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スノーフレーク

『スノーフレーク』
三人声劇(男:女=2:1)
声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1225

《登場人物》
・尚(なお)…お馬鹿。感情のまま動く。言動が小学生。
・湊人(みなと)…クール。基本的には優しい。
・双葉(ふたば)…純粋。


《本編》

双葉 (M)カーテンの隙間から注がれる太陽の光。今日も私の慌ただしい 1 日が始まる。

尚 「よっ!おはよ!」

双葉 「今日も朝から元気だね…私まだ眠いよ…。」

尚 「双葉は本当に朝弱いよなー!玄関じゃなくて部屋まで起こしに行ってやろうか?」

双葉 (M)いたずらっぽく笑う顔を見て、からかわれているのだとわかっていても反応してしまう。

双葉 「冗談でもそういうこと異性に言うのやめた方がいいよ?」

尚 「(小声)双葉にしか言わねーよ。」

双葉 「…あっ、今日提出の課題やった?私昨日途中で寝ちゃって…。」

尚 「ははっ!俺がやってると思うか?湊人に見せてもらうに決まってるだろ♪」

双葉 (M)そうだった…。授業中は寝てるかスマホいじってるんだった…。

双葉 「いつ勉強してるの?テストは割といい点取ってるよね?なんか悔しいんだけど…。」

尚 「え?……知りたい?」

双葉 「むかつく…。どうせ『家で教科書読んでればなんとなくわかるだろ?』でしょ?」

(学校の校門が見える。)

尚 「あっ!みーなーとぉー!!おはよー!!!」

湊人 「二人とも、おはよう。」

尚 「みーなーとー。お願いがあるんだけどー!」

湊人 「どうせ課題やってないから見せてほしいんだろ?貸してやるからすぐ
写せ。」

尚 「いつもありがとなー!」

湊人 「お礼はいいから、たまには自分でやってこい。課題の意味ないだろ。」

双葉 「ごめん。湊人くん…。私も課題やれてなくて。一緒に見せてもらってもいいかな?」

湊人 「えっ...。双葉が課題やり忘れたなんて、少し驚いた。俺のでよければ。」

双葉 「ありがとう!お礼は何がいいかな?」

湊人 「ブラックコーヒーで頼む。」

双葉 「わかった!返す時に一緒に渡すね。」

湊人 (M)本当はデートが良かったんだけどな...。

湊人 「俺のクラスは提出帰りだから、これ双葉に渡しておく。」

尚 「なんで俺じゃねーんだよ!」

湊人 「無くされたり汚されたら嫌だからだよ。」

尚 「あぁー??ひっでぇー!!」

湊人 「前科があるから仕方ないだろ…。」

双葉 「えっと、湊人くんありがとう。」

湊人 「あぁ、よろしく頼む。」

(双葉、尚の教室につく。)

双葉 「尚ー、1時間目自習らしいから今のうちに課題やっちゃおー。」

尚 「しゃーねー。やるかぁー。」

(しばらくして。)

