自分で作った"見下した"世界に落ちた友人。
『シャーシャー』と、蝉の声が聞こえる。
夏の暑い日に、汗を流しながら、
「あの仕事には就きたくはないな〜」と、僕の隣に居た友人は呟いていた。さっき見た、工事現場の人を思い出して言っているのだろう。
友人は今、法律の勉強をしていて、
将来は個人で、自分の事務所を持ちたいと夢見て、今日もさっき、喫茶店で、少し勉強していたところだ。
そんな友人からしてみれば、
こんな真夏に、外で働く人の事を見て、自分の理想像と比べ、かけ離れていて、心のどこかで、自分よりも「努力の出来ない人」だ、と、下に見ているのだろう。
僕からすれば、知り合いに、現場で働いている人もいたから、気に触る。
ただ、彼からしてみれば"思った事を口に出しただけ"なのだろう。気にもしていない、気にするのは言われた本人だけだ。
「まぁ、でもあの人達のおかげで。僕らが、するべき仕事を、別の誰かが補ってくれて、僕らには、他の選択肢が選べるんじゃないのか?」と優しめに意見を述べてみた。
「そーかもね〜」と適当な返事が返ってきた。
まぁ、その返事の予想はしていた、
多分、彼からしてみれば、僕の存在も下に見られて居るんだろう。
僕の意見に本当は強く賛同していた、としても、賛同すればするほど、僕に論破でもされた、と言う気持ちが、彼には湧いてしまうんだろう。
そんな事をわかっていながらも、彼とはその後も仲良くやっていたのだが。
そのうち、
彼も就職をする年齢になり、彼は思い描いていた理想とは、かけ離れた現実になった。
彼は自分で信じていたものが、無くなり、何も無い自分に不安で潰れそうだったんだと思う。
そんな時に、
僕が気にせずに言葉にした、たった、
『一言』をLINEで彼に送信した時、彼には連絡を断ち切られた。そして、彼とは疎遠になった。
何を言って、彼の気に触れてしまったのか、僕、自身からすれば、気にしてもいなかった事だったので覚えていない
それが分かるのは、
気にしていた、彼、
本人にしかもうわからない。
僕は少しも悪いとは思えなかった。
結局、何処かで無意識に自分も誰かを傷つけているんだと。
僕は優しいと思っていた自分の理想像で、他人からの自分像は見えてなかった。
偶にだけ元気にしてるのか気になったりする。
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