、
・自転車の通行可否
・自転車の通行義務
・自転車の通行方法
を、自転車の種類別に確認し、道路のタイプを分類してみました。
いわゆる調べものメモです。
※以下の言葉を説明なく使用しています。
言葉になじみのない方は、定義を確認されてから読むと理解しやすいかもしれません。
自転車の通行空間の種類
以下の37タイプに分類できました。
主に以下の視点で分類しています。
・道路法上で自転車専用の道路と位置付けられているか
・道路内の歩行者空間の種類
・自転車の通行位置
・自転車と自動車・歩行者との分離方法
・自転車の一方通行の有無
・自動車の一方通行の有無
・(自転車専用以外の)車両通行帯の有無
・法定外の表示の有無
法的には位置づけが同じでも、表示の有無のような素人目(特に子ども)には違うように見えるものも分けています。
分類を組み替えたりもしましたが、この図の分類方法が1番マシかな、と、個人的に思っています。
ダブり、不足や改善点があればご指摘いただきたいです。
以下、それぞれの通行空間について調べものの結果を記載します。
(画像は全てGoogleマップのストリートビューより)
■(道路法上の)自転車専用の道路編
①自転車専用道路
自転車のために作られた道路です。
ほとんどの道路は、道路交通法で通行できる車両などが決められているのに対し、この道路は道路法によって道路の種類や通行できる車両が規定されています。(道路法第48条の13第1項ほか)
供用前に自転車専用道路と指定されている必要があるとされていて、供用後に自転車専用の規制をかけたものは別物(⑦や㉝)となるそうです。
自転車以外の軽車両や農耕作業用の自動車なども通行できます。(道路法第48条の15第1項ほか)
②自転車歩行者専用道路
自転車と歩行者のために作られた道路です。
こちらも自転車専用道路(①)と同じように道路法によって道路の種類や通行できる車両が規定されています。(道路法第48条の13第2項ほか)
国内のほとんどのサイクリングロードは歩行者も通行可能となっているため、おそらくこのタイプのようです。
自転車以外の軽車両や農耕作業用の自動車なども通行できます。(道路法第48条の15第2項ほか)
■歩道のある道路の車道他
③自転車道
歩道ともクルマのための車道とも構造的に分離された自転車のための空間です。
自転車"道"と言われると一本の道のような印象を受けますが、あくまで道路の一部です。
自転車ガイドラインでは「自転車道」に分類されています。
「自転車道」という名称は、道路構造令と道路交通法のどちらにも定義があります。
道路構造令では歩道でも車道でもない空間と定義されています。
一方、道路交通法では車道の一種と定義されていて、自転車道とクルマ用の車道がある場合はそれぞれ別の車道とみなしています。(道交法第16条第4項)
そのため、自転車道は基本的に双方向通行になります。
車両ごとの自転車道の通行可否、通行義務は下表です。(道交法第17条第3項、第63条の3第1項)
普通自転車には通行義務が課されています。
道路の右側にだけ自転車道がある場合も、その自転車道を通行しなければいけないそうです。
なお、道路交通法の自転車道の定義では、自転車道であることを標識や道路標示で示すことが要件になっていません。(道交法第2条第1項3の3)
そのため、自転車のための空間が構造的に独立していれば、その空間は標識や道路標示が無くても自転車道とみなされ、普通自転車に通行義務が課されるようです。
④自転車道(一方通行)
自転車道(③)に一方通行の規制がかかったものです。
自転車ガイドラインでは「自転車道」に分類されています。
法的な位置づけや通行できる車両は③と同じです。
⑤道交法上の歩道(構造的に分離)
歩道上で自転車の通行空間が構造的に独立して確保されている場所です。
③で「自転車のための空間が構造的に独立していれば、その空間は標識や道路標示が無くても自転車道とみなされ」ると書きました。
しかし、道交法で自転車道は車道と位置付けられているため、警察が自転車道のような箇所を「ここは歩道である」と言ってしまえば、自転車道ではなく歩道ということになるそうです。
あくまで歩道なので、自転車の通行が標識や道路標示で許されていれば普通自転車歩道通行可の歩道(⑱⑳)と同じ規定が適用され、普通自転車が徐行できます。
自転車の通行が標識で許されていない場合、特例で普通自転車が通行できる歩道(㉑)と同じ扱いになります。
このタイプの道路はあくまで歩道なのに、自転車専用の標識が掲げられている場合があります。
例えば以下。
