当たり前じゃない日常
『当たり前じゃない日常』
三人声劇台本(男:女=2:1)
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1224
《登場人物》
・咲(さき)️…賢都と付き合っている。
・尊(たける)️…咲と幼馴染。咲への恋愛感情はない。
・賢都(けんと)️…咲と付き合っている。真面目。
《本編》
3人 『おはよう。』
咲 (M)1 日の始まりは挨拶からはじまる。太陽にも雲にも草にも虫にも。
尊 「咲〜!おはよぉ〜!!!」
咲 (M)朝から大きな声で挨拶してくれる幼馴染。
咲 「おはよー!!!」
咲 (M)一緒に学校に向かうわけじゃない。それでも声をかけてくれること
が、純粋に嬉しい。
賢都 「おはようございます。」
咲 「おはよう。今日は少し遅めなんだね?」
賢都 「今日は先輩と話しながら行きたい気分だったので…。」
咲 (M)少し照れたように眼鏡をぐいっと上げる。
咲 「もしかして…照れてる?」
咲 (M)お付き合いして初めての登校。私は朝から彼に会えてとても嬉しかっ
た。彼も同じ思いならいいなぁ〜。なんて思ってついからかう感じの口調になってしまう。
賢都 「さっ…咲さん。僕のことからかうのやめてください。これでも精一杯平常心保とうとしてるんです。」
咲 「ごめんね?いつもと違う表情が見れてつい…。呼び方も…うふふ、照れちゃうね。」
咲 (M)年下だけど自分の意見がしっかり言えて、筋が通った彼に惹かれた。だけど、年下らしい可愛らしさだったり普段は見せないような表情や声色を隣で見聞きできる事に凄く幸せを感じる。
咲 「賢都君、今日のお昼は一緒に食べられる?」
賢都 「大丈夫です!一緒に食べたいです。」
咲 「それじゃあ、またお昼に。」
咲 (M)教室に向かって歩いていると尊とすれ違う。特に会話をするわけではないけど、お互いニコッとする。そんなやり取りもお互い恋愛感情がないからできてるんだと思う。
咲 (M)勉強は楽しい。だけど、お昼のことばかり考えてしまっていつもより上の空になってしまう。午前最後の授業の終わりを告げるチャイムの音で私の意識は戻る。
咲 「お弁当、喜んでくれるといいなぁ。」
咲 (M)そんなことを呟きながら準備をしていると、少し息の切れた彼が教室の扉から顔を覗かせてキョロキョロしている。
咲 「賢都君!大丈夫?走ってきてくれたの?」
賢都 「体育だったので急いで着替えてきました。少しでも長く一緒にいたかったので。」
咲 (M)照れくさそうにしながらも、ストレートに言葉にしてくれる。そんなところも好き。
咲 「今日はお弁当作ってきたから、2 人で一緒に食べよ?」
咲 (M)びっくりした顔をした後に、凄く嬉しそうにしてくれた彼の反応を見て胸がキュッとした。
咲 「賢都君と一緒にいると、時間がたつのがあっという間だなぁ〜。」
賢都 「僕もです。」
咲 (M)お昼が終わる前に教室へ向かう足は少し重い。
咲 「帰り一緒に帰りたいな。大丈夫そうかな?」
賢都 「僕が教室まで迎えに行くので、咲さんは待っていてください。」
咲 「ふふっ。わかった。」
咲 (M)午後の授業も楽しくてあっという間…な時もあれば、今日みたいに長く
感じてしまうときもある。早く彼に会いたい。
尊 「咲ー!今日帰り暇か?」
咲 「ごめん。暇じゃない〜。」
尊 「じゃあ、借りてたノート家に届けとくわー!いつもありがとな!」
咲 「私で良ければいつでも声かけていいよ。」
咲 (M)幼馴染との他愛もない会話で時間がたつ。
尊 「咲、お迎え来てるぞ?」
咲 (M)彼が教室の中を覗いていた。
咲 「うん。じゃあ、またねー。」
尊 「おう!またなー!」
咲 (M)そんなやり取りを少し複雑そうな表情で見守っていた彼。
咲 「賢都君?怒ってる?どうしたの?」
賢都 「いえ、少し尊先輩に嫉妬してしまっただけです。」
咲 (M)ただの幼馴染だけど、嫉妬してしまう距離感に見えたのかな?
賢都 「尊先輩と話してほしくないとかではないんです!ただ、咲さん素敵な人だから…。僕なんかでいいのかなって。」
咲 「私は賢都君が好きだよ。賢都君だから好きなんだよ?」
賢都 「ありがとうございます。」
咲 (M)大好きな彼と過ごす時間はいつもあっという間だ…。もう自宅の前まで来てしまった。
咲 「明日は私が登校時間合わせるよ。」
賢都 「無理しないでくださいね?僕は特に明確な理由があって早く学校に行ってるわけじゃないので。」
咲 「うん。ありがとう。また連絡するね?」
賢都 「はい。僕も連絡します。」
咲 (M)明日会えるとわかっていても、今この時を少しでも長くと考えてしまう。
咲 (M)手洗いうがいを済ませてからお弁当箱を水につける。自室で明日の用意と出されていた宿題を片付ける。ホッとする時間には、つい彼の事を考えてしまう。
咲 「お礼と大好きの気持ちと明日楽しみにしてること伝えとこう。」
咲 (M)晩御飯とお風呂を済ませ、布団の中で今日のことを思い出す。幸せな気持ちに包まれたまま眠りに落ちる。明日もどうか素敵な 1 日になりますように。
END