タイBLドラマにハマった日本人男子の手記③ ~あの歌詞って誰の気持ち?の巻~
きっと初めまして。そして、第1回、第2回に引き続き見てくださった方、ありがとうございます。
隙あらば、BrightWinのインタビュー動画を、ただボケーっと眺めている雑食ライター・アリタケです。(タイ語未履修)
さて、今日もさっそくタイBLドラマ「2gether The Series」がいかに優れたドラマか、勝手に解釈していきましょう。
※ここからはドラマの内容にがんがん触れていくので、「これからドラマを見ようと思ってます!」という方はご注意ください。
今回注目したいのが、重要なシーンで流れてくるScrubbの曲。タインやサラワットの心情を映し出す、このドラマに欠かせないファクターです。
心情を描く要素として、初めて使われたのが3話。タインが、サラワットの家にギターを借りに行くシーンです。そこで、タインは無邪気に「(軽音部の動画に使う曲)Scrubbの『Close』はどう?」と提案します。
サラワットは一度拒否するも、結局『Close』を歌ってくれるんだから、やさしいなぁ。
その隣で、動画撮影していることも忘れ、ついつい一緒に口ずさんでしまうタイン。タインが口ずさんだサビの歌詞を見てみましょう。
たぶん君は僕に偶然会っただけかもしれない
たまたま同じ場所にいたのかもしれない
君はその気持ちを一度も感じたことがないから
そして、僕もその気持ちを感じたことがないから
あの日最初の会話を始めていなかったら
今日この気持ちを知ることはなかった
どちらも感情がどんなものか知らなかったから
だから僕らが止まる理由はない
歌い終えた後、タインは恋する少女のような表情を浮かべ、サラワットに「なんで笑ってるんだ?」と指摘され、うろたえます。まるで、この曲をきっかけに、サラワットに恋心を抱いてしまったかのように。
そもそもこの曲は、タインがサラワットに歌わせているので、曲を聞いているうちにタインの恋が始まってしまった、と捉えるのが普通ですし、その可能性もきっとあるでしょう。
だがしかし、この後もかなり長い間、タインはサラワットを拒絶し続けるわけです。ましてや、軽音部に現れた美女・プレーに恋しちゃったりします。ということは、『Close』はタインの心情ではない!?
多分きっと、そうに違いないっっっっっ!!!!!
これまでも何度も言っているように、この時点で既にサラワットはタインに恋してるんです!! 3話にして自分の家に招いちゃうほど、恋愛スイッチが入っちゃってるんです!! 再び歌詞を見てみてください。この歌詞って、サラワットの心情じゃないか。
たまたまScrubbのライブで見かけたタインに一目惚れした。初めて言葉を交わした日に「お前が落ちるまでキスするぞ」と言っていなければ、友達がとんでもないメールを返していなければ、今日の日はなかったかもしれない。
大好きな人と同じ部屋にいながら気持ちを伝えられない、あたたかくも切ない感情を知ってしまったんです。
タインの心情と捉えれば、彼自身まったく意識していない恋の訪れを感じさせ、なんともキュンキュンさせてくれます。
そして、サラワットの心情と捉えれば、彼なりに頑張ってつかみ取ったこの夜が、とても愛おしいものなのだと感じさせるのです。
1つの曲だけで、見る角度によってまったく違う心情を感じさせる演出、ただただ凄いです。
物語は進み、4話に移りましょう。
3話の最後、サラワットはタインに「俺はお前を好きってことだ」ってほとんど告白しちゃったも同然ですし、4話に入ってからも、ブルーハワイやお菓子を買ってきたり、Instagramで1番にタインをフォローしたり、サラワットの恋心は隠しきれなくなってきました。
(この時点で高校時代に出会っていたことは伏せられていたので、初見だと、どのタイミングでタインを好きになっちゃったのかは謎ですよね)
4話のメインイベント、オープンキャンパスでのライブに向けて、タインはまたしても無邪気に「Scrubbの『Everything』やってよ」と、サラワットにお願いします。
