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1歳半検診での『様子見』の意味

 息子は、一歳半検診で「様子見」と言われました。自治体で受ける1歳6ヶ月検診は、身体的な成長がメインの乳児検診とはちょっと変わって、知的発達と社会性・行動の発達という大きく2つの観点から子どもの成長を診ます。たとえば、意味のある単語を発するか、理解できているか、指差しするか、アイコンタクトがとれるか、動作を真似するか、など。また歩行や微細運動(積み木が詰めるかなど)、遊びや生活の中での行動の発達も確認したりします。

 初めての子どもだと特にだと思うのですが、周りと子どもの発育を比べがちですよね。え、もう伝い歩きしてるの?とか、おしゃべりできるの?とか。Eテレ見て一緒に体動かすの?とか。この数ヶ月での違いが性格や発達を含めた個体差なだけで、将来的な良し悪しとか能力の優劣に直結しないだろうというのは頭では分かっているけど、初めての育児で何から何まで不安という方も多いと思います。私もまさにそれでした。発育が早い子供を得意げに自慢するお母さんも児童館にいたりすると、母親から離れずに遊びにも参加しない息子といることで肩身が狭く、つい足が遠のいてしまったりしました。

 私は息子が寝返りをせず、9ヶ月でおすわりを始めたものの、ハイハイする気配がないのでこの時点で自治体に相談し、紹介された療育に通ったりしました。またかかりつけの小児科医から国立の病院を紹介され「予約が数ヶ月先になるから、このまま1歳半まで歩かない可能性に備えて、神経発達を診てもらうように」とのことで受診したこともありました(結果、先天的な骨や神経の異常はないので1歳半で歩かなかったらまた来てとのことで終わった)。

 結局、何もできない、かつ、何もハッキリしない状況にもやもやし続けて、指差しも発語の無いまま1歳4ヶ月を迎えた息子。突然つかまり立ちを始めて、あっという間にスタスタ歩き出しました。身体的には一応クリア…?しかし発語は一切ないので、多分これは何か問題があるんだなとどこかで確信していました。

 「男の子はゆっくりだからね」「にこにこしてるから大丈夫」そんな悪気のない励ましも切ない気持ちになります。内心、そういうのはもういいんです、なんて斜に構えて。そういえば、うちの息子は後頭部が絶壁なんですけど、検索したら運動機能に問題が生じるかもみたいなネット記事があって専門医を受診したこともありました。専門医は呆れていたけど、私はその態度に涙が出そうでした。空回りしてるのは分かっている、でも追い詰められてどうしようもない。今となっては私にとっても笑い話です。息子の絶壁はどう見ても病的ではなかったし、私自身も絶壁なのに。ただ、あの時の追い詰められた精神状態を思い出すと、その自分を思いっきり抱きしめてあげたい気持ちになります。

 そしてとうとう迎えた1歳半検診。検査はことごとくうまく行かなかったにも関わらず、当の母親が「息子には何かあります」と言っているにも関わらず、保健師さんは「様子見」と言いました。まだ分からないからこのまま様子を見ましょう、そんなに心配しなくて大丈夫、というニュアンスでした。

 イラッとしたんです、私。何そんな悠長なことを。何か支援に繋げてもらえないんですか?どこか紹介してくれないんですか?誰かはっきり障害なら障害、病気なら病気って教えてくれないんですか?勝手な言い分だけど、この気持ちわかってくださる方がいるかな…..

 そして、私は本当にそのまま「様子見」しました。様子見の意味を考えずに、言葉通りいつも通りの生活を続けました。結果的に息子の支援が始まったのはその1年後、2歳6ヶ月の時でした。下の娘の乳児検診の時に「心配なことはないですか?」と聞かれて「上の息子がまだ発語がありません」と行ったら医師を紹介され自治体の発達支援センターで療育を受けることになりました。

 私なりの結論。様子見、の意味は「経過観察」です。もし何か体の不調、例えばコレステロールが高いから経過観察と言われたら食生活に気をつけたり、不摂生をやめたりしてまた定期的に検査しますよね。私が思うに1歳半検診で様子見と言われたら、どう関われば良いか、どう働きかければ良いか、保健師さんやかかりつけの小児科医に聞いて、取り入れられることは取り入れる。(だからと言って。決して母親が苦しくなるような無理はするべきではないし、いわゆるおうち療育!みたいなのは1歳児に必要ないはずです。そんなことはそもそも専門家からお勧めされないでしょうし。)そして2歳になったらまた自治体や小児科に相談して下さい。

 ちなみにあくまでこれは私の経験と反省に基づくアドバイスですので、プロのご意見や反対があるかもしれません。参考程度に読んでいただけたら幸いです。