井戸端怪異〜過去編(人体模型)〜
『井戸端怪異〜過去編(人体模型)〜』
4人用声劇台本(男:女:不問=1:2:1)
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/api-server/public/share/script/6560
《登場人物》
・人体模型…怪異『人体模型』
・メリーさん…怪異『メリーさん』
・花子さん…怪異『トイレの花子さん』
・こっくりさん…怪異『こっくりさん』
《本編》
人体模型:「毎日理科室で立ってるだけなのもいい加減飽きたな…。最近は授業で全然使ってくれなくなったなぁ…。ここに来たばかりの時は、よく前に立って皆から見てもらえていたのになぁ。」
こっくりさん:「おや、人体模型おはよう。」
人体模型:「あぁ!おはよう。」
こっくりさん:「今日は学校の外にいる怪異が遊びに来るらしいんだけど、行く?」
人体模型:「行く!その怪異は誰かの知り合いか?」
こっくりさん:「私ではないねぇ…。花子さんかな?」
人体模型:「花子さんかぁ、なんか知らないけど強そうだもんな!」
こっくりさん:「強そう?それは余り関係ないような気もするけど…。それに、花子さんは可愛いよ。」
人体模型:「可愛い?俺から見たら頼りになる姉ちゃんみたいな感じだけどな。」
こっくりさん:「姉…かぁ、わからなくもないけどね。」
人体模型:「だろ?」
人体模型:「で、来るって言ってた怪異どこだ?てか玄関じゃないところからってこともあり得るんじゃないか?」
こっくりさん:「んんー。私はどんな怪異かわからないから想像のしようがないねぇ。」
人体模型:「え?こっくりさんでもわからないことってあるんだなー。驚きだ!」
こっくりさん:「調べれば大抵のことはわかるよ?でも逆を言えば調べなければわからないってことさ。」
人体模型:「普段から使えるように先に色々調べておいたりしないのか?」
こっくりさん:「何でもわかるってのもつまらないんだよ。調べなくてもわかることから推測したりするのも楽しいからね。」
人体模型:「ほぇー。何かすげーなぁ。俺は毎日理科室で立ってるだけだからなぁ。暇ではあるけど、何か行動したりしてないし…。」
こっくりさん:「そうだろうなぁと思って今日誘ったんだよ。」
人体模型:「ありがとう。」
こっくりさん:「どういたしまして。」
花子さん:「おぉ、なんとも不思議な組み合わせじゃのぉ。」
人体模型:「花子さん、久しぶり!」
こっくりさん:「確かにあまり一緒にいることないものね。」
花子さん:「人体模型は理科室から出るなんて、初めてじゃないか?」
人体模型:「昼間に人間たちに連れられて散歩したことは何度かあったけど、それも無くなってからはずっと外に出てなかったな…。」
花子さん:「これからはたまにでも校内を散歩してみたらえぇんじゃないか?」
人体模型:「そうだな!じっとしてるのも飽きたし、自分で歩き回るのも楽しい。」
こっくりさん:「楽しんでもらえたなら、誘った甲斐があったよ。」
人体模型:「ところで、外の怪異が来るってこっくりさんから聞いて来たんだけど、花子さんの知り合い?」
花子さん:「私も直接会うのは今日が初めてじゃが、電話で何度も話はしとるでのぉ。」
こっくりさん:「じゃあ、友人ってことだね。」
花子さん:「そうじゃの。まさかこの歳で初めましてな怪異と知り合ったり、仲良くなるとは思っておらんかった。」
こっくりさん:「少しそわそわしてる花子さん、レアだね。」
人体模型:「確かに!!!」
花子さん:「近くに着いたら連絡くれるって言っておったから、しばらくはここで待つかのぉ。」
0:電話の着信音
花子さん:「もし?今どこにいるんじゃ?」
メリーさん:「今、学校の正門前にいるの。」
花子さん:「おぉ、ならもうすぐじゃな。」
メリーさん:「今、職員玄関の前にいるの。」
人体模型:「一体どんな怪異なんだろうな?俺よりデカくて力持ちだったりするかな?」
