生前の性のままで
この世に未練を残し逝ってしまったら、成仏できずに見えざる者として、この世にとどまり生前の性のまま、この世とあの世の狭間を彷徨うことでしょう。
そしていつしか自分を見失い、未練が怨念に変わる。
未練?
この世に未練を残すとしたら、男で生まれて、そして男で死んでしまうこと。
邪とかした自分は、この世に生きる女の体を乗っ取り、やっと、やっと女になれたと涙して鏡を覗き込む。
鏡に映った美しい女としての自分。
頬を流れる涙。
しかしよく見ると、頬を流れるのは血。
それに気づくと、鏡に映ってた美しかったはずの自分は、見るに堪えない恐ろしい姿をしていることに気づくのです。
奇声を上げる私、暴れる私。
いつか見えざる者が見える者に、その魂が祓われるまで、この世とあの世の狭間を彷徨うことでしょう。