尚 「おっし!終わったぁ〜!!!」

双葉 「えっ?もう?私まだわからないところある…。」

尚 「まさか…問題解いてるのか?」

双葉 「そうだよ?じゃないとわからないじゃない。」

尚 「はぁー。わかんないのどれ?教えてやるから。」

双葉 「ありがとう。こことここなんだけど。」

双葉 (M)普段とのギャップに心臓の音がうるさい。

双葉 「ありがとう!凄く分かりやすいかった。」

尚 「はははっ!そうかぁ〜?なんか照れるなっ!」

双葉 (M)笑った顔はいつもと変わらないけど、耳が真っ赤になっていて可愛い。

尚 「…っ。何笑ってんだよ。(小声)それは反則だろ。」

双葉 「耳まで真っ赤だったから、可愛いなって思って。」

尚 「(小声)可愛いのは双葉の方だろ。」

双葉 「ん?どうかした?」

尚 「なんでもねーよ。…鈍感。」

(チャイムの音)キーンコーンカーンコーン

双葉 (M)あっという間に授業終わったなぁ。今日はお昼どこで食べようか
な。

尚 「湊人に課題返しに行くなら俺もついてく。」

双葉 「え?お昼食べる場所散策するだけだよ。」

尚 「んー。そっか。気をつけてなー。」

双葉 「ふふふっ。ありがとう。行ってくるね。」

双葉 (M)いつもお弁当だから、久しぶりの購買楽しかったなぁー。

双葉 「期間限定の見つけて自分のも買っちゃったー。」

双葉 「中庭あたりなら静かに食べられそうかな。」

湊人 「双葉?」

双葉 「あ!湊人くん!さっき教室覗いてもいなかったから、どこにいるのかなと思ったらここにいたんだね。」

湊人 「もしかして、わざわざ課題届ける為に?」

双葉 「お昼食べる場所、探してたんだぁー。一緒に食べてもいい?」

湊人 「あぁ、もちろん。」

双葉 「会えた時の為にって課題持っててよかったぁー。貸してくれてありがとう。お礼の品もどうぞ。」

湊人 「あぁ、役に立てたなら良かった。ありがとう。」

双葉 「久しぶりに湊人くんとゆっくり話する気がする。」

湊人 「いつも尚へのツッコミで終わるからな…。本当はもっと色々話したいんだけど。」

双葉 「え!そうなの?じゃあ明日も一緒にお昼ご飯食べない?」

湊人 「いつもは一緒に食べてるんじゃないのか?」

双葉 「ん?違うよー。私一人でご飯食べてるもん。」

湊人 「意外だな。教室で机囲んで食べてるものだと思ってた。」

双葉 「その日の気分でどこで食べるか決めてるんだぁー。楽しいよ!お昼ご飯はまったりしたいし。」

湊人 「それは、俺と食べるのは大丈夫なのか?」

双葉 「大丈夫!私が湊人くんと一緒にご飯食べたいなって思ったんだもん。湊人くんが一人で静かに食べたいとかなら、遠慮しとくけど。」

湊人 「いや、俺は教室とかの賑やかな場所が苦手なだけで、一人になりたい訳じゃない。それに、相手が双葉なら断る理由がない。」

双葉 「やった♪明日の楽しみが一つ増えたっ!」

双葉 (M)一人で景色を眺めながら食べるお昼も好きだけど、湊人くんと話しながら食べるご飯も楽しい。

湊人 「こんなに色々話したの久しぶりだったな。」

双葉 「凄く楽しかったー!」

湊人 「明日も楽しみにしてる。」

双葉 「湊人くんも楽しみにしててくれるの?嬉しいっ!」

湊人 「それじゃあ。」

双葉 「うん。午後も授業頑張ろ!」

湊人 「ははっ…。そうだな。双葉は頑張りすぎないようにな?」

双葉 「え?頑張らないと成績下がっちゃうよー。」

湊人 「いざとなったら俺が教えるから。いつでも声かけてくれて構わない。」

双葉 「ありがとう!頼らせてもらう可能性高いと思う…!」

湊人 「双葉と勉強会楽しみにしてる。」

双葉 (M)頭をポンッとしながら覗いた顔はいたずらっ子のようで…。

双葉 「えっ?うっうん!そうだねっ!」

双葉 (M)ドキッとした私に気づいたのか、少し嬉しそうに微笑んだ顔にも鼓動が高鳴る。

双葉 「はぁ…。どっと疲れたぁ。」

尚 「大丈夫かぁー?」

双葉 「あっ…ごめん、声に出てた?」

尚 「戻ってきてから心ここにあらずな感じだったけど…何かあった?」

双葉 「えっ…?いや…別に。湊人くんとお昼食べたくらいで。」

尚 「は?!湊人とっ?!」

双葉 「お昼どこで食べようかなーって、中庭覗いたらいたの。」

尚 (M)くそっ…一緒に行けばよかった。

尚 「あのさ…今日、双葉の家遊び行ってもいいか?」

双葉 「え?…突然だね。大丈夫だと思うけど、一応お母さんに確認してみるね。」

(双葉、母親に電話する。)

