公募戦士に捧げる給与+収入の実態と注意点

ずいぶんと間が空いてしまいました。

最近,研究者界隈の給与の話が話題になっています。
本noteでも次のような記事を書きました。

夢をぶち壊すようで申し訳ありませんが,特に国立大学の研究者の給与は安いです。
いえ,額面だけ見れば決して悪くはありません(上記記事では35歳で地方大学は600万円程度,都市部では650万円程度が想定されていると書きましたし,筆者の体感と概ね合致します)。しかし,最初のYahooの記事でも指摘しているように

1)基本的に就職が遅い(40歳で初めてという方もおられる)
2) 非正規のポストがものすごく多い

ということが致命的です。つまり,生涯年収で見ると決して高くはないのです。

あるとき,とある国立大学で医療系の学部の事務の方とお話する機会がありました。その事務の方は常勤職員(つまり任期付きポスト)だったのですが,(任期のある)助教や助手の給与を立場上知っており,事務である自分より低いことに驚愕した・・・と言っていました。そして,コレは決してレアケースではありません。そのくらい低いのです。

公募に出す際に給与関係で気にするべき点

さて,前置きが長くなりましたが,公募要領の給与規定はよく見ておいた方がいいと思います。といっても,日本の国立大学は実際に着任が決まるくらいにならないと号俸を教えてくれないケースが多く,完全に時代遅れだと思うのですが・・・。
それでも,公募要領などを見ながら,次の点には気をつけてほしいと思います。

1: 諸手当がちゃんと出るか

通勤手当,家賃手当などがちゃんと出るかどうかは非常に大きな問題です。特に年俸制の場合,しれっと「なお手当は出ません」などと書かれているケースもあります。悪質な場合,公募要領にはこういった込み入ったことを書かずごまかしているケースさえあります。幸い,少なくとも国立大学は給与規定などを全部公開してますので,よく読んで見ましょう。「年俸制でXXX万円は恵まれてる!」と思いきや,手当がついた他の大学の方が実際の収入は高い・・・ということもあり得ます。

2: 退職金関係

これは未来のことも関連するので非常に難しいのですが,「退職金がどうなっているか」はかなり重要です。少なくとも現在の制度では退職金にはかなりの税制優遇があります。年俸制は,建前としては「退職金がないけど年俸は高いよ!」となっていますが,税金まで計算に入れるとあらまぁ・・・ということは往々にしてあります。ただし,退職金の税制優遇がどうなるかは未知数ですので,ここらは判断し辛いところではあります。

3: 自信があるなら科研費などからのインセンティブの有無をチェック

大学によっては,科研費などの競争的資金を取るとインセンティブで給与が上がったり,(私のような文系だと難しいですが)科研費から自分の給与を支払う仕組みが整えられています。科研費バンバンとれるぜウェーイ!という人は,是非このあたりのチェックもしてみたいところです。
(なお,筆者は15年以上連続して基盤B/Cをとり続けていますが,一度も給与に反映されたことがありません 泣)

なお,似て非なるものとして,科研費を取ると「研究費にインセンティブ」を与える大学もあります。それはそれで悪くはないのですが,給与に反映された方がモチベーションアップになりますよね。

それでも給与を増やすには

まずは兼業をしよう

さて,そうはいっても「選択の余地がない」という公募戦士も多いかと思います。その場合,給与を増やすためにできることは簡単で,兼業です。
多くの大学で,よほど極端でなければ兼業は認められることが多いです。どのくらいが「極端」かですが,筆者が知っている範囲では,某大学の歯学部の教授が「講義中に兼業先の電話に出るため講義室から出て行き,30分後に戻ってくる(勿論その間講義はストップ)」といったことを数度繰り返して,兼業を禁じられたケースがあります。このような極端なやり方でなければ,兼業について大学は割と寛容です。
講演会,書籍,民間企業との共同プロジェクト,などで頑張ればそれなりの収入を得ることができます。このあたりはご自身の専門領域の関係もあると思いますので,先輩たちを見て参考にするといいでしょう。その額が上がっていくと,個人事業主になったり,場合によっては起業・・・ということになっていきます。

参考までに筆者の場合,人と運に恵まれたこともあり,毎年20〜100万円くらいは兼業で稼いでいます。また,知っている限りで一番すごい人は「自分の誕生日パーティをクルーズ船貸し切りで行い,豪華な食事と飲み物,豪華景品ビンゴもあるが,参加費(大体60人)無料」ということを平然とポケットマネーでやっていました。それはそれで,大丈夫なのか?と突っ込みたくはなりますが・・・。

なお,国立大学教員の場合,あまり派手にやると贈収賄の罪に問われますので,そこら辺は良識をもってやりましょう。
(都合のいいときだけ国家公務員と見なすのもどうかとは思いますが)

兼業は「いつまでそれが続くか」がわかりにくいケースもあり,うっかり生活レベルを上げすぎないよう注意が必要です。やはり,本給が高いに超したことはありませんね。

最後の手段:理事や学長になろう

究極の給与アップ方策は,学内で出世して理事や学長になることです。
・・・冗談じゃなくて本気ですよ?

理事ではない副学長では給与も知れていますが,理事になると給与が爆上がりします(なので,理事になるかどうかの瀬戸際の人たちはいがみ合っている印象が強いです)。最終手段として,どうぞ。なお,理事や学長になりたがる人は,多くの領域では割と白い目で見られる印象が多いことも申し添えておきます。

以下は,投げ銭用の文章になります。ご購入いただいても,特に情報はありません。

投げ銭,どうもありがとうございました。
あなたの公募戦線がうまくいくことを願っています。

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