3回見てから購入を決めた物件。夫婦の好みの違いを上手に融合した家
今回ご紹介するのは、「東京で家を買うのは高すぎて難しい」と思っていたOさんご夫妻の住まい探しストーリー。自分たちにとって無理のない予算を設定しつつ、都心に自分たちの望む要素を反映させた住まいを実現させたお二人。そこにはどんなプロセスと体験があったのでしょうか。
結婚を機に中古マンションを探そう!と思ったけど・・・
都内で暮らしていた共働きのOさんご夫妻は、結婚を機に不動産購入について考えはじめたといいます。
「東京で家を購入するというのは、金額が高いだろうというイメージがありました。特に、新築に関しては7,000万円以上にはなるだろうという頭があったので到底難しいだろうと思っていました。母親にそんな話をしていたら、”それだったら中古の物件を買ってリノベーションをするのがいいんじゃない?”と言われたんです」(奥さん)
「僕はあまり実感がわかなくて・・・。最初は広めの賃貸を探していたのですが、お義母さんの話を聞いてから色々と事例も見るようになって、すごい!こんなことができるんだ、ということを知りました」(旦那さん)
最初は実際に中古マンション購入とリノベーションにどれくらいの費用がかかるか?想像もつかなかったお二人は、ひとまず色々なリノベ会社に問い合わせをしてみたそう。
「正直、自分たちが無知だったので騙されるんじゃないかとか、不動産会社が敷いたレールに乗せられてしまうんじゃないかという気持ちもあったのですが、スマサガさんのHPを見ると自分たちが不安に思っていることへの答えがバシバシ書いてあったので、もうこれは話を聞きたい!と強く思いました」(奥さん)
その中でスマサガのセミナーに参加してくれたお二人は、終了後の個別相談が印象的だったと振り返ります。
「結婚を機に家を探そう!と決めましたが、その時はまだ半同棲くらいの状況でした。それを伝えるとスマサガさんから ”一度、ちゃんとお二人で住んでからのほうがいいんじゃないですか?”と言われて。確かに、結婚してどんな風に暮らしていきたいか?とか、ちゃんと考えていない状況だったので、そんなに急がなくてもいいのではと親身になってくれたのが印象に残っています」(旦那さん)
何度も内見しながら変化していった条件
「エリアは下北沢周辺」「70㎡以上の3LDKくらいでフルリノベしたい」「共働きなので都心駅近希望」。お二人の最初の希望条件はこんな感じでした。物件を探し始めた頃、まずは中古マンションがどういうものなのか見に行って見ませんか?とスマサガが紹介したのがこの不動前から徒歩1分、広さは55平米くらいのリノベ済マンションでした。
「あまり馴染みのないエリアだったけど、実際に行ってみるといい感じに下町っぽい雰囲気もあって、駅から近くて便利そうだなとは思いました。でももっと広い方がいいよなと思っていたし、ここには決まらないだろうなと既成概念みたいなものを持っていましたね」(旦那さん)
不動前エリアで他の物件もいくつか内見した後、予算的にもフルリノベができそうな70平米の下北沢の物件が出てきて、内見してみることに。
「下北沢の物件は予算的にも条件的にもよさそう、ということで見に行ったんですけど、実際に観にいくと、戸数が少なめで自主管理の物件だったので、管理費や修繕費が心配になりました。あとは駅から徒歩20分という距離が・・・。この家から通勤したり、暮らすイメージが具体的にわかなかったですね」(旦那さん)
この頃から、物件の条件だけでなくライフスタイルについて考えるようになったというお二人。色々調べたりスマサガと話を重ねながら住まいに対する考えも変化していったそう。好きな家に住むために働くわけじゃなくて、自分たちが暮らすための住まいなんだ、という根本的なことに気づいたといいます。
「条件の優先順位が変わると、やっぱり最初に見た不動前の物件はいいんじゃないかなと思って。55㎡も意外と広く感じたし、リノベ済み物件は嫌だと思っていたけど、実際に見てみたら、中身は結構変えられそうだと感じました」(奥さん)
2回目の内見では、ここで暮らしたら具体的にどうなるかな?と想像しながら見ることができたけど、リノベ済みの内装は全然好みじゃないし、購入するならリノベをしたいけど、予算配分やどこまで内装を変えられるのかもわからず、一旦保留にすることに。
その後、スマサガの設計デザイナーも一緒に行ってみようということで3回目の内見へ。その時、設計デザイナーの「・・・やりようあるな」という言葉に背中を押されたといいます。
「その後も物件探しをしていたのですが、ここよりいい条件の物件は見つからなくて。改めてこの家の良さを実感して、購入することができました。そのままフルリノベもしたくなっちゃうけど、”今は大きな買い物で金銭感覚が麻痺しがちだから、後の生活のことも考えて予算は無理しないほうがいいですよ”とスマサガさんに言われて。それなら、今必要な部分だけを変えて将来的に必要になったらまた考えよう、と予算内で部分リノベーションをすることに決めました」(旦那さん)
当初は、不動産を購入したら一生そこに住まなければいけないのかな、と不安もあったそうですが、売ったり賃貸に出すこと可能性も考えはじめたことで気持ちが軽くなったといいます。
「仮に将来的に賃貸に出すことになっても、貸しやすい物件だとスマサガさんにも教えてもらって。広めだとファミリー対象だけになるけど、ここならシングルでも夫婦でも住みやすい広さだということで、なるほどなと思いました」(旦那さん)
好みが違いすぎる二人、ワンルームプランは可能なのか?
