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ポートランドで自転車に乗ってきた(予習編)

先日、アメリカのグランドサークルを旅行しました。
せっかくアメリカ本土に行くなら、と、全米一自転車に優しいまちとして有名なポートランドにも立ち寄ってみました。

ただ、何も調べずに行くのももったいないなあと思ったので、事前にポートランドの歴史や自転車まちづくりの取組みについて予習をしました。
この記事では、調べた際に有用だった情報を紹介します。

リンク集に近いので、ポートランドの自転車のまちづくりについて手っ取り早く知りたい方は、次の章「自分なりのまとめ」と別途公開する感想記事をご覧ください。

※この記事では、自動車と自転車がややこしいので、自動車のことを「クルマ」と記載します。

自分なりのまとめ

先に結論を書きます。
情報収集の結果、「自転車に優しいまちポートランド」は以下であることが分かりました。
(アメリカ行きの飛行機の中で資料を一気に流し読みしてまとめたものなので、その程度の精度の情報と思ってもらえるとありがたいです。)

<ポートランドの歴史・概要(ざっくり)>

・かつてのポートランドは、中心部での高速道路整備、伝統的な住区の取り壊しが進められており、まちの空間的な分断や大気汚染の深刻化、地域コミュニティの消滅等の問題が生じていた。
・住民運動や改革派の市長の当選を機に、1970年頃から環境重視の政策にシフト。高速道路の撤去、トラムの新設、都市化の範囲を制限する都市成長境界線の設定等、歩行者中心で公共交通重視の(=歩いて暮らせる)まちづくりが進められる。
・また、同時期から住民が政治に積極的に参加し、住民主体のまちづくりが行われている。
・そんな歴史があってか、現在では環境志向、ローカル志向な生活や消費文化が根付いており、サステナブルな先進都市として注目されている。

<ポートランドの自転車(ざっくり)>

・ポートランド市は、世界クラスの自転車都市を目指した施策を展開。
・その1つとして「Neighborhood Greenways」プロジェクトが取り組まれている質の高い、低ストレスな歩行者・自転車中心の道路を整備するというもの。
・また、自転車のために幅員の広い自転車レーンや自転車専用信号、交差点における自転車優先の停止線を整備するなどしている。
・併せてシェアサイクルの導入、通勤時の自転車利用者への補助金支給も行われている。
ポートランド独自の自転車文化が栄えていて、他の地域では見られないような店舗もある。
・現在のポートランド市内の通勤時の交通手段は、「自転車」の割合が全米平均を大きく上回っている(ただし、「自転車」にはオートバイ等の交通手段も含まれる)。しかし、最も割合が多いのはクルマであり、その点はアメリカの他都市と変わらない。

(まとめ終わり。以下、リンク集です。)

ネット検索

ポートランドの情報は既に日本の多くの組織、団体が情報をまとめているので、Googleで「ポートランド 自転車」や「ポートランド まちづくり」でヒットするサイトを調べました。
今回はその中でも、街の歴史・概要がまとめられていて、内容も綺麗に構造化されていそうな公的なレポートや記事を確認するため、PDFページの検索を重点的に行いました。
(一次ソース、二次ソース、主観的な内容、と、色々混ざっています。大学のレポートのネタを探しているような人はちゃんと一次ソースを当たってください。)

■自転車関係

・記事「世界の自転車通勤事情 調査 第6回アメリカ・ポートランド編」

自転車メーカーシマノが提供するインターネット記事。
ポートランドの自転車事情や行政の取組みを解説しています。

・プレゼン資料「北米における自転車先進都市について」

自転車まちづくりで有名な古倉宗治さんが宇都宮で講演した際に使ったと思われるプレゼン資料。
ポートランド市がどのような施策(主にハード整備)を行なっているかまとめられています。

https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/006/129/hokuounosennshinntosi.pdf