この場合、標識は「(道路構造令の)自転車道であること」を意味していて、道路交通法の自転車道のルールが適用されるわけではないそうです。(標識令:規制標識325の2)
ややこしい。
⑥普通自転車専用通行帯
車道の左側にある普通自転車専用の車両通行帯です。
自転車ガイドラインでは「自転車専用通行帯」に分類されています。
普通自転車はこの中を、それ以外の車両は他の通行帯を通行する義務があります。
が、特定小型原付と軽車両は、例外でこの中を通行してもOKとなっています。(標識令:規制標示109の6)
自転車道(③)と異なり、クルマの通行する車道の一部と位置付けられるため、必ずクルマと同じ方向の一方通行となります。
道路標示は「自転車専用」の文字と車両通行帯を示す線のみが規定されています。
そのため、通行帯内の塗装は必須ではなく、青や朱色など様々な色で塗られていたり、そもそも塗られていなかったりします。
ややこしい。
⑦自転車専用の道路(車道のみ規制)
歩道のある道路で車道だけ自転車専用になっている道路です。
定期的に皇居周辺を自転車に開放しているパレスサイクリングがその例です。
法律を読む限り、道路の左側端の通行義務があるように思いましたが、イベントでは左側端に寄らず並走もしてますよね。
どういう運用になっているんでしょう。
⑧(歩道がある道路の)車両通行帯《表示あり》
(自転車専用以外の)車両通行帯のある車道で、自転車のマークや矢羽根がペイントされたものです。
自転車ガイドラインでは「車道混在」に分類されています。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
車線で構成された車道(⑩,⑪)は車道の左側端を通行することになっていますが、この車両通行帯のある道路では道路の1番左の車両通行帯を通行することになっており、当該車両通行帯の中ならどこを走っても良いそうです。(道交法第20条第1項)
よくTwitterで見かける、信号待ちのロードバイクがクルマの真ん前に陣取り、ドライバーから「邪魔だ」と石を投げられるタイプの炎上は大体このパターンです(1番左の車両通行帯で特段の規制がかかっていなければ問題ないはず)。
ちなみにこの「車両通行帯」がある場所は、片側2車線以上ある交差点付近がほとんどですが、バス専用通行帯がある道路などでは、交差点付近以外の単路部にも車両通行帯が存在し続けることになりますよね。
そのような車両通行帯が続く道路でも、自転車は1番左の車両通行帯の中をどこでも通行できるのでしょうか。
調べてもいまいちわかりませんでした。
⑨(歩道がある道路の)車両通行帯
⑧の表示が無いバージョンです。
よくあるその辺の交差点です。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
⑧と同様に車両通行帯の中であればどこを通行しても問題ありません。(道交法第20条第1項)
⑩(歩道がある道路の)車道《表示あり》
自転車のマークや矢羽根がペイントされた車道です。
自転車ガイドラインでは「車道混在」に分類されています。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
車道の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
この「車道の左側端」という場所が、車道の左に引かれた車道外側線の外側なのか内側なのか、といった疑問ですが、ネット記事を漁った限り
・「車道」は縁石等で区画された場所(道交法第2条第1項3)
・車道外側線はあくまで車道の外側の目印であって、必ずそこが車道の外側になるとは限らない(標識令:区画線103)
ようなので、自転車が走る場所は車道の左側端である限り車道外側線の外側でも内側でもどちらでも大丈夫みたいです。
⑪(歩道がある道路の)車道
⑩の表示が無いバージョンです。
そこらじゅうにあります。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
車道の左側端である限りは、車道外側線の外側と内側のどちらを通行しても良いみたいです。(道交法第18条第1項)
⑫(歩道があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車両通行帯《表示あり》
⑫~⑮は逆向きの一方通行に規制されているものの、その対象から自転車が外れている道路です。
この⑫は、そんな自転車が対象から外れた逆向き一方通行道路で車両通行帯がある場所、かつ、法定外の表示があるものです。
車両通行帯がある場所とは、主に2車線以上の交差点付近です。
