設計者はワタシ~U邸家づくりルポ~第2回
●其の2 こそこそ敷地を見に行く&さらっと土地の規制を確認する の巻
先日、U様の敷地を拝見しました。
まだ住宅が建っていて、人が住まわれているので、今日のところは道路から拝見。ヤマシイところは何もないのですが、やはり見知らぬ人が住んでいるお宅を拝見するのは気が引けます。
ささっと数往復。朝のことで、道路のお掃除をされている方の怪訝な眼差しを感じ退散。
第一印象はお聞きしていた通り、細い、長い。でも、心配していたほど細くはない。ひと安心。東西の建物はかなり接近しているものの、南が空いており、工夫次第で光が入りそうです。まだ敷地の図面がないので、歩数でザックリと寸法をはかり、だいたいの形状を把握できました。なかなかに難しそうな土地ですが実にやりがいがあります。
ちなみに、心配していたほど狭い、とは建物の間口(短いほう)が二間(畳二枚分=3.64m)以下だと構造やら動線やら難しくなるなぁ、と思っていました。建物は薄くなればなるほど、例えば辞書を立てて横からフーっと息を吹いたら倒れるような、そんな感じで弱くなります。弱くなる、とは正確ではなく、法定の強さは当然必要ですので、それを確保することが難しくなる、というのが正しいです。そして、強さを確保するために欲しくない所に壁ができたりして動線の邪魔をしてくることもあります。やはり豆腐みたいな形が一番楽なのです。
U邸の敷地は南にいくほど広がっていて、最も狭い北側でも二間は確保でき、極端に構造が難しくなることは無さそうです。
さて、次は法規チェックです。
敷地の住所さえあれば誰でも電話もしくはインターネットで簡単な法規制のチェックができます。
用途地域、建ぺい率、容積率、高さの規制、その他特別な地域に指定されているかを役所の都市計画課に問い合わせしました。
U邸の敷地は「第一種低層住居専用地域」という最も良好な住環境にしておくべき地域。
…ということで規制が最も厳しい場所です。
建ぺい率は50%、容積率は150%、約40坪の土地なので建て坪が20坪まで。
各階同じ面積で3階建てだと延べ60坪まで建てられます。
U様は二階建てを希望されているので、容積率はまったく余裕、建ぺい率は目いっぱい使った延べ40坪までの計画になりそうです。
また「第一種高度地区」という最も厳しい高さ規制があり、北側の境界線からの高さが制限されます。こちらは北側隣地の日照を守るためのお互いさまの決まりです。
都市の住宅では、法規制によって広さ・形状に制限を受けることが多く、切り立った屋根が並ぶ住宅群や階段状のマンションなどよく見かける景色も法規制をクリアしたぎりぎり形状です。
上の図は都市計画図の一部で、住まいづくりナビセンターのある
東京都中央区晴海一丁目周辺の図です。
土地の法的な情報は都市計画図でまず確認できます。
あとは、敷地の図面が届けば、どんどんプラン開始です。
(その2 終わり)
執筆 住まいのナビゲーター/一級建築士 古屋英紀