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一番古い記憶


私は知らない人の家に寝ていた。
目が覚めると、月明りが部屋の中を青く染めていた。
私の隣には、おじいさんとおばあさんが寝息を立てていた。

ここはどこ?

私は起き上がって、部屋の中を歩き回った。

ママはどこ?

隣の部屋に行ってみた。
誰もいない。
奥の部屋にも行ってみた。
誰もいない。
家中を探し回った。
ママはどこにもいない。

居るのはおじいさんとおばあさんだけ。

ママ! ママ! ママ!

そして、視界は暗転する。


これが、私の一番古い記憶。


これから記憶の蓄積が始まる。
色褪せて消えていく記憶と、
色も匂いもそのままに残りづづける記憶。
これから積み重なっていく未来記憶。

そして、いつしか全ての記憶が消えてく。

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