終わらない夏休み
夏休みのある日、親戚の家に遊びに行ったら、知らない女の子が庭で遊んでいた。
その女の子は遠くの町から夏休みで遊びに来ていた。
すぐに仲良くなった。
ガタガタと震え、今にも壊れそうな扇風機の横で、夏休みの宿題を一緒にやったりした。
40ページくらいある「夏休みの友」と書かれた冊子の宿題を見せ合いっこした。学校が違うためなのか、内容が若干違っていて、書き写すというズルができなかったことを覚えている。
夕暮れ時、お小遣いをはたいて買った花火、大人には秘密にして浜辺で二人花火をした。
二人ともマッチの擦り方があまり上手ではない。うまく火がついて、マッチの灯りにあなたの横が浮かび上がる度、大人になっていくように見えた。
何日か経ったある日、いつもと同じように、親戚の家に遊びに行った。
でも、あの子はいなかった。
町に帰ったことを知った。
もう一度花火をやろうと、お小遣い前借して買った花火。
机の引き出しの奥に仕舞った。
新しい学期が始まり、提出した夏休みの宿題が返された。
返された宿題を机に仕舞おうと引き出しを開けたら、あの時買った花火があった。
一人浜辺に行って、引き出しに仕舞ってあった花火に火をつけた。
なぜだか頬を流れる冷たいもの。
心はまだ終わらない夏休み。