ゲイと純女と私
隆希(たかき(私):男性名の仮名)とゲイの匠(たくみ:仮名)、そして純女の玲奈(れな:仮名)、この三人は出逢った時から仲かいい。
三人とも高校生の頃からの付き合いで、もう35年になる。
お互いバラバラになっても、玲奈と私はずっと連絡を取り合っていた。2か月ほど一緒に暮らしたこともある。
しかし玲奈には幾度となく生殺しに(男女、一つのベットで寝るが、手は一切は出さない)されたことか! いつかその話は、愚痴をいっぱい交えて書くことにしよう。
そして、匠とはFacebookで最近繋がり、昔みたいに三人の関係が復活した。三人会って話したことはないが、昔みたいにアホな話しをFacebookに投稿したり、コメントに残したりしている。
今日は、ゲイだと私にカミングアウトしてくれた、匠の話しをしようと思う。
東京から引き上げ、沖縄で再就職して仕事をしていたころの話しで、もう25年くらい前になるだろうか、匠から電話があり、話したいことがあるから、〇〇居酒屋に来てということだった。
明日仕事なのに?と思ったが、大事な話しがあるからと言うので、何の話なのか興味もあり、行くことにした。
その居酒屋に到着したのは、夜の10時くらいでした。
沖縄の飲み会はみな遅くから始まり、夜の10時は遅くない時間です。
私は店の中に入り匠を探した。平日なので店にいる客は少なく、そして私は、テーブル席に座っている匠を直ぐに見つけることができた。
「何、話したい事って」って言いながら、私は彼の正面席に座った。
匠は普通の笑顔で、「まあ、飲め」
「うん、分った」
お酒を飲めない私は、コーラーと食い物を適当に注文した。
・・・
一時間くらい経過
大事な話しとは何?って何度も聞くのだけれども、匠はなかなか言わない。
「そんなに言いにくい事?まさか、もしかして、女装趣味があるとか・・・」
しかし、彼は何も言わない。
(えっ、ビンゴか?)と思った私は、「まあ、みんな変身願望みたいなものを持っているし、別にいいんじゃないの。自分もしてみたいなって思うこともあるし・・・」って言うと、匠は、
「そうなんだ、そんな趣味があるの?って聞き返された」
(ん?)
「もういいよ! 明日仕事あるし、帰る!」
「わかったよ、ちゃんと話すから、ちょっと待って」って言って、帰ろうとする私を止めた。そして彼は私から少し目をそらして言った
「オレ、ゲイなんだ。彼氏もいる」
「・・・」
「なに、男が好きってこと?」
「マジか」
「彼氏がいるって・・・、エッチとかするの・・・、あれを握るの?」
「チ〇コのどこが好きなの!自分にも同じものが付いているじゃないか!」
「自分のチ〇コ握っておけばいいじゃん」
そんな意味の分からない言葉を投げてしまった。匠は苦笑いしながら私を見ていた。
「何時から自分がゲイではないかと思うようになったの」って訊くと、匠は「高校生くらいの時かな・・・」と答えた。
「あぁ、隆希、お前はタイプじゃないから大丈夫だよ」
「はぁ!何それ、告白もしてないのにフラれた気分だよ」二人して笑った。
「あのさ、その高校生の頃ってさ、二人して玲奈を取り合ったよね?あれは何だったの?」
「いや、その時は自分がよく分からなかった。でも、玲奈は好きだったと思う」と匠は照れを隠すかのように、私から目をそらした。
「なんだよーー。オレに譲ればよかったじゃん!」と私が冗談半分で言うと、
「いやいや、譲るも譲らんも、俺ら二人ダメだったじゃん!!」って言って笑った。
「あぁー、そうだったね」今度は声に出して二人で笑った。
***
25年後
その時はまだトランスを始めて、5ヶ月くらいのことです。
私は匠宛に、Facebookのメッセンジャーでメッセージを送った。
匠、お久しぶり
話したい事がある。
突然ですが、俺、MTFレズ もしくはオートガイネフィリアのどちらかだと思う。
随分と昔に、カミングアウトしてくれたよね。
今回は私からカミングアウトです。
”MTFレズ”、 ”オートガイネフィリア”この単語も、ここ最近になって知りました。
現在自己判断で、ホルモン剤服用中
LGBTQの扉を開きましたが、途中怖くなって、引き返す可能性もある。
とりあえず報告まで。
返事は直ぐに返ってきた。
私のメッセージにビックリしたこと、LGBTの話しを私とできるとは思わなかったことなど、いろいろ返事が返ってきた。
匠とはチャットでいろいろ話しをした。メスイキ(ゲイ用語ではケツイキと言うらしい)など、ここには書けない、きわどい内容の文書のやり取りもした。
最後に匠が私に言った言葉が今でも頭に残っている。
「チ〇コは切らずに、男だった記念に取って置いたら?」とチャットで送ってきた。
男だった記念か、
その考えも悪くはないかな。
私はその後直ぐに、純女の玲奈にカムアウトの文書をメッセンジャーで送った。
バツ2で中学生の息子がいる玲奈からは、翌日にメッセージが返信されてきた。
「Midlife Crisis(中年の危機)」と書いてあった。
彼女とのやり取りは、また別の機会に書くことにして、今日はこの辺で締めておきます。