見出し画像

知っておきたいマイクの扱い方

0.はじめに

 どうもこんにちは、スマコラ職人Kです。寝椅子(@newenwere)様主催のスマブラAdvent Calendar2021にこの度参加させていただきました。お急ぎの方は3. まとめ4.おわりにの部分を見ていただけたら幸いです。

 昨日は浅島/あさじま(@Asazima_DEDEMii)様がスマサーリーグというスマブラの大学対抗リーグについて記事を投稿しております。こちらの記事も是非読んでいただけると幸いです。

 私はスマサーリーグを存じ上げなかったのですが、39校もの大学が参加していて、しかも一部リーグと二部リーグに分かれているということに感心しました。大学コミュニティの形成・持続・発展は、想像以上にその競技界隈の今後に貢献するものですので、是非とも頑張っていただきたいと思います。

1. イントロダクション

 最初に簡単に自己紹介しておきます。現在、私は修士論文にうなされる大学院生です。スマブラはもともと友人と遊ぶ程度でしたが、スマブラSP発売とともにトレモにご執心。しかし、直ぐに全く暇がなくなり、ウメブラSP3が催されるころには完全に観戦勢となっていました。そして状況は変わらず(むしろ悪化)私は今も観戦勢もといエンジョイ勢です。

 というわけで私にはスマブラの内側のお話をできません。なので外側のお話をします。ではどうして外側のお話にマイクを選んだのか?これには主に二つ理由があります。

 一つ目は、学部時代に私が音響団体に所属していて、その手の知識が人よりはあるからです。三年間でしたが、学祭の企画やダンスサークル、軽音団体まで幅広くPA(Public Address: 音響機器の設営や音響のコントロールを管理する役)を担当していました。手を抜かずに取り組んでいましたので、ある程度のことは理解していると自負しています。

 二つ目は、オフ大会等で気兼ねなくマイクを扱ってもらいたいからです。昨今オフ大会が盛んになってきていますが、そういう場で参加者も直接触れる機会のある音響機器がマイクだと思います。一時的な実況・解説や各種インタビュー等、使う可能性はゼロではないでしょう。そういった際に満を持してマイクが使えると変な心配をしないで済みますし、音響さんもヒヤヒヤしないで見守れます。

 なお今回マイクと言っていますが、ハンドマイクを想定しています(ですので暗にダイナミックマイク*1を仮定しています)。ハンドマイクを想定しますが、もちろん基本的にはどのマイクを扱う上でも注意したいことなので、ピンマイク等でも今回説明することは心がけてみてください。


*1 括弧書きの中でダイナミックマイクに触れましたが、現在よく使われているマイクはダイナミックマイクとコンデンサマイクの二種類です。少し深く知りたい方は、次のリンク先のページ等で分かりやすく説明しているのでご参照ください。
audio-technica - マイクロホンの基本構造
映像クリエイターの指南書カズノコブログ - マイクの種類と特性

なお閲覧しますと、ダイナミックマイクとスピーカーの構造がほとんど同じであることがわかります。そういうわけで豆知識ですがmic接続の部分にイアホンプラグを挿して声を吹き込むと質は悪いですがイアホンをマイクの代替にできます。どこかで役に立つかもしれませんね?

2. マイクの扱い方

 早速マイクの扱い方を説明していきます。今回は代表的にSHUREのSM58というマイクを用いて説明していきます。このマイクは音響業界における業界標準で、PAの人には「ゴッパ」などと呼ばれ親しまれています。ですので何かと見かけることの多いマイクだと思います(昔私が作成したNo Music No Lifeのコラージュ真央さんが握っているマイクも実はこちらです…。)

2.1. 握り方

 マイクは以下に示すように柄の部分を握るようにします。あまり見かけませんが、やめてほしいのはコネクタの部分を握ることです。そしてよく見かけるPA的に避けて欲しい持ち方はマイクのグリル(網々の部分)を覆うように持つことです。マイクはグリル辺りの音も拾うように設計されています。ですのでそこを覆ってしまうと音が籠りがちになってしまいます。

 避けてほしいと書いたのは、グリル部分を覆う持ち方はビジュアル系バンドなどで見られるようにカッコいいという意見もあるためです。ですのでそういったこだわりがあるのであれば事前にPAの人に伝えておくようにしましょう。特に意識なく握っているのであれば柄の部分を持つようにしましょう。

マイクを握る位置

2.2. マイクと口の距離

 ダイナミックマイクはマイクとの距離があると思っている以上に音を拾わないものです(周囲の音を拾いづらいという利点でもありますが)。SM58の仕様書に15~60 cmで自然な音質とありますが、経験上60 cmは少し遠いです。30 cmでも声のそこまで大きくない人だと遠いと思います。音源が大きい分には調整が効くのでマイクとの距離はなるべく近い方が良いです。マイクと口の距離は大体15 cm以内にしておくとそこまで声を張らずとも良く拾ってくれます。SM58のヘッドからコネクタ部分までの長さが16 cm程度なのを覚えておくとよいでしょう。

