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フィリピンの投資環境-主要地域概要

1.フィリピンの地域分類

地方

フィリピンの国土面積は約30万k㎡で、日本の約80%に相当します。
7,100余の島々からなるフィリピン国土は、ルソン地方(マニラ首都圏、パラワンを含む)、ビサヤ地方(中心都市はセブ)、ミンダナオ地方(中心都市はダバオ)の3つの地域に大別されます。

フィリピンの3つの地方

地域(Region)

さらに詳しく見ると、15の行政区(Region)、マニラ首都圏(National Capital Region (NCR)またはMetro Manila)、1つの自治地域(ムスリム・ミンダナオ自治地域)、1つの行政地域(コルディリエラ行政地域)の17の行政管区に分けられ、これらの下には81の州(Province)があります。

フィリピンの17の行政管区

2.地域別の経済状況

ルソン地方最大の都市であるマニラ首都圏(National Capital Region)は、フィリピン最大の経済圏であり、2021年の国全体のGDPに占める割合は42.4%でした。
マニラ首都圏に次ぐ経済圏のGDP構成比を見ると、数多くの工業団地が集中するリサール州、カビテ州、バタンガス州、ラグナ州、ケソン州からなるカラバルソン地方が10.7%、クラーク(パンパンガ州)やスービック(サンバレス州)などの主要な経済特区を含む中部ルソン地域が8.3%、フィリピン第2の都市であり、輸出型製造業や大規模な小売店が進出するセブ都市圏を含む中部ビサヤ地方が7.3%となっています。

ミンダナオ最大の都市ダバオを含む地域のGDP構成比は4.1%ですが、その他のミンダナオ各地域は経済開発の遅れが目立ちます。
イスラム教徒が多く住むミンダナオ南西部の州を中心とするムスリム・ミンダナオ自治区(BARMM)のGDP構成比は0.9%で、同じくミンダナオの北東部にあるカラガ(CARAGA)地方は1.8%です。
フィリピンの約24%の人口が居住するミンダナオですが、GDP構成比は全体の14.8%程度にとどまります。

地域毎のGDP及び成長率 出典:PSA(Philippine Statistics Authority)

3.地域別の人口と所得水準

2021年の地域別人口データによると、最も人口が多いのは工業団地集積地でもあるカラバルソン地方で、フィリピン全体の9.1%の人口が同地域に居住しています。
次いで、マニラ首都圏(National Capital Region)があり、人口の7.9%が集中しています。3番目に中部ルソン地域の6.7%、4番目に中部ビサヤ地域の5.6%、5番目には西部ビサヤ地域の5.0%が続きます。

一人あたりの名目GDPを見ると、地域格差が非常に大きく、最もGDPが高いマニラ首都圏(743,118ペソ)と最もGDPが低いムスリム・ミンダナオ自治区(59,714ペソ)では、約12倍の開きがあります。

地域毎の人口及び一人あたりGDP 出典:PSA(Philippine Statistics Authority)

4.各地方の産業別 GDP構成

フィリピン全体の産業別GDP構成は、サービス業が54.4%、工業が25.1%、農林水産業が20.5%であり、サービス業が最大の産業となっている。
地域別に見ても、17地域中15地域においてサービス産業が最大で、工業が最大のセクターとなっているのはカラバルソン、農業が最大となっているのは西部ビサヤ地方のみである。
マニラ首都圏におけるサービス業は、同地域GDPの54.2%を占めており、首都圏の経済はサービス業と工業分散してきている。

全地域の中で工業の割合が最も高いのは大規模な工業団地が集積しているカラバルソンで、地域GDPの58%が工業生産となっている。

フィリピンで最も貧しい地域であるムスリム・ミンダナオ自治区は、GDPに占める農業の割合が44.7%とフィリピン最大手であるが、農業生産高は国内総額の4.7%程度と小規模である。

各地方の産業別GDP構成比比較

5.近年の地域別投資動向

PEZA(フィリピン経済特区庁)に登録している日系企業(日本企業の資本が入っている企業)は2021年において約400社から500社に上っている。
業種別に見ると、輸出関連企業が563社と最も多く、IT関連企業が173社、物流サービス関連企業が136社となっている。ロケーション別に見ると、ラグナ・テクノパーク経済特区が136社と最も多く、次いでカビテ経済特区の119社となっている。

6.主要な工業団地の所在する地方の賃金水準

フィリピンに進出している日本企業の多くが、マニラ首都圏の商業地区、マニラ首都圏近郊のカラバルソン地域や中部ルソン地域の工業団地、マニラ首都圏に次ぐ大都市圏であるセブ州の工業団地などに立地している。これらの地域の賃金水準の目安として、2023年2月時点での非農業部門の日額最低賃金を次の図表に示す。

ただし、地域毎にカテゴリーの分類体系や最低賃金体系が大きく異なる点に留意が必要である。なお、国家賃金生産性委員会(NWPC)のホームページから対象地域の対象業種、業態毎に具体的な最低賃金を調べることが可能である。

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