終わり、そして始まり 6 (墓参り)
母の墓は浦添市という街の中にあり、中学校の側の坂を途中まで上った所にある。
私を乗せた芽衣の車が墓地の駐車場に到着すると、おばあちゃんを乗せた車も丁度到着したところでした。
私と芽衣は車から降りて、おばあちゃんを乗せた車の方へ歩いた。
ちょうどおばあちゃんも車から降りてきた。そこで初めて、母の母、もう一人のおばあちゃんと会った。
90才を超えていますがなかなか元気そう。
おばあちゃんを車に乗せてきた方は、母の妹なのですが、父が違うので異父妹とります。母もややこしい環境で育ったことが予想できた。
私は少し言葉を交わした後、母が眠る墓へと歩いて行った。
母が永遠の眠りについているその墓は、おばあちゃんが生前墓として建てた墓だと、車で移動中に芽衣から聞いていた。
親にとって子供は、50才、60才、70才になっても子供はこども、それは、幾つに変わらない。
おばあちゃんにとって、わが子が先に墓に入るのは、物凄く辛い事だったと想像できます。
私達は母が眠るお墓の前まで来た。本土ではあまり見ない沖縄のお墓の作り。墓石には母の苗字でもなく、また母の旧姓でもない、おばあちゃんの再婚相手の苗字が刻み込まれていた。
(お母さん、やっとここまで来たよ)
私は心の中で、静かに呟いた。
(私にはお母さんが見えない。そっちからは見えている?)
(オレ、もうすぐ50才になるよ)
(どうして、私を探してくれなかったの?)
(新しい生活が壊れるのが恐かった?)
(それとも、もう息子のことは忘れてしまってた?)
お墓に花をお供えし、線香に火をつけた。
(お母さん、一度でいいから会いたかった)
お墓に向かって手を合わせた時、おばあちゃんの声が聞こえた。
「ケイコ、貴方が育てなった息子が会いに来たよ、よかったね。」
そう言って、墓石を撫でた。
(お母さん)
(お母さんは家を出る時、さよならも言わず、言ったとしても小さかった私は思えてないよ、この世から逝く時も、私にはさよならしなかったね)
(だから、今日はさよならは言わない)
私は合わせていた手を下ろし、立ち上がった。
線香の火が消えた頃、私達はお墓を後にした。
そして私と芽衣は、おばあちゃんの家にお邪魔することにした。
(じゃまた、近いうちに来るから)