MOSFETスイッチングの秘密:回路を稲妻のように高速でスイッチさせる方法
MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)は、電力効率とスイッチング速度において非常に優れた半導体デバイスです。特に、スイッチングアプリケーションにおいて、MOSFETの特性が非常に重要な役割を果たします。この技術を最大限に活用するためには、MOSFETがどのようにスイッチングするのかを理解する必要があります。この記事では、MOSFETスイッチングの秘密を解説し、あなたの回路が稲妻のようにスイッチするためのヒントをお伝えします。
MOSFETの動的特性
MOSFETのスイッチング動作は、特に動的特性に依存しています。これらの特性は、MOSFETがどれだけ速くオンまたはオフに切り替わるかを決定します。MOSFET内部には、スイッチング特性に大きく影響する寄生容量と抵抗があります。簡略化したNチャネルMOSFETの等価回路を見てみましょう。
Cgs(ゲート-ソース容量)
Cgd(ゲート-ドレイン容量)
Cds(ドレイン-ソース容量)
Rd(ドレイン抵抗)
Rg(ゲート抵抗)
Rs(ソース抵抗)
これらの寄生容量と抵抗は、MOSFETのスイッチング速度に直接影響します。特に、ゲート-ドレイン容量(Cgd)はスイッチング時に重要です。この容量は「ミラ容量(Cmi)」とも呼ばれ、スイッチング特性において非常に大きな役割を果たします。
スイッチングの過程
MOSFETのオン動作
MOSFETをオンにするためには、ゲート-ソース電圧(Vgs)を加える必要があります。この電圧が上昇すると、MOSFETの入力容量(Ciss)が充電され、MOSFETがオンになります。
t0〜t1: 最初にVgsが増加し、MOSFETの入力容量Cissが充電されます。
t1〜t2: Vgsがしきい値を超えると、MOSFETが導通を始め、ドレイン-ソース電圧(Vds)が減少します。
t2〜t3: VdsがVgsと等しくなり、ミラ容量が増加します。この段階では、MOSFETのゲート電荷がミラ容量を通じて供給され、Vdsをさらに減少させます。
t3〜t4: 入力容量が完全に充電され、MOSFETの抵抗(Rdson)が最小になり、MOSFETが完全にオンになります。
MOSFETのオフ動作
MOSFETをオフにするには、ゲート電圧Vgsを減少させる必要があります。これにより、入力容量が放電され、Vgsが低下します。
t5〜t6: Vgsを取り除くと、MOSFETの入力容量は放電を開始します。これにより、Vdsが増加します。
t6〜t7: VdsがVgsと等しくなり、ミラ容量が減少します。この段階でVdsは急激に上昇し、MOSFETの抵抗が増加します。
t7〜t8: ゲート電圧がしきい値電圧以下に減少し、MOSFETは完全にオフになります。
スイッチング時間の測定
MOSFETのスイッチング時間は、次のパラメータで測定されます:
Turn-On Delay Time (td(on)): MOSFETがオンになるまでの遅延時間。
Turn-Off Delay Time (td(off)): MOSFETがオフになるまでの遅延時間。
Rise Time (tr): Vdsが90%から10%に減少するまでの時間。
Fall Time (tf): Vdsが10%から90%に増加するまでの時間。
これらのスイッチング時間は、MOSFETのスイッチング速度を決定し、高速でスイッチングを行うためには、これらの時間を短縮することが重要です。
MOSFETの選び方と最適化
MOSFETのスイッチング速度を最大限に活用するためには、適切なゲートドライバ回路を使用することが重要です。ゲートドライバは、MOSFETのゲート電圧を迅速に供給し、MOSFETを効率よくオン・オフします。また、寄生容量を最小化するために、適切な回路設計が必要です。
Bostock では、MOSFETに関連するさまざまな回路設計やコンポーネントについて詳細な情報を提供しており、MOSFETスイッチング技術を向上させるための最適化手法についても学べます。