こっくりさん:「それはどうだろうね?花子さんの反応を見る限りムキムキではなさそうな気がするけど。」
人体模型:「花子さんのこと沢山知ってるんだな!まぁ、俺なんかよりずっと前から一緒だし当たり前か!」
こっくりさん:「…っ?!そうか、そんなに深く気にしたことがなかったけど。」
人体模型:「仲良しだもんな!」
こっくりさん:「…そうだね。」
メリーさん:「今、あなた達の後ろにいるの。」
花子さん:「お?おぉ!メリー!会うのは初めましてじゃの。」
メリーさん:「えぇ、今日はお招きいただいてありがとう。」
こっくりさん:「これは可愛らしいお嬢さんだ。初めまして、私はこっくりさんだよ。」
メリーさん:「初めまして。私メリーさんです。」
人体模型:「……あっ、俺は人体模型ってんだ。よろしく。」
メリーさん:「よろしくお願いします。メリーさんでもメリーでもお好きに呼んでいただければ嬉しいです。」
花子さん:「こんなところで立ち話もなんじゃし、どこか移動するか。」
こっくりさん:「どうせなら、理科室に行かない?」
人体模型:「…え?」
こっくりさん:「それならずっと話ができるだろ?」
花子さん:「それがいい!そうしよう。」
メリーさん:「私は皆さんとお話が出来るのであればどこでも構いませんよ。」
こっくりさん:「じゃあ、行こうか。」
人体模型:「おっ、おう!」
0:理科室
花子さん:「なんだか久しぶりに来たのぉ。」
人体模型:「ははっ、この学校の中でも三階の一番端にあるからな。」
こっくりさん:「私は毎日その日の気分でルート決めて散歩してるからあまり行ったことない場所はないかな。強いて言うなら体育館はそんなに行ったことがないかもしれないね。」
人体模型:「俺ずっとここに立ってるだけだったから、この階のことですら新鮮だー!」
花子さん:「人体模型がワクワクしておる。」
こっくりさん:「小さな子供みたいで可愛らしいね。」
花子さん:「そうじゃのぉ。」
メリーさん:「あの、私今まで怪異とあまり仲良くしてなかったので嬉しいです。」
花子さん:「他の怪異に会ったことはあるんじゃろ?」
メリーさん:「えぇ、八尺様とか口裂け女とか…。」
花子さん:「ほぉ。」
メリーさん:「仲が悪いわけじゃないんだけどね。多分お互い距離感というか、接し方がわからないんだと思うの。」
こっくりさん:「外にいる怪異たちでもそういうことってあるんだね。」
人体模型:「ここでもそういう奴いるのか?」
こっくりさん:「そうだねぇー。…さっき言ったけど体育館にも怪異はいるんだよ。」
人体模型:「へぇー。今度行ってみようかな。」
花子さん:「中に入る時は姿勢を低くしておいた方がええぞ。」
人体模型:「…?何かよくわかんないけど、覚えとく。」
こっくりさん:「中に入った瞬間自分の頭目掛けて…飛んでくるのさ。」
人体模型:「なにが?」
こっくりさん:「真っ赤な血の滴る”生首”がね。」
人体模型:「えぇ?!怖すぎる…。」
花子さん:「あれは生首じゃったのか…。」
メリーさん:「え?生首だけの怪異がいるの?!」
花子さん:「メリー?」
こっくりさん:「嫌な予感がするのは私だけかな…。」
人体模型:「俺も…。」
メリーさん:「…私、体育館ってところに行ってみたいわ!」
こっくりさん:「やっぱり…。」
花子さん:「あのな、メリー。さっき私達が話していた内容聞いておったか?」
メリーさん:「えぇ、もちろん!」
こっくりさん:「それでも行きたいんだね。」
花子さん:「私もついていこうかのぉ。」
人体模型:「俺もっ!」
こっくりさん:「じゃぁ、私も行くよ。」
メリーさん:「なんか肝試しみたいでワクワクするわね!」
こっくりさん:「怪異な私達が肝試しなんて可笑しな話だけどね。」
0:
花子さん:「着いたのぉ。」
こっくりさん:「そうだねぇ。」
人体模型:「……。」
メリーさん:「体育館ってこんな感じなのねー。」
花子さん:「(小声)おい、人体模型大丈夫か?」
