アパート半径500m
傘マークが続く週間天気を見て一瞬今が梅雨なのかと混乱する。今年の梅雨は何をしていたっけ。何を考えていた?どんなニュースが流れていた?
よく思い出せない。
4年前、2週間以上も雨が止まず布団や服や自分自身の全てが湿度を含んで重くなってしまいそうな6月の終わり。
雨の音で目が覚めた朝、窓の外を見ると傘で顔の見えないサラリーマンが足早に歩いていった。
狭い家の中にいると息が詰まりそうで、傘をもって家の外に出る。
歩道橋を登る。国道を何台もの車が通過する。タイヤのゴムが雨で濡れたアスファルトに擦れる。
通りすがりの犬の足は濡れていて長い毛が束になっている。
素足にサンダルを履いた私の足には水滴がついていて冷たい。
この長い梅雨が本当にいつか終わるのか。空の低さに身体を預けたままアパートに戻る。ポストには水道料金の通知書が届いていた。