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映画『オールド・ガード』感想

観終わったあと、「こういうアクション映画、観たかった・・・」と思わず一人で小さく拍手した。まさに、現代の価値観にアップデートされた正統派アクション映画だ。

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歴史の裏で、幾度も人類を救ってきた不死身の軍団4人。彼らに新たな不死身の仲間が加わると共に、私利私欲のために彼らを捕らえて利用しようとする人達も現れ・・・。というあらすじ。

不死身と聞くと、イメージするのは世界征服を企んでいる悪者や、果てしない強靭さを持った、人類を超越したような存在ではないだろうか。

しかし、彼らはそうではない。撃たれれば痛いし、悩みや忘れられない過去を抱えている者もいる。もちろんめちゃくちゃ強くてチームの連携が取れているのだが、それも特別な力が備わっているからではなく、何百年もの歴史の中で戦ってきて培ったものだ。さらに、完全な不死身ではなくいつかは死ぬ。「いつか」は、間際になって初めて悟ることになる。

だから、彼らの中に少しの儚さを感じ、それゆえ人間味がある。スーパーマンではなく、ただ数百年生きているだけで同じ人間なのだという共感が生まれる。

私が特に現代の価値観にアップデートされていると思った点は大きくふたつあり、それらには共通点がある。「ごく自然に、ただそうしている」ということだ。

ひとつは、シャーリーズ・セロンが演じる主人公、アンディだ。不死身の軍団のリーダーであり、ひとりで軍を一個壊滅できてしまうくらい強い。

最近女性が主演のアクション映画もよく見かけるようになったが、何か戦わなければいけない理由を抱えているか、シスターフッド的で仲間が全員女性であることが多いように思う。(それはそれでとても好きだけど)

しかし彼女は、復讐に駆られていたり、特定の誰かのためであったり、ましてや命令されて戦っているわけではない。ただそうしたい(もしくはそうするべきだと)考えて、兵士として活動している。さらに、リーダーとして性別や人種さまざまな軍団を引っ張るアンディの登場には、新たな時代の風を感じた。

もうひとつは軍団の仲間であるジョーとニッキーが同性カップルであり、幸福なふたりとして描かれているということだ。アクション映画で(男女の恋愛が絡んでくるのはよくあるにも関わらず)同性同士の恋愛をあまり見かけないなと考えていたので、まずゲイカップルが出てきたことがすごく嬉しかった。

加えて、彼らはひたすらお互いを想い合っている。同性だからといって、そこに変に誇張されたところや悲劇的要素はなく、ただ惹かれあい、愛し合っているのだと感じることができる。

特に、ジョーとニッキーが敵に捕われて、彼らに「彼氏なのか?」と嘲笑されたときの返しがとても良い。ここだけでもなにかの授業で必修にしてほしいくらい良い。(なんの?)

この動画内のやり取り。UK版Netflixの字幕なしのやつしか見つからなかった・・・。

動じず、相手にしない一蹴ぶり。何百年も相思相愛なカップルの重みはすごい。きっと、この境地にたどり着くまで、心ない言葉に傷ついたり酷い目に遭うこともあっただろう。取りつく島もない返しに爽快さを感じると共に、これから先の数百年間は同性同士の恋愛がからかいの対象になり得ない世の中なってほしいな・・・と思った。まあ、もはや彼らからしたら変なこと言ってくる人など眼中にないだろうけども。

ともあれ、続編がありそうな終わり方だったので続きが楽しみだ。


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