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天使の訪問

小説、<オペラ座の怪人(ガストン・ルルー 長島良三/訳)>より

偉大な音楽家、演奏家はだれでも、少なくとも一生に一度、音楽の天使の訪問を受けるのだそうだ。

その天使の訪問を受けた人は、以降、ひとたび楽器に触れたり歌を歌うために口を開いたりすればかならず、人間の出す他のあらゆる音が足下にもおよばないような美しい音色を響かせる。

彼らが天使の訪問を受けたということを知らない者は、彼らを天才と呼ぶ。

天使は揺りかごの赤ん坊を訪れることもあれば、ずっと後になってから訪れる場合もあり、ときには天使が最後まで来ないこともある。


音楽家や演奏家だけでなく、天才といわれると全ての芸術家には、それぞれの天使の訪問があるのだろうね。

歌終盤、どんどん上がっていくキー、最後には超音波なみの高さで歌うソプラノは、誰がでも出せるキーの高さではない。

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