人の子の成長とヘチマ…
しまった……。
心の声が漏れてしまいました。たった1人でぽつんと座っているリビング。大きすぎる画面は、眩しい光と笑い声を放っている。年齢に合わないくりくり目玉で、バシッとスーツを着こなした彼は、ひょろりとした色白の相方にしみじみ言う。
「ヘチマと人の子の成長は速い」
「ほんとにそう!!」
納得してしまった。博多華丸大吉のネタの一部。
大好きなのだ。このネタは。笑いというより、共感が止まらないから。
子どもの成長は、本当に早い。
大人の1年と、彼らの1年は濃度が違う気がする。
だけど、今年に限っては、私はこども達にも、
ヘチマにも負けないくらい、すごい進んで変化した1年だったと思う。
保育園の先生になって12年。ダンゴムシをひたすら追いかけて、書き物をして、掃除をして、何人もの子どもたちを、見送ってきた。きっと私はこのまま同じ仕事をして生きていくものだと信じて疑わなかった。
去年の今頃、保育園の門の前で嗚咽が止まらなくなった。
家に帰って、布団から出れなくなった。
「学校行きたくない!」ダダをこねるこどもになってしまったみたいで、ひどく恥ずかしかった。だけど、本当に行きたくない。頑張る力が湧いてこなくなった。
結局保育園に行かなくなった。
ひたすら寝て、食べてを繰り返し、1カ月くらい経った頃、ちょっとずつ元の生活に戻れるようになった。
それからずっと、保育園に戻れないと思いながらも、踏ん切りがつかず、宙ぶらりんでいいた。別に元気なのだ。
友達と笑えるし、カレーも食べられる。
だけど、子どもを見ると、心臓を握られた気分になって、
保育園の近くを通ると、おなかが痛くなった。
ハロウィンが終わって、サンタさんが来て、チョコレートも食べた。お花見をして、こいのぼりか……と思う頃、
もう決める時が来た。
何も決まってない。
ただ辞めることだけを決めた。
6月末で私は澄香先生じゃなくなった。
決まった時間に起きなくなって、同じ所に行かなくなった。
岐阜県在住じゃなくなった。
親以外の人と住むようになって、
カレーと珈琲を売るようになった。
座れるようになって、食べられるようになって
歩けるようにもなる。目に見えて成長するこども達と、同じように変化したと自分でも分かる。
地元の人と結婚して、親にこどもを預けながら、定年まで働くことがしあわせだと思っていた。
どう生きていきたいかなんて考えることはなかった。
保育園に属すことを辞めて、思うのは自由とは責任を伴うこと。
生きていくにはお金がかかる。
そうリアルに感じることが生きていくことなのだと思うし、自分が選択した道なのです。
私がヘチマだったら50cmくらいの大物になったことでしょう笑
カレー部長 柴川澄香。
9月をもちまして、晴れてアラフォーの仲間入りをいたしました。
まだまだ伸びしろはございます。
ますます伸びる年にしたいと思っております。