人体模型:「だ、だだっだ大丈夫だ!」
こっくりさん:「かなり動揺してるねぇ。無理せず入口で待ってる?」
人体模型:「いや!俺は男だ。メリーさんも花子さんも守るんだ!」
花子さん:「私は守らんでも大丈夫じゃぞ?だてに長生きしとらんでのう。」
メリーさん:「私も大丈夫よ。まず自分の心配をした方がいいと思うんだけれど。」
こっくりさん:「ははは、そうだねぇ。」
人体模型:「何かあった時に動ける数は多いほうがいい。俺は行くぞ!」
こっくりさん:「面白いくらい足震えてるよ?人体模型。」
人体模型:「ん!?それはわかってるけど、触れないでほしかった…!」
こっくりさん:「おっと、それは気づけずごめんよ。」
花子さん:「絶対わざとじゃなぁ。」
こっくりさん:「ん?そんなことないよぉ?」
メリーさん:「ほら、早く中に入りましょ!」
:【体育館の扉を開ける。】
人体模型:「わぁああ!!!やめてくれぇぇぇぇぇ!」
こっくりさん:「ちょっと落ち着きなよ。まだ扉を開けただけだよ。」
花子さん:「ほれ、そんなところで突っ立っとらんで中入るぞ。」
メリーさん:「全く仕方ないわね。ほら、一緒に行くわよ。」
人体模型:「んぬわっ!?手?」
メリーさん:「何おどろいてるの?早く手、寄越しなさいよ。」
人体模型:「あぁ、ありがとう。」
こっくりさん:「はぁ、守るって言ってた相手に手引かれてるなんて…。」
:【いきなりボールが転がってくる。】
人体模型:「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
メリーさん:「何なんですか!ただボールが転がってきただけじゃない!耳が痛いんだけど…。」
花子さん:「普段から声が大きくて慣れているとはいえ、流石にキツイのぉ。」
こっくりさん:「(小声)女性陣が耳が痛いって言ってるけど…落ち着けそうかい?」
人体模型:「はっ!!?ごめん。怖さで声の大きさまでおかしくなってた。」
こっくりさん:「特になにもないみたいだし、出ようか。…ん?(小声)大丈夫、ちゃんと返してあげるよ。」
人体模型:「……?!!」
メリーさん:「なぁんだ、またはじめましての怪異と会えるのかなって思ったのに。」
花子さん:「まぁ、今日は私達だけで我慢じゃな。」
メリーさん:「そもそも今日は花子さんと会うって約束だったからねぇ。」
こっくりさん:「さっきのボール片付けてきたよ。」
花子さん:「おぉ、ありがとのぉ。」
メリーさん:「じゃあ、出ましょー。」
人体模型:「……。」
:【体育館を出る。】
メリーさん:「騒がしかったけど、楽しかったわー♪」
花子さん:「また今度、体育館行ってみるかのぉー。案外何処かに隠れて私達を見ていたかもしれんからなぁ。」
こっくりさん:「人体模型…?大丈夫かい?」
人体模型:「(泣いている。声が出ないように我慢。)」
花子さん:「ん?人体模型、どこか怪我でもしたんか?」
メリーさん:「え?怪我してるの?……って。」
人体模型:「うぐぐぐぅぅ…。」
こっくりさん:「人体模型、すごい顔してるよ…?」
人体模型:「だっ、だだだって…さっき。」
花子さん:「本当にどうしたんじゃ?」
人体模型:「え?俺だけ?…あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
:【人体模型叫びながらその場を離れる。】
メリーさん:「なんなのよ…。」
花子さん:「そんなに怖かったんかのう?」
こっくりさん:「少し放おっておいた方がいいかもしれないね。」
メリーさん:「もう少し話してみたかったのに…。」
花子さん:「いつでも遊びに来てくれればええぞ。」
メリーさん:「そうね、私もずっとここにいたいけどそういうわけにもいかないし…。また遊びに来ることにするわ。。」
花子さん:「気をつけるんじゃよ。」
こっくりさん:「(小声)さて、あの反応…人体模型にどうフォローしたらいいものか…。」
―END―