RamKingで振り返る「My Engineer」① ~Ramなりの恋ごころ~
初めましての方も、引き続き読んでくださっている方も、ありがとうございます。
Perthくんのタイ語レッスンで「ขอบคุณครับ」をマスターした雑食ライター・アリタケです。
いまだ、「My Engineer」のRamKingパートだけを延々リピートしているのですが、最終話まで見て実感したRamKingの魅力は、絶妙な距離感と曖昧さ。
最終話でも、2人の関係に決着がつかないわけです。確実にシーズン2に続く終わり方だったわけですが、それがいい。
RamとKingの関係は、友情なのか恋愛なのか、なんとも判断しがたいラインを進んでいくんですよね。それはきっと彼ら自身もそう感じていて、だから、線引きが曖昧。
恋愛の「好き」が芽生えた瞬間とか、特別な人だと気づいた瞬間とか、そういうものがまったく明確に描かれず、気づいたら特別になっていた。そして、気づいたら胸が締め付けられていた。そういう関係性だから、見ていても、切なくて愛おしい気持ちになるんです。
だから、そんなRamKingの関係を、わざわざ読み解くなんて野暮なんです。だって、すべては無意識で、感情に理由なんてないんですから。
……という前置きをしつつも、やっぱり読み解いていきたい!! そこで、今回はRam目線で、その変化をたどっていきたいと思います。
※ここからはドラマの内容にがんがん触れていくので、「これから見ようと思ってます!」という方はご注意ください。
と、その前に、僕がRamにがっつりハマったシーンがこちら。
前回ちょろっと書いた2話のこのシーン。BohnがDuenを彼女と別れる道具として利用した(ように見えただけで、Bohnは既に結構本気だったわけですが)ことに対して、それまで一度も言葉を発さなかったRamが、Bohnに食ってかかったシーンです。
友達に対する情の深さ、義理堅さにやられたんですが、同時に工学部のトップに立つ恐るべき先輩に対しても、忖度せずに「間違っている」と言える男気がよかった。
一瞬でRamの人柄を表す、いいシーンだなと。
さて、ここからが本題ですが、Ramという人はとにかく無口で無表情。序盤はセリフがほぼないですし、表情も常に一定。特に、Kingの前では頑なです。だから、なかなか感情が読めないんです。うん、まったく。
……と、諦めるのは早いっ!!!!!
言葉は発しないし、表情も時折微笑みを浮かべるくらいで、ほとんど変わらないのは間違いないですが、RamもRamなりに感情を隠し切れていないんです。そう、その隠し切れていない感情とは、照れ。
全14話から汲み取れたことは、「Ramは照れると目をそらす」という描写。
普通のことなんです。特にラブコメであれば、好きな人と目が合って、恥ずかしくて目をそらすなんて普通のこと。ですが、無口で無表情なRamにとっては、唯一の無意識下での感情表現と言えるわけです
初めて目をそらしたのは、5話のSpecial Scene。
Kingが友達とご飯を食べることの意義を語るシーンで、いたずら半分で生姜だけをRamに取ってあげるんです。そのお返しに、LINEで「実は生姜が嫌いです。でも食べました。あなたがくれたものだから」と返した直後、Kingに見られたRamはすぐに目をそらします。
4話の終盤でRamは弟にKingへの興味、むしろ好意を見透かされちゃってるくらいですから、5話の時点で恋愛かどうかは別として、Kingが気になっていることは間違いないわけです。だから、LINEで「あなたがくれたものだから」って返して照れちゃったし、Kingに見られて目をそらしちゃった。
ここで重要なのは、KingがLINEを確認してる間、RamはKingを見てたってことです。リアクション気になったのかな。Kingのお姉ちゃんじゃないけど、初心でいいなぁ。
続いて、Ramの「照れ」が垣間見えるシーンは6話。なぜか夜の屋外で宿題をしているシーン。