双葉 「もしもし?お母さん?今日、尚が家に遊びに来たいって言ってくれてるんだけど、大丈夫かな?」

双葉 「うん。わかった!ありがとうお母さん。」

尚 「おばさんなんだって?」

双葉 「大丈夫だって!帰り遅くならないようにねって。晩御飯一緒に食べる?」

尚 「いや、今日は家で食べるって朝言ってあるから…大丈夫。伝えときたいことあるだけだしな。」

双葉 「今じゃ駄目なの?緊張するんだけど…。」

尚 「誰が聞いてるかわからないからな…。驚かせるとは思うけど、怖いことじゃないから安心しとけ。」

双葉 「うん…。」

尚 「今日は先に帰ってあとから家行くわ!」

双葉 「わかった。待ってるね。」

双葉 (M)私だけに話したいことってなんだろう?

双葉 「あっ…帰る準備しないと。」

湊人 「あっ!双葉!!!」

双葉 「へっ?湊人くん!びっくりしたぁー。どうしたの?」

湊人 「今日は一人なのか?」

双葉 「うん。尚は先に帰るって。」

湊人 「あいつ何かいつもと違うこと言ってたりした?」

双葉 「え?私に話したいことあるとは言われた。」

湊人 「そっか…。じゃあ、今日は俺が一緒に帰っても大丈夫?」

双葉 「うん。大丈夫だよ!」

双葉 「湊人くん。」

湊人 「どうした?」

双葉 「なにか私に話したいことあったりする?」

湊人 「あぁ…。そう、だな…。」

双葉 (M)歯切れの悪い返事に不安で少し泣きそうになる。

湊人 「…。そんな泣きそうな顔するな。ごめんな。ちゃんと話すから。」

双葉 「うん。」

湊人 「俺、双葉のこと好きなんだ。」

双葉 「……………。」

双葉 (M)突然のことで頭が真っ白になり言葉が出てこない。

湊人 「柔らかく笑う顔も、優しく響く声も、少し怒った顔も、すぐ泣きそうになるところも、それを我慢してる顔も、気配り上手なところも…」

双葉 「(湊人の台詞に被って)ちょっ…ちょっと待って!」

湊人 「どうした。」

双葉 「えっと…。湊人くんが私のこと好きってこと?」

湊人 「そうだよ。」

双葉 「え?ちょっと待って…。頭が混乱してる。」

湊人 「驚かせてごめん。」

双葉 「いやっ、謝らないで…。びっくりしちゃっただけ…。」

湊人 「返事は、今すぐじゃなくていい。明日のお昼は一緒に食べるのはやめよう。」

双葉 「えっと…。ありがとう。その…、気持ち伝えてくれて。」

湊人 「告白なんて所詮自己満足だから。俺の方こそ話聞いてくれてありがとう。帰り道気をつけるんだぞ?」

双葉 「うん。わかった。ばいばい。」

湊人 「あぁ、また明日な。」

双葉 (M)私は背を向けて歩き出す彼の背中をしばらく見つめていた。

双葉 「ただいまー。どうしよう。頭働かない…。」

双葉 (M)とりあえず、学校の荷物片付けなきゃ…。

双葉 「うぅーん。尚が来る前に少しは落ち着かなきゃ…。そういえば、尚も話したいことあるって言ってたなぁ。なんだろ?」

ピーンポーン(玄関のチャイム)

