どこからどこまでの範囲で全力を出すのか
「何事にも全力を尽くせ!」
すごい大切なことだと思います。
全力で尽くしたからこそ得られるもの、見えるものがあります。
ですが、
●全力を尽くす場所が決まっている
●全力を求められる場所が明確になっている
こんなときは、何事にも全力を尽くす必要はないのでは?と思い始めました。
自分自身の実体験をもとに、そんなことを書いていきます。
目次
0.導入
1.自分の職業を理解する
2.頑張るべき場所を理解する
3.割り切るものを理解する
4.全力を出す範囲を理解する
5.まとめ
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0.導入
今回は、僕が大好きな野球を例にお話を進めます。
ちょっと長いですが、大事な導入部分です。
僕は、小学校2年生から現在まで約19年間ずっと野球を続けています。
中学校入学からピッチャーなので、かれこれ15年ぐらいピッチャーをやっています。
肩が周りより少し強く、球速が周りより少し速いという理由でピッチャーになったのだと思っています。
詳しいことは忘れましたが。
中学から大学まで、僕は典型的な球は速いけどノーコンタイプのピッチャーでした。
自滅して点を取られていく、どう頑張ってもプロには行けないタイプですね。
遠投すれば100mぐらいは投げれるし、調子が良いときは140km/hにも迫るボールを投げられる。
でも、コントロール悪いからストライクが入らないし、大学の後半はケガも多くてそもそも試合にもあまり出られず。
日の目を見る選手ではありませんでした。
で!で!
ここからが今回のテーマに関わる話なので、しっかりとこの前提条件を頭に入れていただきたく。
大学の野球部を引退して、大学院に在席していたときは全く野球をしていませんでした。
社会人になって「やっぱり野球がやりたい!」と思って社会人の硬式野球チームの門を叩くも、
・筋力が衰えすぎている
・球速が全然出なくなっている
・投げるたびに肩が痛くなる
こんな風に、約3年もブランクは僕の体に相当なダメージをもたらすように。
ですが、その硬式野球チームに入って今年で3年目。
自分の体との戦いは延々続いていますが、ピッチャーとしてそれなりにプレーできています。
レベルの高い社会人野球でプレーできて、最高に楽しいです。
なぜ今もなおプレーできているのか?
それは、
『自分が全力を出す範囲を明確に決めたから』
に他なりません。
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1.自分の職業を理解する
初めに、僕はピッチャーという職業の定義付けをしました。
ピッチャーとは文字どおり、球を投げる人です。
野球のグラウンドに1箇所だけ土がこんもり盛られた場所があり、そこがマウンドと呼ばれる場所です。
マウンドの上に白いプレートがあり、そのプレートから18.44m離れた場所にホームベースという"野球をやる上で最も大切な物"が埋められています。
ホームベースの後ろに座っているキャッチャーがピッチャーの投げた球を捕球してくれ、ホームベースの横に立つバッターが球を打ち返そうとしています。
ピッチャーが球を投げることから始まり、バッターが打ったり見逃したりすることで物事が始まる。
これが野球というスポーツです。
野球について知っている人にとっては、「何を今さら」と思うでしょうが、この説明は後々重要になってきます。
こうした側面から、僕はピッチャーという職業をこう定義付けしました。
『18.44m先を目掛けて、アウトを積み重ねるためにボールを投げる職業である』
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2.頑張るべき場所を理解する
前章で、ピッチャーという職業について定義しました。
この定義によって僕が頑張るべき場所がはっきりしました。
それは、言わずもがな、マウンドです。
そして、頑張るべき範囲は、マウンドからホームベースまでの18.44mです。
この場所、この範囲でいかに良い結果を出せるか?
