【日記】五目ならべ|こどもの頃の日記から 19
197X年1月Y日 土曜日
朝、日本語の勉強をした。
むずかしくて、なんで日本にはかんじ〔漢字〕なんてあるんだろうなあ、と思った。
ひる、Yさん〔父の同僚で囲碁仲間〕がいらして、私はYさんと五目ならべをした。父が、「すみは強くなったなあ」といった。
ばんごはんのお肉は少しすじが多かった。
でも、母のこころを込めてつくったものなので、だまっていた。
母もMさんも、お客様があるといつも大変だなあと思った。
今日もボーイフレンドのいいゆめをみたい。
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ボーイフレンドという語に笑ってしまう。
11歳の分際で!
クラスの男子から「ラブレター」をもらったので、
相手は自分のボーイフレンドという認識だったのか。
昼休みに一緒にサッカー遊びをしているだけなのに!
夕食のおかずのくだり。
「母のこころを込めてつくったものなので…」とあるが、
母が、ではなく母の、という助詞の使い方が興味深い。
日本語の勉強、特に漢字の練習を、嫌々ながらも親に言われた通りにこなし、日記も日本語で書く努力をしているが、「昼」や「心」「作った」「夢」「見たい」など当然知っている漢字をひらがなで書いている。
英語を書き慣れてしまうと、一文字に何画もある漢字が面倒になるのか。
父の言葉の中の「すみ」という自分の名前は、
原文の日記にはちゃんと漢字で書いてある。
当時、自分の identity は Sumi, the Japanese girl だったけれど。