カーブした家具とDJブースで空気がつながる家
皇居の外堀に沿って緑も多い市ヶ谷・神楽坂の辺りは、大学のキャンパスやオフィスビルが立ち並ぶ商業地域ですが、駅から少し離れると、古くからの静かで落ち着いた高級感のある住宅街が残っています。
Wさん夫婦は、そんなエリアの雰囲気に惚れ込み、築45年のヴィンテージマンションを購入して、お子さん1人(その後、2人目のお子さんが誕生)と住むことを決めました。
元DJでレコードが大好きなご主人と、音楽と料理が大好きでな奥さまの生き様を反映したリノベーションは、カーブした壁のような家具でゆるやかに空間をつなぎながら仕切るという、居心地の良さを重視したスタイルに行き着きました。
3面採光の良さを最大限に活かして、空気をつなぎながら仕切るというデザイン。そのアイデアがもたらしたリビングの広がり感と居場所の籠もり感の絶妙なバランス。ぜひ、体感してほしい素晴らしい事例です。
当時、中古リノベは一般的な考えじゃなかったけど、
新築には自分たちの生き様は描けないと思った
実は、Wさん夫婦は結婚後、しばらくこのマンションの別の部屋を賃貸で借りて暮らしていました。
お子さんが生まれたのをきっかけにマンションの購入を検討し始めるのですが、ちょくちょく物件を見に行くうちに、新築マンションがあまり趣味に合わないことが判明してきます。
しかも、賃貸の時はそれほど深く考えていなかったのですが、いざ家を買うことを真剣に考えてみると、新築ってリーズナブルじゃないな・・・と思うようになりました。
その時、たまたまスマサガ不動産の存在を知ったということもあり、最終的に、リノベーションを前提とした中古マンションの購入という考えに行き着いたのでした。
愛し続けられる味わいはやはりヴィンテージ
このマンションに辿り着くまでには紆余曲折あって、初めての住まい購入でしかも中古ということで、慎重になりすぎて気に入っていた物件を買い逃してしまったり、それでしばらく物件見学を休んでみたり。
そんなときに、同じマンションの違う部屋が偶然にも売りに出されているのを発見したのです。
そして、「ああそうか!僕たちはこの街とこのマンションの趣を愛し始めていたんだな」という感情への気付き。
それが決断の決め手となりました。
目指したのはNYロフト文化の再現
愛着のある街を離れずにすんだWさん夫婦は、気に入っていたこのマンションのヴィンテージな趣きを残しつつ、ご夫妻共通の趣味である音楽を楽しむためのDJブースを備えた、最高の食事と最高のお酒を楽しめる家をテーマにリノベーションの設計を始めました。
目指したのはまさにNYロフト文化の再現だったんです。
カーブした家具にWさん夫婦の生き様を組み込む
以前はせっかくの3面開口の窓があるこの家も、3LDKの間取りに小分けされていて、もともと豪華だったであろう内装がかなり古くなり痛んでいたことも相まって、とても暗い雰囲気になっていました。
その小分けされた壁を全て取り払い、部屋を南北にななめに横切るカーブを描く、壁のような家具を置くことで空間を仕切ることにしました。そのカーブのかたちは、3面採光の窓のつながりをもとに計算されたカーブで、空間の陰影が最も美しくなるように考えられています。
そして、そのカーブした家具の基本構造はレコード棚になっていて、その棚の流れの中に、DJブース、キッチンキャビネット、食器棚、クローゼット、本棚までもが組み込まれています。
家具の半分は視線の抜ける棚になっているので、LDKから寝室までを一つの空間として広さを感じさせながら、その絶妙なカーブによって抜け具合がコントロールされ、適度な仕切られ感と籠もり感を得られるようにもなっています。
レコードは見せて収納する事でインテリアの一部にし、収納の隙間からはリビングにいる人の気配が感じられるようになっています。
また、隣の住居との境は音楽スタジオと同レベルの防音仕様を施し、ご主人が存分にDJを楽しめるようになっています。
家具の中に見事に組み込まれたキッチンは、リビングからみるとまるでステージのように1段高くなっています。そこに立つとお子さまの様子もしっかり見え、さらに手の届く場所に全てが収まっていて使い勝手も抜群だと奥様は言います。
収納棚に並ぶ奥様自慢の急須コレクションは、その色や形が映えるよう、背景となる壁を薄いブルーに塗装しました。
最高の食事と、最高のお酒と、最高の音楽がある場所
週末になると、ご夫婦の音楽仲間が集まります。
「最高の食事と、最高のお酒と、最高の音楽がある場所」のコンセプトを見事に実現したW邸。
ご主人が選ぶ心地よい音楽と、奥様のつくる最高の食事、
そして、仲間たちの笑い声がいつまでも響く場所であることでしょう。
▼新宿牛込W邸のインタビュー記事はこちら
▼メディア掲載