 バンドのボーカルなどでマイクに口をつけて歌っている人をよく見かけますが、迫力ある声を出すには有効です。ダイナミックマイクでは近接効果とよばれるものがあり、マイクのごく近傍(SM58の仕様書では6 mm以内)では低音域がより強く集音されます。ただ、迫力ある演出を意識していない(単純な受け答えなど)場合は、低音によって音が籠りがちになるので少しだけ離しましょう。

 上記通り、高々数十センチのずれでも音量差が明白に生じてしまうので、なるべくマイクと口の距離は一定を保つようにしましょう。少し長くなりそうなときはマイクスタンドを使うのが良いと思います(ただそういった場合はコンデンサマイクの方が有利な場合が多いですが)。

マイクと口の距離

2.3. 音量調整(Gain取り)

 マイクを使う前には、なるべくPAを捕まえるなどして音量調整しましょう。ミキサーのレバー(フェーダー)だけで音量を調整しているイメージがあるかもしれませんが、ミキサーに入ってきた音源はGain(ゲイン)というセクションに入ってきて、そこで最初に音量を調整します(Gain取り)。マイクを使う人に合わせた調整がその都度必要なわけです。

 この調整は機材担当がしてくれるのでそんなに気にしなくてもいいのですが、一つ知っておくと良いと思うのは、メーターの色です。音響機器の音量メーターは緑・黄・赤の順に程度を表しています。音量調整の時に黄色に少し振れるぐらいに調整をおこなうのが基本になるので、声を出す際にメーターが見える場合は少し意識に入れておくと良いと思います。

 ちょっとした豆知識ですが、PAの人が色々と音の調整をする際には、「ハッ!ハッ!」や「フッ!フッ!」のように「ハ行」で行うほか、「ヘイチェックワンツー」などと発音して確認するのが慣例となっているようです(私もスピーカーのチューニングという作業をする際にイコライザーをいじりながら「ハッ!ハッ!ヘイチェックワンツー!」で確認していました)。皆さんもよければやってみてください。

2.4. マイクのヘッドは叩かない!

 時々見かけるタブーですが、音が入っているか確認する際などにマイクのヘッドを叩くことは絶対にしないでください。マイクは音を電気信号に変換する機器です。あなたが大声を上げてもコップは倒れませんが、叩けば倒れます。大声を出してかなり大きな信号が得られるわけですから、叩いたらどうなるか...もうお分かりですね?同様の理由で息を吹きかけるのも避けておきましょう。

 これまたちょっとした豆知識ですが、PAの人は入力を確認する際にマイクのヘッドを軽く掻くといった慣習があります。ですので皆さんも叩かないで優しく掻きましょう。

分かりやすく説明したツイートがありましたので貼っておきます。

2.5. 他の音源の位置を把握する

 マイクを扱う上で注意したいのはハウリングです。そもそもハウリングがなぜ起こるかですが、これを説明したのが下の図になります。マイクで拾った音がアンプで増幅されてスピーカーから出力、その出力された音をまたマイクが拾ってアンプで増幅してスピーカーから出力、さらに出力...と際限なく増幅のループを繰り返して発散してしまうことで生じます

 というわけなので他の音源の位置を把握して直接マイクに向かっていないかを確認することがとても大切です。間違ってもマイクをスピーカーに向けたりはしないようにしましょう。

 またハウリングは音量調整の時に出てきたGainが大きいほど起こりやすくなります。ですのであまりGainを大きくしないように、マイクと口の距離を近くすることがハウリングを防ぐことにもつながります。

ハウリングの原理

3. まとめ

 以上のことをまとめるとマイクの扱い方は次のとおりです。

・マイクは柄の部分を持つ(コネクタ部分やヘッド・グリル部分は持たない)
・マイクと口の距離はなるべく近づける(最低でもマイク一つ分内に収める)
・マイクと口の距離は一定にする
・使う前にPAさんに音量調整(Gain取り)してもらう
・Gainがあまり高くならないよう声を少し張る
・マイクは絶対に叩かない!(息を吹きかけるのもあまりよくない)
・他の音源の位置を把握してマイクをその方向に向けない(ハウリング対策)

 マイクをちゃんと扱うのって意外に注意すべき点が多いんです。ですがこれらをちゃんと守ればあなたの声はしっかりと届きます。是非ともこれからマイクを使用する際には心がけてください。

”マイクは叩かない!”

これは特に守るようにしてください。

4. おわりに

 以上で私のお話は終わりになりますが、一つだけお約束ください。それはここでマイクの扱い方を知ったからといって、大会配信のコメント欄でしつこく指摘しないでほしいということです。各人のtwitter等で拡散する分には啓蒙としてよろしいと思いますが、大会配信で言うのは火種をまいているようなものです。「沈黙は金雄弁は銀」この言葉を贈ります。少し意味合いが異なる気がしますが、下のハンチョウのシーンを心掛けましょう。

 明日は私が密かに気に入っている、くらんそ(@kuranchM)様がFAXの仕組みについて記事にしてくれるようですので楽しみにしておきましょう!工学部の血が騒ぎます。

5. おまけ

 最近ハードロックの有名どころを聴き直していた際に見つけた空耳です。40秒頃からのサビの掛け声が"あばだんご"さんに聞こえてしまい最近の私のヘビーローテーションになっています。

参考資料
SHURE SM58仕様書 https://pubs.shure.com/guide/SM58/ja-JP.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?