法律を全く知らない人からすると、⑫は自転車のマークがあるから走っても問題なさそう、⑬は逆走で怒られそう、と思いそうですが、どちらも法的には同じです。
補助標識が「自転車を除く」であれば普通自転車が通行でき、「自動車・原付」であれば全ての軽車両が通行できます。
この道路、色々調べてみましたが、結局、自転車はどこを走れば良いのかが分かりませんでした。
例えば、これ。
・車道の中央より左を通行(道交法第17条第4項)
「車道の中央」というのは、物理的な中央だけでなく中央線という道路標示の位置も含みます。
なので、実は道路の左端の白線が中央線とされていて、白線の外側しか通行できない、なんてことがあり得るかもしれないと考えました。
が、上の写真のような場所ではそもそも左端の白線が無いので、その可能性は無さそうです。
そして、これ。
・車両通行帯が無い時、道路の左側端に寄って通行(道交法第18条第1項)
・車両通行帯がある時、道路の左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行(道交法第20条第1項)
この時の「車両通行帯」に進行方向の逆向きの車両通行帯は含まれるのでしょうか。
逆方向の車両通行帯が含まれると考えた場合、自転車は車両通行帯内のどこを通行しても良くなるため、対向から来るクルマと真正面で鉢合わせる可能性が出てきます。
一方、逆方向の車両通行帯は含まれないと考えた場合、自転車は道路の左側端を通行しなければいけないため、対向から来るクルマは比較的自転車を避けやすいです。
前者であればめちゃくちゃな運用ですし、後者の方が自然だよなあと思いましたが、法律では車両通行帯の向きについて触れられていないので、前者なのかもしれません。
詳しい方がいらっしゃいましたらご教授ください。
⑬(歩道があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車両通行帯
⑫の表示が無いバージョンです。
こちらも補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
パッと見は逆走で幅員が狭い箇所も多いので、交通ルールを知らない人から怒られが発生しがちな道路です。
⑭(歩道があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車道《表示あり》
自転車が対象から外れた逆向きの一方通行道路で、法定外の表示があるものです。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
こちらは⑫⑬とは異なり車両通行帯が無いため、車道の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
⑮(歩道があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車道
⑭の表示が無いバージョンです。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
車道の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
よくある歩道付きの一方通行の道路です。
■歩道のある道路の歩道編
大前提として、自転車は車道を通行しなければいけません。(道交法第17条)
しかし、「普通自転車」であれば特別に歩道を走行してもOKとなっている道路があります。(第63条の4第1項1)
⑯~㉑はすべてそのような歩道で、通行規制の種類で分類しています。
⑯歩道の普通自転車通行指定部分
標識で普通自転車の通行が許されていて、かつ、自転車が通行しなければいけない場所(普通自転車通行指定部分)が法的な拘束力をもって指定されている歩道です。
普通自転車通行指定部分であれば自転車は速度を落とさずに通行でき、歩行者もできるだけここを避けなければいけません。(道交法第10条第1項)
パッと見、⑱と間違えやすいですが、路面の自転車マークと白線で区別できます。
⑰歩道の普通自転車通行指定部分(一方通行)
⑯の一方通行バージョンです。
一方通行であることを除き、⑯と同じ規定が適用されます。
滅多にないので、標識マニアには有名らしいです。
相模原駅の近くにあるそうです。
⑱普通自転車歩道通行可の歩道《表示あり》
法定外の看板や路面表示で自転車の通行位置を指定している歩道です。
歩道なので、通行できる自転車は普通自転車に限られます。
一見、普通自転車通行指定部分のある歩道(⑯)に見えるものの、あくまで普通自転車が通行できる通常の歩道(⑲)と同じです。
