夢と現実の狭間で考える
今から何年か前の話である
何気なくYouTubeを見ているとおすすめ動画のところに
どこかで見たことのある服装をした女の子が写っていた
なんだろう、なんだか分からないけど気になって
思わずその動画をクリックしてみた
それはあるもののPR動画だった
内容はミュージカル仕立てで制服姿の女子高生が
彼女の通う高校の生徒や、通りすがりの一般人に扮した
バックダンサーを引き連れて道の真ん中や
どこかの公園で歌いながら踊るという内容だった
私はその時、なんだか疲れて頭がぼんやりしていたけれど
ものすごい既視感を感じながらそれを見ていた
なんだろう?なんなんだこの懐かしさは…
「あっーーーーーー!私の母校の制服だ!」
思わずモニターの前で叫んでしまい、同居の家族が
ぎょっとした顔でこちらを見ている
よく見てみれば、背景の景色も
私の母校近辺の見慣れた場所ばかりだった
おそらく、母校のある街でロケを行ったんだろう
でも何だろう?この違和感は…
私の通っていた高校にこんな8頭身の
キラキラした美少女は居ただろうか?
「いや絶対に、居なかった!」
はっきり断言できる
まぁ勿論、そこそこ可愛いまたは美人の子は居たが
動画に出演している子ほどのレベルの高い美人は
残念ながら、存在しなかった
それから数年の時が流れて
またYouTubeで偶然、別のあるもののPR動画を見つけた
その動画もまた、以前の動画とほぼ同じような
ミュージカル仕立ての構成だった
そこには私の娘が通っている高校の制服を着た
別の8頭身美少女が踊っていた
なんだろう…なんなんだろうね、この違和感
多分、動画の作成をしたプロデューサーが
ロケ地を選んだ時、どうせだから
地元の高校の制服を学校側の許可を得て
そのまま採用したのかもしれないけど
もっとやりようがあっただろうにと思う
PR動画を作るとき、当たり前の話だけれど
PRするものを魅力的に見せるのが本来のあり方だ
それならば、完全に架空の世界に振り切って
美術スタッフに制作してもらった
キラキラした可愛い架空の制服を美少女女優に
着てもらった方が個人的には良いと思うのだけれど…
まぁ、まったく別の地方に住んでいる
一般的な視聴者が見る分には、
どこの高校の制服かは分からないし
そもそも、実在する高校の制服であるとは
考えもしない人もいるかもしれないので
別に何の問題もないのかもしれない
でもなぁ…私にとってはあの制服は紛れもない
現実なんだよなあ…
キラキラした青春もなにもないただの現実
その現実を、キラキラしたオブラートにくるみながら
「ねぇねぇ!すっごく素敵でしょ?青春でしょ?」って
言われてもただ白けるばかりで萎えるばかり
何とも言えないかわいた笑いしか浮かばない…違和感
私みたいな視聴者は、ほんの一部だろうし
そもそも、制作側もそんな人間がいることを
想定していないんだろうけど、少しは考えてほしいかな
それが現実である人が居るんじゃないかってことを
映像関係はある意味、夢を売る商売だと思う
それならば、最後まで夢を見せてくれればいいじゃない
そんなどうでもいいことを考えていた、とある一日
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