【嘘日記】とつげきとなりの吸血鬼
「トリック・オア・トリート!」
「だからなんで俺がトリック・オア・トリートされる側なんだよ!逆じゃん?!俺吸血鬼よ??」
にぎやかな声がとなりの席から聞こえる。
となりの席の桂くんは今朝から何度目かの「トリック・オア・トリート」に少々おかんむりだ。
まあ、桂くんの言い分はごもっともだと思うけど。
ハロウィンは、ホントの日付でいけば今年は土曜日。
だから前日である今日が校内でまあまあ空気感としては盛り上がる。
バレンタインデーとかホワイトデーみたいなもんだ。
非モテには関係ないけど。
となりの席の桂くんは先程本人が言ってたように吸血鬼だ。
と、いっても数多の創作にあるような太陽光に弱いとか十字架に触れないとか聖水にかぶれるとかそんな弱点はなく、唯一の弱点といえば食事が輸血パックか花かの二択であるといったところか………弱点だろうかこれ。
食事の関係上どうしても栄養失調を起こしやすいことを除くと、細めの体躯の割に怪力だったり、黙ってりゃ絶世の美少年だったり(大口開けて笑ってんのも楽しそうなんだけど)、そんな特徴をもつただのクラスメイトだ。
そういえばさっきのTOTはどんな結果になったのかなと隣を見れば朝はじゃらじゃら持っていたキャンディがそこを尽きてしまったらしく、ほっぺたを引っ張られるといったかわいいいたずらを実行されていた。
はー。
イケメンはどんな顔でもイケメンなんだなーとぼおっと眺める。
と、ほっぺを伸ばされた本人と目があった。
「なに?」
視線で問われる。
「いや何も。」
視線と顔の前で手を振るジェスチャーで答える。
「おーいお前らー!帰りのHRはじめるぞー」
担任が教室に入ってきたことによりおふざけタイムは終了。
明日はどうしようかなー。