・資料「まちなかにおける道路空間再編のデザインガイド」

人のための道路づくりを進める道路空間再編のためのデザインガイド。
ポートランドの自転車走行空間(特にNeighborhood Greenways)について解説しています。(p.184-185)

https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1026pdf/ks102611.pdf

■歴史・まちづくり関係

・記事「「最も住みたいまち」ポートランドの歴史に学ぶ、まちづくりの秘訣」

ポートランド現地住民のポートランド紹介記事です。
まちづくりの歴史やそこで醸成されてきた住民の気質、価値観などをかなりかみ砕いて分かりやすく紹介しています。

・論文「アメリカ・オレゴン州 ポートランド市のまちづくりの歴史(町の形成~1970年代初め)」

ポートランドのまちづくりについてまとめた論文。
上記の記事に比べてまちづくりの歴史がさらに詳しく書かれています。

https://rissho.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6746&item_no=1&attribute_id=20&file_no=1

・現地視察レポート

現地の大学の研修に参加した東浦町職員のレポート。
自転車に特化した内容ではないものの、ポートランドのまちづくりに関係する特徴的な場所・施設について、現地の人しか知り得ない情報も交えて記載されています。
一応自治体の報告書ですが、研修の時系列にまとめられており所々感想も書かれているので旅行記の感覚で読めます。

https://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/material/files/group/8/portlandreport.pdf

・記事「アメリカにおける公共交通を重視したまちづくり−ポートランド都市圏を中心に−」

ポートランドのまちづくりについて、特に公共交通に着目してまとめた記事。

http://www.hitozukuri.or.jp/wp-content/uploads/thinking21_54-61_20220307.pdf

■文化関係

・論文「持続可能な消費都市ポートランドの現状と課題」

ポートランドの特徴的な消費文化を考察した論文。
ポートランドの自転車文化は、現地の特徴的な消費文化や価値観を土台にして成り立っているのではないかと個人的に思っています。
そんな消費文化、価値観をエコ、ローカル、DIY志向の視点からまとめています。

http://www2.ngu.ac.jp/uri/syakai/pdf/syakai_vol5601_04.pdf

・論文「社会的ミッションをもったコーヒーロースター――オレゴン州ポートランドの事例から」

ポートランドのサードウェーブコーヒーについて調査した論文。
自転車は全く関係無い内容ですが、現地のコーヒー文化の理解を通じて、自転車文化の土台にある現地住民の価値観を理解できて面白いです。

https://repo.lib.tut.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2255&file_id=18&file_no=1&nc_session=hchsbour16jh0s8m5r3mivvmc5

ポートランド市公式資料

「自転車に優しいまち」というのがどうやら行政のハード整備のおかげでもあることが分かったので、整備主体であるポートランド市のHPも確認してみました。
ありがたいことに積極的に情報発信をしていたので、その中でも施策の全体像が見えやすいものを載せておきます。

・Neighborhood Greenways

ポートランドで整備している自転車走行空間「Neighborhood Greenways」について説明したページです。

・Bike Boxes

交差点で自転車を優先して停車させるために設けている「Bike Boxes」について説明したページです。

・Portland By Bicycle Citywide Bike Map

ポートランド市公式の自転車用の地図です。
Neighborhood Greenwaysや自転車レーンの場所が分かります。
自転車店や上り坂、一方通行の位置も載っていて、情報発信が進んでいるなあと感心しました。

口コミ

知人がポートランドに行っていたので、現地での自転車の利用状況や見どころを聞いてみました。(情報提供ありがとうございました)

■知人Aの口コミ(要約)

・アメリカなのであくまでクルマ社会だが、その中で自転車が共存している
・同じように自転車都市として有名なヨーロッパは自転車道のような利用環境の整備ありきだが、ポートランドは環境整備よりも自転車利用が増えるような価値観や文化が先行している印象

■知人Bの口コミ(要約)

・自転車を電車やバスに乗せやすいなど、公共交通と連携した自転車の利用環境が充実
・名古屋のサークルズのようなイカしたバイクショップやポートランドならではの手組みホイール専門店がある

予習編はこれで以上です。
感想編はこちら↓


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