鷲田さんへ。


私は数週間前まで新聞を取っていたのですが、 購読をやめました。 実家に住んでる頃からテレビをつける習慣がほぼ無い家でしたので1日10分くらい時間を取って新聞を読むというのが日常でした。
親と喋る話題のない時に、新聞に書いてあることについて話すことがありました。
子供だった頃は世の中がどんな風になっているかさっぱりわかっていないので、親と話すきっかけに私にとって新聞は大事なものでした。
新聞に書いてあること全てを信じないで疑いなさいとも親には言われました。

やめた理由は3つあって、一つは新聞を読む時間を他の事に使おうということと、 購読をやめれば新聞を片付ける時間がなくなるという事、それからお気に入りだった一面の鷲田清一さんの折々のことばが一旦休止になっていることです。

私は学生時代を仙台で過ごしたのですが、せんだいメディアテークという文化施設の館長を務めていただいた鷲田さんをお見かけしたことがあります。
体に身に着ける装いについての研究や文章を様々書いている方だけあって素敵な縦縞のボンタン型のスボンに、ジャケットを羽織っておられたのを覚えています。
鷲田さんくらいの年齢の方でこのような服を着ている方を見ることがなかったので新鮮で、その時も、そうか身に付けるものは自分を表現する大事なものであるから、私ももっと気をつけなければいけないなと思ったことだけは覚えています。ただ実行はしませんでした。その時は。
私はいつもお気に入りの青いシャツばっかり着ている人でした。

震災の後にせんだいメディアテークから館長のをしてほしいという依頼を受けて、京都にお住まいなのにわざわざ引き受けてくださったこと、様々な装いに関するイベントで仙台まで来てくださいました。
きりりとした装いなのに、話し方はとてもやわらかでした。

折々のことばが鷲田さんの休養のために休載となったのを見て、大人でもでもこうやって休んでいいんだなと気づきました。
新聞の購読をやめて折々のことばの代わりに私はいろんな本を読んで自分で言葉を探しています。
鷲田さんが元気になれますように。

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