サラワットは煮え切らない感じを出しつつもOKし、『Everything』を演奏することに。しかし、いざライブが始まるタイミングで、タインはプレーのお見送りを優先して、ライブを見ません。その後、タインとサラワットはケンカしながらも仲直りし、あいみみして『Everything』を聴き、ハッピーエンド。
この4話のラストは、BL史上に残る名キュンキュンシーンですよね。
なんでもしてあげる
できる限りの全てを
そうすればどうなるかが分かるから
どんな人を好きかは関係ない
ただ俺を見て
それだけ
それだけで俺は幸せなんだ
君がどんな人を好きかなんて関係ない
現実はどうでもいい
分かるのは、君が心にいるということだけ
告白でしかない歌詞ですが、これはあくまでScrubbの曲であり、サラワットはただ口ずさんでいるだけ。タインにとっては、そう聞こえてしまう。
切なく感じますが、サラワットも決して悲しんでいるわけではないんですね。3話でタインが語った「幸せなときにScrubbの歌を聴くと、もっと幸せになる。恋をしているときに聴いたら、もっと深く恋に落ちる」を、理解するんですから。2人の恋が、ぐっと進んだラストシーンなのです。
……えっ、本当にそれで終わり!!!!!?????
僕がそう感じてしまったのは、なぜか。6話のライブシーンがあったからです。
タインが見ている前で、サラワットは『Everything』を歌い始めるのです。「この中の一人がリクエストした曲です。俺が初めて演奏した時、その場にいなかったバカな奴にささげます」って、めちゃくちゃ4話のことを根に持ちながら。
サラワットは、決してあいみみで本家の曲を聞きたかったのではなく、自分がこの曲を歌って聞かせたかったのではないでしょうか。
4話を振り返ると、ライブ直前、サラワットは過度な緊張で挙動不審になり、部長にも見抜かれるほどでした。
そして、タインがライブを見に来なかった理由を知ったサラワットは、このドラマの中で初めて怒りの感情をむき出しにするのです。これまで困惑した表情を浮かべることはあっても、怒ることのなかったサラワットが、なぜここまで感情を爆発させてしまったのか。
推測の域を出ませんが、きっと『Everything』を告白の代わりにしたかったからではないか。ずっと探していた人に出会えて、ようやく思いを伝える決心がついたから、過度に緊張した。そして、その場に現れなかったタインに憤ってしまったのではないか。
本当は自分の演奏で、自分の声で伝えたかったのだろうと思うと、このシーンがことさら切なく見えてしまうんです。恋ってままならないものだなぁと。サラワット、幸せになってくれぇ。
主に3話、4話のScrubbシーンを見ていきましたが、まだサラワットの恋心がそこまで顕著ではなかった3話、鈍感っぷりが気持ちいいタインがかなり罪深いことをしていたシーンも、オマケ的に振り返り。
まずは3話序盤、恐怖のキャラ弁を阻止してくれたサラワットを「(恋人のフリが)大袈裟すぎるんだ」と責めるシーン。
タインの無神経なひと言に、サラワットも遠い目をしてしまいます。そりゃあ好きな人からそんなこと言われたら、傷つくってもんです。
さらに、再びグリーンの魔の手から救ってくれたサラワットに対して、このひと言。
タインはとてもとても愛らしいキャラクターですが、無邪気が過ぎるぞ!www サラワットもしょんぼりしちゃうわけです。
ただ、この2つのシーンも、初見ではそこまで引っかからないはず。2周目に入ると、サラワットの凹みっぷりが顕著に見えてくるんですよね。それはBrightくんのミリ単位の表情力と沈黙力がなせる業。
ここまでで第2回よりさらに長くなってしまったので、おしまい。気になるところがあり次第、また第4回も書けたらいいなってところで、今回もここまで読んでくださって、ありがとうございます。
どこでもドアとほんやくコンニャクが欲しいよ、ドラえもん。
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