契約、命と若さの交換 3
一週間後
悪魔のような何かは約束通り私の夢の中に現れた。
「準備はできたか?ここに血判すれば契約完了だ。」
悪魔のような何かはそう言って、読めない文字が書かれた紙を、私の顔の前でひらひらさせた。
「ここに血判すれば、君の望み通り女になる。
代わりに、お前の残りの寿命一年残して、全部いただく。
前にも言ったが、後の家族のことなら心配いらない。」
そう言って、さっきまで顔の前でひらひらさせていた紙を、机の上に置いた。
あれ?
こんなところに机ってあったけ? 夢だからなんでもありなのか?
そう思いながら、机の上に置かれた紙を覗き込んだ。
やはり、なんて書いてあるのか全く読めない。
読めない文字が書かれた紙の側には、ペーパーナイフのよな物も置いてあった。
「このナイフでどこか適当な所、親指がよいだろう、を切って、この血判状にお前の血を吸わせれば、これで新しい君のスタートだ。」
ナイフを右手で取り、左の親指の先に当てた。
「痛った!」
夢なのに、痛み、感じるのか?
軽く当てただけなのに、指先は簡単に切れ、指先から流れ出る血は、机の上にあった血判状の上にポタポタと滴り落ちた。
「アハハ、ご成約ありがとうございます。
どうだ、全てを捨てた気分は?ワクワクするか?」
ワクワク?
ありがとう?
ご成約ってどういう意味?
全てを捨てた?
何を?
なんでオレ泣いているの?
◇ ◇ ◇
「さくら!さくら!早く起きなさい!
転校初日から遅刻はまずいでしょーに!
おら、早く起きなさい!」
大きな女の人の声と同時に、部屋ドアの開く音が聞こえた。
「もう、朝からうるさいな。
代休で今日は休み!もう少し寝かしてくれ。」
「さくら!」
「なにお父さんみたいなこと言ってんの!寝ぼけてないで早く起きなさい。学校遅刻するわよ。転校初日だというのに!」
さくら?
さくらって誰?
学校?
ベットの上で目を開けると、見覚えのない天井がそこにはあった。