[玉造温泉街 再生秘話②]覚悟を決めた人
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前回は2006年~2007年当時の玉造温泉のさびれたヤバい街の様子を思い出しながら書いておりました。
第2話は、まち全体が不安とあきらめムードに包まれていた温泉街。
そこで『未来へのタスキ』をつなぐために立ち上がった人たちのお話です。
※2006年の秋ごろから2007年夏ごろのお話です。
宿泊者が毎年減少していく
2006年頃の角さんは玉造グランドホテル長生閣の予約部長を拝命しておりました。(最年少部長でした→期待の人材、幹部候補です)
▲玉造温泉大パレードに旅館の仲間と参加。とっても楽しそう♪
33歳にして大切な仕事を任されておりました。
宿泊者数を増やして会社の利益を上げるというミッションです。
※(これも非常に楽しかったです!)
でも、いくら頑張っても宿泊者数と売上は前年より増えません…
なぜ? どうしたらいいの?
ちょうど旅行サイトのじゃらんや楽天が出来た頃で、新しい事にもチャレンジしました。
それでも売上は前年割れです。
考えられる一番の理由は
『玉造温泉全体の宿泊者数が毎年5~8%減』という状況でした。
対前年で92%が毎年のように続いているのです。
玉造温泉の宿泊者数
65万人⇒59.8万人⇒55万人 という大変な勢いで減少しておりました。
この理由を冷静に分析すると
☑ 玉造温泉全としての魅力がない
☑ 温泉地として選ばれない
☑ 団体旅行が減少して個人旅行のニーズが増えている
(2000年代前半はそれでもまだ団体主流でした)
もう玉造温泉はお客様からも旅行会社からも選ばれない温泉地になりつつあったのです。
当然ながら、その温泉地の中にある各旅館も選ばれない、、、つまり宿泊者数も増えません。
それでも角さんは基本ポジティブ(というかいい加減)なので考え方も単純です。
「玉造温泉でお客様を呼べるようにすれば旅館は苦労せず潤うじゃん♪」
「温泉街を活性化する仕事をしよう!」
こんな発想です。
さて、問題は…それをどうやってノブ社長に伝えようか…
ノブ社長の大英断
アホな角さんは悩むこともなく社長室で大胆にもこんな発言をしました。
「まちづくりをさせてください!!」
ノブ社長も ぽかーーん。。。
そりゃそうでしょうよ!
どうゆうこと? でしょう。
だって、若くして大抜擢した部長が旅館の数字の事より玉造温泉全体の夢を語るのですから。
ぽっかーーーんです。
ノブ社長「ちなみに具体的に何がしたい?」←それでも一応聞く。優しい。
角「まだわかりません!!でもこのままじゃ旅館が全滅するかもしれません」
具体的には何も無いのに直訴する角 vs 困るノブ社長
このやりとりが3カ月くらい続きました。
そして年が明け2007年2月にノブ社長に呼び出されました。
▲とっても優しいノブ社長
社長室に入るといきなり
「おう、もう決めたで。お前をまちに出すことにした」とノブ社長。
角「え?」 「どうゆう事ですか?」
ノブ社長「観光協会で職員を募集しててな、話を聞いてたら、コレはお前が行くのがいいと思った」
角「観光協会!」
聞いた瞬間、まちづくりの匂いがしてめちゃくちゃワクワクしました♪
※ただし、この当時は観光協会というものが何をしている組織が全く知りませんでした。
ノブ社長「観光協会長がな、組織を民間感覚に変えたいって言っておられて、職員も民間登用をしたいらしい。」
ノブ社長「それでな、民間出身で玉造温泉のことも詳しくて若くてやる気があるヤツはいないか?って言われて…」
ノブ社長「そんなヤツお前だろ? お前しかおらんだろ」
と、このようなお話をいただきました。
もう、なんだか判りません。何をする組織かもわかりませんが即答です!
角「ぃやります!」←✊
ノブ社長「そうか!良かった!」
ノブ社長「ところで条件だけど、嘱託らしいぞ」
嘱託とは
☑ 1年契約(毎年更新)
☑ 給与は総支給15万円/月額⇒年間180万円
☑ ボーナスは無し
☑ 退職金無し
☑ 残業手当や休日出勤手当はつかない
というものでした。
計算すると、旅館の部長の年収と比べてなんと!60%カット!!
は?
さすがにこれは生活できないかも…と不安になりました。
でも、もう後にひけません。
とはいうものの、不安な顔をしていたと思います
すると、ノブ社長からもうひとつ提案いただきました。
ノブ社長「実はもうひとつ話があってな」
ノブ社長「他の旅館の社長たちと有志でまちづくり会社を作ろうと考えている。そこにも事務局の役割をする人がいるって話になって、それもお前だろ、って話になった。そこからも月15万出すから合わせて月30万、年間360万だ」
角「マジですか!!」
すばらしい!!!
観光協会とまちづくり会社!
なんて面白そうなんだろう!
※ただし、まだ何をするのかさっぱりわかっておりませんでした。
角「ありがとうございます! ところでいつからですか??」
もう前のめりになってその気になっております。
※まだ採用されていないのにやる気
ノブ社長「まあ面接とかしてからだろ。うちの引継ぎもあるから6月くらいからじゃないか?」
角「うおーマジですか!ありがとうございます!」
と、こんなやり取りがありました。
そのあとでノブ社長からこんなお話がありました。
ノブ社長「内藤の雄ちゃん(白石家社長)がな、『ノブお前、本当にいいかや?角はお前のところの大切な幹部候補だろ』って言われてな、、、だいぶ悩んだけど、まあ温泉街のためだと思ったら出す気になったわ」
笑いながら言われました。
その時は、
他の旅館の社長も角の事を知ってくださっているのか!俺スゲー!って思っていました。←単純です。
でも、後々気が付きます。
これはとんでもない大英断だったのです。
自分の会社の若き幹部候補
最年少で部長に抜擢した人材
そんな大切な社員を
自分の旅館の未来より温泉街の未来を優先して送りだされました。
ノブ社長の大英断・・・
今思えば、この決断がなければ2020年の玉造温泉は全く違う姿だったかもしれません。
こうして、2007年5月末に
大変お世話になった、人生を変えていただいた大恩のある旅館を退職しました。
送別会も開いてもらい、その時には
「ダメだったら5年で帰ってきてもいいからな!」とも言っていただき泣きました。
※ちなみに退職して13年にもなりますが、いまだに毎年新年会に呼んでいただいております。ありがたい。
そしてレジェンド周藤實さんとお会いすることになります。
つづく
次はいよいよ 周藤實さんの登場
そしてまちデコ創業の裏話です。
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