双葉 「…尚かな?」

尚 「よっ!お菓子と飲み物持ってきた。」

双葉 「あぁ、ありがとう。」

尚 「お邪魔しまーすっ!」

双葉 「今日はリビングでもいい?」

尚 「おうっ!」

双葉 (M)尚のいつもと変わらない声と笑顔に少しほっとした。

尚 「あのさ、双葉…。また何かあった?」

双葉 「へっ?いやっ!何もないよ。」

尚 「その反応あったって言ってるようなもんだぞ?言えないことなら無理に聞かないけど、いつでも頼れよなっ!」

双葉 「私が考えなきゃいけないことだから…。」

尚 「ふーん。そうか。」

双葉 「気にかけてくれたのにごめんね。」

尚 「なんで双葉が謝るんだよ。別に悪いことしてるわけじゃないだろ?」

双葉 「そうなのかな…?」

尚 「大丈夫か?」

双葉 「ごめん、大丈夫。」

尚 「…わかった。でも、一人で抱え込んで無理しない!これだけは約束な?」

双葉 「うん。わかった。」

尚 「よし!俺ポテチ食う。双葉の好きそうなのも買ってあるぞ。ほら!」

双葉 「あっ…本当だ。美味しそう!ありがとう。」

尚 (M)やっと笑ったな。

双葉 (M)尚は色んなことに気づいてすごいなぁ。

双葉 「これ美味しいね。尚も一緒に食べよ?」

尚 「俺ポテチ食いたかっただけだったし、あとは双葉が全部食べな。」

双葉 「全部って…こんなにもらっちゃっていいの?」

尚 「つい双葉が好きそうだなーってカゴに入れまくったから…!」

双葉 「じゃあ今度何かお菓子作るね!」

尚 「よっしゃー!双葉の作ったお菓子好きなんだよなー♪」

双葉 (M)いつも具体的に感想くれるから作りがいがあるんだよね。

双葉 「何がいいとかリクエストある?」

尚 「そうだなー。クッキーも、抹茶のマドレーヌも好きだしなぁー。今まで
食べたお菓子どれも美味しかったからなー。」

双葉 「ありがとう。じゃあ、私のおまかせでもいい?」

尚 「おう!楽しみにしとく!」

尚 「あっ、もうこんな時間か…そろそろ晩飯だし帰らなきゃな…。」

双葉 「うん…。そうだね。」

双葉 (M)少し空気が変わった気がして無意識に身構えてしまう。

尚 「あのさ…俺。」

双葉 「うん。」

双葉 (M)ドキドキしているのを必死に抑える。

尚 「(小声)好きなんだ…。」

双葉 「…ごめん。聞こえなかった。もう一度お願いしてもいい?」

尚 「好きなんだ…双葉のこと。」

双葉 「(小声)え…嘘でしょ。」

尚 「双葉?」

双葉 「あぁ!ごめん。びっくりしちゃっただけ。」

尚 「すぐに返事ほしいわけじゃないんだ。最近、男子の中で双葉のこと話しするやつ多くて…。知らない間に誰かとくっついたりしたら嫌だなって。せめて気持ちだけでも伝えねーとって思って。自分勝手なのはわかってる。ごめん。」

双葉 「謝らないで。自分の気持ち伝えるのすごく勇気がいると思うの、だから…言ってくれてありがとう。」

尚 「いきなりびっくりさせたよな…。」

双葉 「…うん。」

尚 「じゃあ…、俺帰るな。」

双葉 「うん。気をつけてね。」

尚 「また明日な。」

双葉 (M)2 人の気持ちは嬉しい。でも…。

双葉 「返事…なるべく早い方がいいよね。」

双葉 「わからなくなってきたよ…。」

ピピピッピピピッ(アラーム音)