無事に物件も購入し、いよいよリノベの設計プロセスに入ったところで直面したのは、お二人の好みが違いすぎる!という問題でした。
「別々に住んでいたときの二人の家のテイストが違い過ぎてて、どうしよう・・・って感じで。彼の部屋の収納ボックスには大量のCDが並んでいてその圧迫感もあったし、ギタースタンドも存在感があって掃除もしづらそうだし、実はちょっと気が重いなという感じでした」(奥さん)
それを聞いていた設計デザイナーは「個々に好きな世界があるのがいい。お互いの好きなものを邪魔せずに、混ざっていくような空間を作りたい」と思ったそう。
そこで提案したのは、二人の趣味のスペースを分断するのではなく、移動しながらグラデーションのように景色が変わる、回遊性のある空間でした。
旦那さんのギターはリビング奥の壁面に飾り、大量のCDは造作した天井棚におさめました。リビングの中心に造作した収納がギターとCD棚の目隠しとなり、寝室との仕切り壁も兼ねています。
奥さんの居場所となるキッチンからはギターが見えにくく、リビングに行くとギターやCD、その先の空間が見えてくる仕掛けです。
「家を回遊していると僕の趣味のものが見えてくる、というのが嬉しくて楽しかった。元々持っていたものの見え方も変わって。家の中を歩くことの楽しさが加わりました」(旦那さん)
「こんなにお部屋に馴染んで、彼の物と私の物が融合できる家になると思っていなかったです」(奥さん)
夫婦二人とも妥協せず、リラックスして過ごせる空間を作ることができました。もともと物持ちだったという旦那さんですが、この家に引っ越してきてからはスペースの量に合わせて物を選んだり、本当に所有する必要があるのか、と考えるように変化もあったそうです。
夫婦の好みの違い、よくあるテーマだと思いますが、空間の使い方で気持ちよく尊重し合える解決策も色々とありそうです。
限られた予算でも絶対変えたかった、既存キッチンの存在感
リノベ済みのお部屋の中で、奥さんがどうしても好きになれなかったのが、光沢感のあるワインレッドの既存キッチンでした。お部屋の印象も大きく左右するキッチン、料理が大好きなこともあって、どうしてもリノベーションしたい場所でした。
ただ、キッチンを全て替えるには大幅なコストがかかるため、予算的には厳しい。そこで、既存キッチンはそのままに、自然木で囲い、カウンターを造作して部屋全体に馴染ませるプランを提案。
「この赤いキッチンが本当に好きじゃなくて。後から違う色に塗り直してもいいかなとも思ってたんですけど、周りを変えただけでこんなに馴染むとは思わなかったです」(奥さん)
自然木の素材感で既存キッチンの存在感も弱まり、温かみのある空間に。カウンターも伸ばしてコの字型の作業台を造作し、予算を抑えつつも希望を叶えた機能的なキッチンが実現しました。
実際に5年住んでみて、どうですか?
「完全に自分の家ですね。満足感がすごいです」(旦那さん)
「その都度、一緒に考えながら進めたので、いろんなことを自分たちで選んだ家になっていて。賃貸よりも月々の負担が抑えられたので貯金もできるし、水回りもまたリノベーションしたいと思ったタイミングでやればいいかなと」(奥さん)
限られた予算の中でも、お二人が譲らなかったのは床や壁の素材感でした。実際に住み続けて、見えてきたことがあるといいます。
「水回りとかのプラスチック素材って劣化するんですよね。どんなに掃除してもそれなりに汚れていってしまう。でもキッチンやリビングに使用した木材やモルタルなどの自然素材は、使えば使うほど艶や味が出てきて、どんどん愛着が湧いてきます。 素材選びってこういうことなんだなと5年住んでみて改めて感じています」(奥さん)
将来的に家族やライフスタイルの変化などで引っ越すこともあるかもしれない。中古マンションは、大規模修繕などが終わると外観も変わって物件価格が上がることも。不動産の資産価値を長い目で見据えることで、売却や賃貸に出しやすい物件もわかってきました。
「今の自分たちのライフスタイルを見つめながら、必要な住まいを考えて作ることができたなと。それと同時に、このままこの家にずっと住まなくてもいいんだな、とも思えました。大きい買い物だけど、家を買うことがプレッシャーになりすぎるとそれ自体が目的になってしまう。まずは暮らすために買うということ。将来的なことはその時考えたらいいなと。お金のことはきちんと計画しつつ。そんなふうに思えるようになりました」(旦那さん)
「私も、ライフスタイルの変化に合わせてリノベを追加したり売ったりとか、住まいについて自由に考えられるようになりました。今回のリノベーションが本当に楽しかったので、またリノベーションをしたくなったタイミングで考える可能性があるんじゃないかなと思っています」(奥さん)
(追記)
この取材をさせていただいたのは2020年。今回の記事掲載にあたり、その後のライフスタイルの変化も教えていただきました。
コロナの影響からお二人ともリモートワークとなり、今ではお仕事スペースとプライベートスペースを分けるなど大きな模様替えをされたそう。でも自分たちが好きな空間だったので、コロナ禍の生活を乗り切れたそうです。
リノベーションした頃と現在ではライフスタイルも変わったお二人は、これからもより良く暮らしていくために、住み替えや資金プランなども含めて住まいについて再び検討中とのことでした。
リノベーション終了後も、インスタライブやインタビューを受けていただいたりと長いお付き合いをいただいているOさんご夫妻。新たな住まい探しや住み替えのお手伝い、リノベーション案件など、これからもご一緒できたらなと思っています。
▼O邸のインスタライブはこちら!