味の記憶
残った弁当の具材の卵焼きにケチャップを付けて食べた。
ビデオを巻き戻すかのように、目の前の景色がサーっと50年前に戻る。
おかず代わりにケチャップをご飯にかけて食べていた。
あの時のケチャップの味と同じだ。
ケチャップは貧乏の味、親のいない味、家族のいない味、一人ぼっち、悲しい味。
醬油もまた同じ。
贅沢なケチャップがない時は、ご飯に醬油をかけて食べた。
醤油もまた貧乏の味、親のいない味、家族のいない味、一人ぼっち、悲しい味。
初めてオムライスを食べた時はびっくりしたさ。
初めてチャーハンを食べた時もびっくりしたよ。
そんなので、いちいち過去に戻っていたら疲れちゃうね。