そのため、歩道の中央から車道よりを徐行しなければいけません。(道交法第63条の4第2項)
⑲普通自転車歩道通行可の歩道(一方通行)《表示あり》
⑰の一方通行バージョンです。
自転車は逆向きには通行できません。
これも滅多にないため、標識マニアでは有名らしいです。
静岡市にあるそうです。
⑳普通自転車歩道通行可の歩道
普通自転車の通行が許された歩道です。
普通自転車通行可の標識や標示があります。
通行できる自転車は普通自転車のみで、歩道の中央から車道よりを徐行しなければいけません。(道交法第63条の4第2項)
そこらじゅうで見かけます。
㉑特に規制の無い歩道
普通自転車通行可の指定すら無い歩道です。
普通自転車がどう頑張っても歩道じゃないと安全を確保できない場合(例えば児童や高齢者の運転、工事で迂回が必要等)のみ通行できます。(道交法第63条の4第1項2)
■路側帯のある道路編
㉒路側帯がある道路の車両通行帯
歩道が無く、路側帯があり、進行方向に複数車線ある交差点付近のような場所です。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
⑧、⑨の歩道のある道路の車両通行帯と同様に、道路の1番左の車両通行帯の中であればどこを走行しても大丈夫です。(道交法第20条第1項)
このような路側帯も車両通行帯もある場合の通行位置は、「最も左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない」(道交法第20条第1項)という義務と「路側帯を通行できる」(道交法第17条の3)という許可の2つの規定が該当しそうでしたが、ネットの記事を漁っても路側帯の通行可否はわかりませんでした。
(2024.04.24追記)
「最も左側端から数えて1番目の車両通行帯を通行しなければならない」(道交法第20条第1項)のは車道を走る場合のルールでした。
路側帯を走る場合にはこのルールは適用されず、㉕のように通行する必要があります。
㉓路側帯がある道路の車道《表示あり》
以下、㉓と㉕、㉔と㉕はそれぞれ同じ道路内に存在し得るものですが、法的な位置づけや通行方法が異なるため、種類を分けています。
この㉓は歩道がなく白線が引いてある(路側帯がある)道路の車道部分(左の白線より内側)で、路面表示があるものです。
ガイドラインでは「車道混在」に分類されています。
単なる車道のため、全ての軽車両が通行可能です。
また、車道内(左の白線より内側)の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
路側帯(左の白線より外側)を通行する場合には、別の通行ルール(㉕)が適用されます。
㉔路側帯がある道路の車道
歩道がなく白線が引いてある(路側帯がある)道路の車道部分(左の白線より内側)です。
㉓の表示が無いバージョンです。
車道なので全ての軽車両が通行できます。
また、車道内(左の白線より内側)の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
路側帯(左の白線より外側)を通行する場合には、別の通行ルール(㉕)が適用されます。
そこらじゅうにあります。
㉕路側帯
㉓または㉔の道路で、左の白線よりも外側の部分です。
㉓㉔と同じようにすべての軽車両が通行できますが、歩行者の通行を妨げない場合という条件付きです。(道交法第17条の3)
路側帯が2本の白線で区切られた歩行者用路側帯である場合、自転車は通行できません。
なお、通行できるのは道路の左側の路側帯のみで、自転車にとっては実質一方通行の空間となります。(道交法第17条の3)
㉖(路側帯があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車両通行帯
㉖~㉙は、㉒~㉕と同じように路側帯がある道路で、クルマが逆向きの一方通行に規制されているものです。
この㉖は、路側帯があって自転車が対象外の逆向き一方通行のうち、車両通行帯がある場所です。
⑫⑬の歩道が路側帯に置き換わっただけです。
一方通行の補助標識が「自転車を除く」であれば普通自転車が通行でき、「自動車・原付」であれば全ての軽車両が通行できます。
自転車の通行位置ですが、⑫⑬と同様に調べてもよく分かりませんでした。
というかそもそも、上の写真のように1番左の白線(車両通行帯最外側線)と縁石の間って、これだけ狭くても路側帯になるんですかね。
調べてもいまいち分かりませんでした。
㉗(路側帯があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車道《表示あり》