双葉 「んー。はぁ…えっ?いつもより早起きじゃん…。」

双葉 「いただきます…。」

双葉 「今日、晴れかー。暑くなりそう。」

双葉 (M)こんなにドキドキしたら心臓もたない...。

双葉 「学校休みたいけど…。昨日の今日で心配かけちゃうもんなぁ…。」

双葉 「連絡しようかな。…あれ?尚から連絡きてる…。『今日、部活のミーティングあるの忘れてた!先に学校行くから寝坊すんなよー!』って…。」

双葉 (M)ふぅー。学校つくまでは落ち着いていられそう。

双葉 「学校行くだけなのに…疲れた。」

湊人 「双葉おはよう。」

双葉 「へっ?!あ!湊人くん、おはよう。」

湊人 「今日は尚と一緒じゃなかったんだな。」

双葉 「うん!部活のミーティングあるって連絡来てた。」

湊人 「そうか。今日も可愛いな。」

双葉 「え?あ、ありがとう?」

湊人 「どうして疑問形なんだよ。」

双葉 「どう反応していいのかわからなくて…。」

湊人 「まぁ、そこも含めて好きなんだけど。」

双葉 「ふぇっ?!」

湊人 「双葉、顔。さっきから面白いことになってる。」

双葉 「誰のせいだと…。」

湊人 「(少し前の台詞と被る)俺のせいでしょ?」

双葉 「わかってるなら、からかうのやめてよ…。」

湊人 「ごめん。でも、思ったこと口に出してるだけだよ。」

双葉 「うぅー。」

湊人 「もう教室着くし、今はこれで勘弁しておいてあげるよ。」

双葉 (M)なんか…湊人くんの気持ちが全力で投げられて、私が驚いたり恥ずか
しがったり困ってるの見てる顔が…いつもより意地悪だったけど、声は優しかったな…。

双葉 「(小声)んー!どうすればいいのよー!」

双葉 「心臓がもたない…。」

尚 「おーい。双葉ー?起きないと、授業始まるぞ?」

双葉 「…ん?私寝ちゃってたの…。」

尚 「いびきすごかったぞ?」

双葉 「えっ!?嘘っ!!!」

尚 「あはははっ!大丈夫。嘘だから。」

双葉 「嘘つくなんて酷い。」

尚 「ごめんごめん。」

双葉 「でも…起こしてくれてありがとう。」

尚 「おう!」

双葉 (M)湊人くんは告白したからなのか気持ちストレートにぶつけてきてたけど、尚はいつもと変わらない。少しホッとした。

双葉 「(小声)もう…自分の気持ちがわからないよぉ…。」

双葉 (M)授業の合間に話しかけに来るわけじゃなくて、自分の席から私をにこにこして眺めてる尚…。言葉じゃなくて、行動でバンバン伝わってくる好意もなかなか照れくさい。

双葉 「(小声)助けてぇ……。頭パンクしちゃう。」

(↓自分の席でひとりごと。双葉には聞こえない。)
尚 「何してんだあいつ…。面白すぎ…。はぁー。可愛いなぁー。」

キーンコーンカーンコーン

双葉 (M)やっと終わった…。今日はどこで食べよう。誰もいないところで食べたいなぁ。頭疲れちゃった。

双葉 「ここなら滅多に人来ないし、落ち着けるかなー。」

双葉 (M)自分の気持ちを二人にどう伝えればいいのかな...。

尚 「双葉、おかえりー。今日はギリギリまで食べてたんだな。なかなか戻っ
て来ないから、何かあったのかと思って電話しようとしてた。」

双葉 「ちょっとぼーっとしちゃってただけだよ。心配かけてごめんね。」

尚 「今日、帰りどうする?俺は一緒に帰りたい。」

双葉 「えーっと。用事あるから、少し待っててくれる?」

尚 「わかった。じゃあ、部活に顔出してくる。終わったら連絡して。」

双葉 「わかった。」

双葉 (M)用事なんて言ったけど、湊人くんと話をしようと思ってる、なんて素直に言えるわけないよね。

尚 「じゃあ、連絡待ってるから。」

双葉 「わかったー。」

双葉 (M)ぐるぐる考えても仕方ない。まずは湊人くんに自分の気持ちを伝えよう。

双葉 「湊人くん。」

湊人 「あぁ、双葉。どうしたんだ?帰りに顔出すなんて珍しいな。尚、待ってるんじゃないのか?」

双葉 「尚なら大丈夫。用事があるって、伝えてあるから。」

湊人 「そうか...。」

双葉 「あのね、話したいことがあるの。」

湊人 「場所変えるか?俺はここでも構わないけど。」

双葉 「えっと、人が少ないところの方が話しやすいかな。」

湊人 「わかった。荷物持ってくるから待ってくれるか?」

双葉 「うん。大丈夫。」

湊人 (M)昨日の返事だろうな。断られるだろうが、好きな気持ちは表に出していきたいな。もちろん双葉が嫌がらなければだけど。

双葉 (M)湊人くん、昨日のことだって気づいてないのかな?

