「アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―」をもっと楽しむ~展示に関する音楽~
2022年12月10日から大阪・あべのハルカス美術館で展示がはじまった「アリス― へんてこりん、へんてこりんな世界 ―」。早速足を運んできた方、東京の方の展示を見た方、これから行きたいと思っている方、根っからのアリスファンの方…多くの方に展示をもっと楽しんでいただくために、その世界観、そしてアリスから広がった「音楽」をご紹介していこうと思います。見て聴いてお楽しみいただければと思います。
本展の見どころは、ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」が生まれた背景やモデルの紹介、そしてアリスのモチーフが映画やアート・ファッションにめまぐるしく展開していく点ではないでしょうか。
まずよく注目されるのは魅力的な挿絵でしょう。二人のイラストレーターの作品をそれぞれ見ると、違った魅力があります。
本展での見どころは、ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」が生まれた背景やモデルの紹介、そしてアリスのモチーフが映画やアート・ファッションにめまぐるしく展開していく点ではないでしょうか。
まずよく注目されるのは魅力的な挿絵でしょう。二人のイラストレーターの作品をそれぞれ見ると、同じ場面でも違った魅力があります。
また、美術ファンからすると、アリスの世界と「シュルレアリスム」のつながりは意外でおもしろいもの。「穴に落っこちたら不思議の国」「”Drink me”と書かれた体が小さくなったり大きくなったりする飲み物」「奇妙なティーパーティー」など「へんてこりん」なことばかりが起きる物語の中で、アリスは現実と夢の境がわからなくなります。無意識・夢を描くことをかかげた超・現実のムーブメントだったシュルレアリスムは、時空がゆがみ常識から外れたアリスの世界観と相性が良かったのです。展示ではサルバドール・ダリのアリス挿絵が展示されています。
一方音楽のほうはどうでしょうか?
ジャズに関心がある方なら、「Alice in Wonderland」というスタンダード曲を知っているのではないでしょうか。
もとはディズニー映画版「ふしぎの国のアリス」のテーマ曲。一般的にワルツと同じ3拍子で演奏されます。
ジャズ版ではビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンなど名だたるレジェンドのジャズピアニスト達が録音を残していますので、聞き比べもオススメです。
そしてあまり知られていませんが、20世紀アメリカの作曲家アーヴィング・ファインも、アリスの物語からインスパイアされた3つの合唱曲を書いています。
1,ロブスターのカドリーユ踊り
2,侯爵夫人のための子守唄
3,ウィリアム父さん
こちらが第1番の『ロブスターのカドリーユ踊り』です。
アーヴィング・ファイン『不思議の国のアリスより3つの合唱曲』
1,ロブスターのカドリーユ踊り
コーラスの掛け合いがユーモラスで、モダンな響きの楽しい音楽です。
また日本の作曲家・吉松隆さんも『チェシャ猫風パルティータ』という曲を書いています。そちらはピアノに打楽器のための、なんとも楽しくユーモアあふれる音楽です。
美術との親和性が注目された美術展と、音楽をご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
ファッションにもジャズにも幅広く広がっていく様子を見ていると、「不思議の国のアリス」がいつの時代も芸術家にインスピレーションを与えるのだな、ということがよく分かります。
ぜひさまざまな方向に寄り道してアリスの世界を楽しんでくださいね。
角田知香