㉓と同じように歩道がなく白線が引いてあり(路側帯があり)、かつ、表示がある道路の車道部分(左の白線より内側)で、クルマに逆向きの一方通行規制がかかっています。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
基本的に㉓と同じ通行ルールで、自転車は車道内(左の白線より内側)の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
路側帯(左の白線より外側)を通行する場合には、別の通行ルール(㉙)が適用されます。
(上の写真の場合は歩行者用路側帯のため自転車は通行不可)
㉘(路側帯があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)車道
㉗の表示が無い道路です。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
㉗と同じで、自転車は車道内の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
路側帯を通行する場合には、別の通行ルール(㉙)が適用されます。
㉙(路側帯があり、自動車が逆方向の一方通行道路の)路側帯
㉗または㉘の道路で、左の白線よりも外側の部分です。
㉗㉘と同じように補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
ただし、規制の対象外であっても通行できるのは歩行者の通行を妨げない場合という条件付きです。(道交法第17条の3)
路側帯が2本の白線で区切られた歩行者用路側帯である場合、自転車は通行できません。
■車両通行規制のある道路編
㉚~㉝はクルマが通行できず、自転車と歩行者のみが通行できる道路で、規制の方法の違いで分類しています。
このうち㉚~㉜は全て自転車と歩行者のみが通行できる道路です。
何故同じような道路が3種類もあるのかは、以下の記事で詳細に説明されています。
㉚車両通行止め(自転車を除く)
車両通行止めで自転車が規制の対象外となっている道路です。
通行できる自転車は標識や補助標識によって異なり、「自転車を除く」であれば普通自転車、「軽車両を除く」や「自動車・原付」であれば全ての軽車両が通行できます。
自転車は道路の左側端を徐行せずに通行できます。(道交法第18条第1項)
※自転車が歩行者の側方を通過する際は徐行義務が課されています。(道交法第18条第2項)
㉛自転車及び歩行者用道路
自転車と歩行者のみ通行が許されている道路です。
通行できる自転車の種類は自転車道(③④)と同じで、トレーラー付きの自転車は通行できません。(標識令:規制標識325の3)
自転車は道路の左側端を徐行せずに通行できます。(道交法第18条第1項)
㉜歩行者用道路(自転車を除く)
歩行者用道路で自転車が規制の対象外となっている道路です。
通行できる自転車の種類は補助標識によって異なります。
あくまで歩行者用道路のため、通行する車両は特に歩行者に注意して徐行する必要があります。(道交法第8条第1項)
また、歩行者は好きな位置を通行できます。(道交法第13条の2)
㉝自転車専用の道路
供用時は自転車専用道路(①)ではなかったものの、後から自転車専用の規制をかけたような道路です。
通行できる車両は自転車専用道路(①)と異なり、自転車道(③④)を通行できる車両と同じです。(標識令:規制標識325の2)
どこかにはあるはずですが、事例は見つけられていません。
というかそもそもパッと見では①と区別が付きません。
■歩道も路側帯も無い道路編
㉞(歩道も路側帯も無い道路の)車両通行帯
歩道も路側帯も無い道路で車両通行帯がある場所です。
ありそうで意外と無かったのでイラストを載せています。
歩道でも路側帯でも無いただの道路のため、全ての軽車両が通行できます。
歩道や路側帯がある道路の車両通行帯(⑧⑨㉒)と同じように、1番左の車両通行帯内ならどこでも通行できます。(道交法第20条第1項)
㉟(歩道も路側帯も無い)道路
歩道も路側帯も無く、自転車の通行規制もかかっていない道路です。
その辺の細い路地なんかがこれにあたります。
歩道でも路側帯でも無いただの道路のため、全ての軽車両が通行できます。
道路の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
㊱(歩道も路側帯も無く自動車が逆向きの一方通行の道路の)車両通行帯
歩道も路側帯も無く、クルマに逆向きの一方通行規制がかかっている道路で、車両通行帯がある場所です。