ピッチャーに求められる仕事はこれに尽きます。
色んな練習、色んなトレーニングをやりますが、全てはこの18.44mのため。
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3.割り切るものを理解する
ピッチャーが頑張るべき場所はマウンド、そして求めるべき結果はアウトということが明確になりました。
その結果のために、必要なもの必要でないもの、拘るべきこと拘らないべきことがわかってきます。
今回の記事は、ここをメインで書きます。
実体験をもとに、少々長めに書きます。
0章でも書いたように、現在は社会人チームでプレーしています。
社会人チームといえど、色んな背景を持った選手が集まっており、20歳前後の選手も多くいます。
そんな選手と一緒にプレーしていると、「若いなあ」とか「俺も歳とってるんだなあ」と感じざるを得ません。
例えば、キャッチボールで遠投をすると、僕より若いピッチャーはビュンビュン長い距離を投げるわけです。
彼らは昔の僕のように100mぐらいを投げるのですが、筋力が衰えた僕は助走をつけて50mがやっとです。
本当の本当に、それ以上力が入らないのです。
彼らがどんどん後ろへ下がっていくと、僕のボールは届かないので、ワンバウンド、ツーバウンド、…と無慈悲にボールが転がっていきます。
ですが!ですが!
僕はこれでいいと思っています。
なぜなら、
『自分が全力を出す範囲を明確に決めたから』
です。
僕は、
『18.44m先を目掛けて、アウトを積み重ねるためにボールを投げる』
そのために遠投をしているのであって、遠投の距離を競いたいがためにやっているのではありません。
だから、僕が投げたボールが何回バウンドしようが全く気にならないのです。
18.44mでどう投げるかだけを考えているので、
遠くに投げることは割り切ってもう諦めました。
なぜなら、遠くに投げることは絶対条件じゃないので。
そして、球速も昔に比べたらだいぶ遅くなり、若いピッチャーと比べると一段階遅いです。
ですが!ですが!
僕はこれでいいと思っています。
なぜなら、
『自分が全力を出す範囲を明確に決めたから』
です。
僕は、
『18.44m先を目掛けて、アウトを積み重ねるためにボールを投げる』
そのために投げているのであって、球速を競いたいがためにやっているのではありません。
球速はいくら頑張っても出ないのですが、球速が出ないのならコントロールを磨けばいいし、変化球のキレを磨けばいい。バッターとの駆け引きを磨けばいい。
ゆえに、球速を上げることは割り切って諦めました。
なぜなら、球が遅くても打者を打ち取ればいいから。
このように、何に全力を尽くすか、何にこだわるかで、しなくていいこと、こだわらなくていいことがわかります。
注目すべき過程がはっきりします。
あくまで、ピッチャーに求められることはアウトを積み重ねることなので、
球速や変化球、コントロールはあくまでソリューションでしかありません。
アウトを取れるピッチャーがいいピッチャーなのです。
その考えのもと、自分が力を注げないもの、苦手なものに関しては割り切ってやらないことも視野に入れると良いです。
また、僕自身はピッチャーなので、バッティング練習はもうしていません。
DH制があるのでそもそも打席に立つ必要はありませんが、貴重な練習時間をピッチングのために費やせているのは幸せなことです。
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4.全力を出す範囲を理解する
2章、3章の内容が理解できれば、この章は自動的に理解できることでしょう。
簡単に言うと、2章ではやること、3章ではやらないことを理解しました。
すると、自分が動くべき範囲が見えるはず。
僕の場合は、動くべき範囲は一塁でも外野でもなく、スタンドでもありません。
マウンドの上のみです。
そして、注力すべきはマウンドから18.44m先のホームベースまでの世界です。
それ以外の場所については、それぞれのポジションのスペシャリストに任せるのです。
それがチームというもの。
全力を尽くすべき範囲で全力を尽くすのが最大の貢献に違いありません。
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5.まとめ
長くなりましたが、まとめです。
野球を例に説明しましたが、全力を出すべき範囲を決めることの重要性を説いていきました。
それを理解するためには、
1.自分の職業を理解する
2.頑張るべき場所を理解する
3.割り切るものを理解する
4.全力を出す範囲を理解する
この順序で自分が今置かれている状況を噛み砕いてみると良いでしょう。
自分がやりたいことを全力でやるために、この記事が少しでも参考になれば幸いです!