Kingが現れて、おもむろにRamの隣に座り、宿題を教えてくれるわけですが、RamはついうっかりKingの横顔を見つめてしまいます。この微笑みは、もう恋しちゃってるな。
そして、Kingが顔の向きを変えた時に、「あぶねっ」って感じで目をそらすんですね。この後、Kingと目が合うのですが、そこは単純に目が合っただけだからか、Ramからはそらさないんです。
同じく6話。BL史上に残るあいみみシーン。(あいみみシーンを「BL史上に残る」と言いがち)
と言いつつ、あいみみシーンの後、KingがRamのサングラスを借りるシーン。
Kingがサングラスをかけて「イケメンかな?」とおちゃらけて、Ramが目をそらすんですが、意味ありげにスローモーションになるわけです。サングラスにウキウキしてるKingが可愛くて仕方ないんだろうな、と勝手に解釈。
このシーンの直前、Kingに「後ろの女の子たち、俺たちのことカップルだと思ってるよ」と言われる時も目をそらすんですが、その時とサングラスの時とは、心なしか微妙に表情が違う。
「カップルだと思ってるよ」と言われて目をそらすのは、きっとまだ恋愛感情だと自覚していないからじゃないかと。照れたというよりは、「何言ってるんだか」の表情なのかな。
続いて、9話の照れちゃったシーンは。
Kingに「好きです、P'King」と言わされかけたシーン。これはもう完全に照れちゃってるし、きっとこの時点でもうちゃんと「好き」ですね。だから、「好きです、P'King」って言えなかった。
素直すぎて、Kingから「俺のことマジで好きなのか?」とか言われちゃうわけです。
後半は、Ramが自分自身の言葉に照れちゃうパターン。
11話では、Kingからもらったハエトリグサを「大事なものなので」と伝えるんですが、Kingのびっくり顔を見て、「うっかり言っちゃったぜ」っておかゆを食べて誤魔化すのがおちゃめ。
続く12話は、BL史上に残るあいみみシーン(またか)。
「好きですよ」と言ってから、目をそらして外の景色を見るんですね。Kingが選んでくれた曲が「好き」なのか、過去のことを覚えていてくれたKingが「好き」なのか、なんとも絶妙なタイミングでの「好きですよ」なんですね。
でも、この言い逃げ感は間違いなく後者。それで目をそらすなんて、なんといじらしいこと。
過去とのつながりの話が少し出たので、Ram側から見た伏線を少し。
1つは、BL史上に残るあいみみシーンですね。6話と12話、同じバスの中、同じ座り位置。
6話ではRamがイヤホンを貸し、12話ではKingが貸すのですが、共有する曲を選ぶのはどちらもKing。
6話ではKingが選んだ曲に対してノーリアクションだったRamが、12話では意味は違えど「好きですよ」と応えるくらいに心を開いているんですね。ゆっくりじっくり仲を深めていく2人が尊い。
もう1つの伏線は、「大事なもの」ハエトリグサ。
初登場は7話、RamがKingの家にお邪魔するシーンで、ハエトリグサの写真を見つめていると、Kingが「気に入った?」と気づくんです。
8話でKingがハエトリグサを育て始め、9話でRamにプレゼント。この構図とアングル、めちゃくちゃ美しくて好きです。
このRamの「俺、これ好きです。ありがとうございます」が、とてもいい。
RamがKingに話しかけるのは、これで3度目なんですが、ほぼ黙ってきたRamにこう言われたら、そりゃKingも喜ぶわけです。種から育てた甲斐があった。
そして、前述した11話の「大事なものなので」につながるわけですが、あいみみにしろハエトリグサにしろ、Ramにとって、自分の行動や言葉を覚えていて、なおかつ当たり前のようにギフトを与えてくれる存在は、貴重だったのではないかと想像できるんです。
明確に描かれるわけではないですが、Ramの立ち居振る舞いや家族との距離感を見ていると、そう感じられて仕方ないから。
おっと、もっと書きたいことがあったのに、既に3000文字を超えてしまった。というわけで、今回はこの辺で。ここまで読んでくださって、ありがとうございます。