湊人 「それで、俺に話ってなに?」

双葉 「えっと…。ちょっと言いづらいことではあるんだけど。」

湊人 「ゆっくりでいい。」

双葉 「うん。ありがとう。」

湊人 「…。」

双葉 「えっと…。昨日の返事なんだけど…。」

湊人 「あぁ。」

双葉 「その…ね。湊人くんのことは好きだけど、それは恋愛感情じゃない…と思うの。だから、ごめんなさい。」

湊人 「双葉。断るなら曖昧な言い方じゃない方がいいぞ。『じゃないと思う』なんて言われたら少しでも可能性があるのと期待するけど、いいのか?」

双葉 「ごめんなさい。でも、正直わからなくて。」

湊人 「…。これからもアプローチすることは OK って解釈でいい?」

双葉 「えっ…。答えられないと思うけど。それでもいいの?」

湊人 「1%でも可能性があるなら、俺は諦めるつもり無いよ。」

双葉 「そっか。わかった。」

湊人 「話はそれだけか?それなら俺は帰るけど。」

双葉 「あっ、うん。またね。」

湊人 「あぁ、また明日。」

双葉 (M)緊張したぁ…。尚にもちゃんと気持ち伝えなくちゃ。

双葉 「もしもし?用事済んだんだけど、まだ部室にいる?わかった、じゃあ待ってるね。うん。」

双葉 (M)ふぅー。緊張する。

尚 「双葉〜!わりぃ、待たせた!」

双葉 「全然大丈夫だよ。急いできてくれたの?ありがとう。」

尚 「用事早く終わったんだなー!帰りどっか寄る?まっすぐ帰るか?」

双葉 「どこも寄らずに帰りたいかな。」

尚 「わかった。じゃー帰ろうぜ。」

双葉 (M)どのタイミングで話せばいいんだろう…。

尚 (M)さっきから何か言いたそうにしてんなぁー。双葉真面目だから、きっ
と告白の返事なんだろうなー。あぁ…。絶対俺からどうしたか聞かねー。振られるのわかってて聞きたくねーよ。

双葉 「尚、あのね。」

尚 「ん?」

双葉 「尚に伝えておきたい事があるの。」

尚 「………。」

双葉 「あのね、私…尚の事は好き。でも、恋愛感情じゃないと思うの。だから、ごめんなさい。」

尚 「そうだろうと思ってたよ。気にすんなよ!気持ち伝えたかっただけだって言ったろ?」

双葉 「うん。それは、そうなんだけど。」

尚 「でもな、双葉。振るならきっちり振ってくれ。曖昧な言葉使われたら変に期待しちゃうだろ?」

双葉 「えっ…。それ。」

双葉 (M)湊人くんにも同じこと言われた…。

尚 「俺のことを思ってくれてるなら、ちゃんと振ってくれ。」

双葉 「ごめん。自分でもよくわからないの。今まで誰かを恋愛感情として好きになったことがないから、そういう好きと人として好きって感覚の違いが、わからないの。」

尚 「じゃあ0じゃねーってことでいい?」

双葉 「わからない。」

尚 「じゃあ、俺諦めない。アプローチはしていくから、もし嫌だったりしたら言ってくれ。双葉の嫌がることはしたくないんだ。」

双葉 「…わかった。」

尚 「難しいことかもしれないけど、避けたりはしないでほしい。我儘でごめん。」

双葉 「大丈夫。私のこと沢山考えてくれてありがとう。」

尚 「好きな人に嫌われたくはないからな。…じゃあまた明日なー。」

双葉 「じゃあね。」

双葉 「結局、曖昧な返事しかできなかったなぁ…。」

湊人 (M)明日からも思いを伝えていこう。

尚 (M)明日からはもう少し気持ち伝えてもいいかもしれねーな。

双葉 (M)この好きはどっちの好きなのかな…。

END

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