ここもありそうで無かったのでイラストを載せています。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
逆向きの一方通行で歩道や路側帯がある道路(⑫⑬㉖)と同じように、自転車はどこを通行して良いのか分かりませんでした。
㊲(歩道も路側帯も無く自動車が逆向きの一方通行の)道路
歩道も路側帯も無く、クルマに逆向きの一方通行規制がかかっている道路です。
よくある一方通行の生活道路のイメージです。
補助標識によって、規制の対象外になっているのが(=通行できるのが)自転車のみなのか、軽車両すべてなのかが変わります。
道路の左側端を通行しなければいけません。(道交法第18条第1項)
■そもそも道路じゃない編
㊳公園
道路ではない自転車通行空間もたくさんありますが、その中でも最も身近で道路っぽい見た目の空間として公園を挙げました。
公園と一言で言っても種類は様々ですが、概ねどの公園でも管理者が自転車の通行可否や通行できる車両の種類、通行できる場所を決めているそうです。
国や自治体が管理する都市公園では、都市公園法や都市公園条例において「公園管理者が指定した場所以外の場所に車両を乗り入れること」が禁止されているように法律・条例に基づいたルールになっています。
通行できる車両の種類や場所は現地で明示されていないことが多く、管理者に問い合わせない限り正確なルールは分かりません。
例えば上の写真の空間は、土地区画整理事業で整備された「緑道」です。
緑道という名前ではあるものの自治体の所有する公園で、都市公園条例に則った管理を行っているそうです。
都市公園条例では「指定された場所以外の場所に車両を乗り入れ、又は止め置くこと」が禁止されており、この公園に関しては自治体が全ての軽車両の通行を認めています。
ちなみに、どの都市公園でも自転車が通行できるわけではありません。
むしろ自転車の通行を禁止するために都市公園に位置付けられた空間もあります。
渋谷区の玉川上水旧水路緑道では、もともと特殊街路(歩行者自転車専用道路)だった空間を都市公園に変更し、自転車の通行を禁止するようになりました。
結局、公園なのかどうか、管理者が誰なのかも分かりづらく、ちゃんとした通行ルールを把握するのは至難の業なので、「自転車通行禁止」の看板が無ければ通行しても良いと判断するしかなさそうです。
まとめてみて
ややこし~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というのが感想です。
調べれば調べるほど分からないことが出てきて、整理にめちゃくちゃ時間がかかりました。
これが噂に聞く道路交通法の沼か・・・
調べるだけであれば、複雑だなあ、という話で終わるのですが、これを守らなければならないと考えるとかなり憂鬱です。
掲示、舗装されている似たようなマークが、法的な拘束力を持つ標識や道路標示か、法定外の看板や路面表示かの違いで、その道路での自転車の通行可否や通行方法が変わるなんて、日本人の一体何人が理解できるんだろう、と思います。
それどころか、警察の判断だけで道路の位置付けが変わるとか、通行方法をネットで調べても正しい情報が出てこないとか、裁判所の判例まで確認する必要があるとか、最悪、裁判所の判例に食い違いがあるとか、全国民に守ってもらうためのルールとして最悪のつくりではないか、とも思います。
今後、このような複雑怪奇なルールに違反した場合には反則金が課されます。
それも、まだクルマの免許も持っていないような子どもたちにもです。
取り締まりを厳しくするだけでなく、そもそもみんなが守れるようなルールになっているのかどうか、改めて考えて直さないのかな、と思いました。
そして、もし仮に分かりやすいルールができたとして、それを守ることが本当に身の安全を守ることになるのか、ということも考えたいです。
昨年3月、こんな事故がありました。
路面に描かれた自転車マークに従って車道を走っていた男性が、後ろから来たクルマに追突されて亡くなりました。
路面に描かれた自転車のマークに誘導され、法律を守って車道を走っていた男性に一切非はありません。
国では、クルマと自転車を分離した道路の整備を勧めていますが、実際に整備されているのは上の図のような路面にマークが描かれただけの道路ばかりです。
そんな道路環境で実際に死亡事故も起きているのに、「自転車は車道通行が原則」というルールの遵守を徹底しようとする姿勢に疑問を感じます。
警察が守りたいのは一体何なのでしょうか。
誰もが納得してルールを守れるような環境づくりも早く進んでほしいな、と、思いました。