タイBLドラマにハマった日本人男子の手記② ~2話はミスリード祭りです!の巻~
きっと初めまして。そして、第1回に引き続き読んでくださった方、ありがとうございます。
絶賛、タイBLドラマ「2gether The Series」という沼に浸かっている雑食ライター・アリタケです。
前回も書いた通りですが、なぜ連日連夜ドラマを何周も見続け、主演2人の出演しているバラエティ番組まで履修してしまうほどハマっているかというと、「2gether」というドラマがものすごく丁寧かつ緻密に作られているから。
というわけで、今回もこのドラマの凄さ、一度すべて見てから二度目見てこそわかる面白さを、勝手な解釈を踏まえながら見ていきましょう。
※ここからはドラマの内容にがんがん触れていくので、「これからドラマを見ようと思ってます!」という方はご注意ください。
今回、主に触れていくのは2話。メインとなるエピソードは、軽音部に入部すべく、もがくタインです。なぜタインが奮闘するのかといえば、超大学生級ギタリスト・サラワットが軽音部に入部するから。ニセモノの彼氏になってもらうため、サラワットに近づこうという作戦です。
無理くり近づこうとするタインとサラワットの攻防は、BLの王道をいく展開で、全13話の中の2話ということもあり、まだまだ序の口。2人の関係に変化なんて起こらないだろう。そう思って見始めるのが当然です。そして、2話のラストでサラワットがタインに屈服するものの、2人の関係が進展したようには見えない終わり方をします。うん、やっぱり序の口です。
ちょっと待っっっっったぁぁぁぁぁ!!!!!
「2話では変化はなかったな」と思ってしまった人は、制作陣の思うツボ。確かに進展してるとはいえないですが、2人の関係性はグルングルンと変化しまくっているのです。それが初見で気づけない理由は、台詞のなかにさまざまなミスリードが散りばめられているから。
では、そのミスリード部分を見ていきましょう。
まずは冒頭、タインが唐突に「彼氏になって」と伝えるシーン。そこでサラワットは、グリーンを煙たがるタインに対して「いつか、誰かに自分の人生に入り込んで欲しいと望むかも知れない」と訴えます。
サラワットの訴えに対して、タインが「迷惑に思う奴だと思った」と返し、サラワットは「お前が迷惑なんだよ!」と売り言葉に買い言葉。
その後、同じ軽音部にやってきたタインに対して、サラワットは迷惑そうな表情を浮かべます。普通に見ていれば、前述の会話も手伝って、「生活に入り込んでほしくない奴が、同じ部活に入ってきたら迷惑だ」という表情として受け取りますよね。
しかし、この時点でサラワットは、タインが高校時代に一目惚れした相手だということを認識しています。「お前が迷惑なんだよ!」なんてデタラメで、むしろ本心は「いつか、誰かに自分の人生に入り込んで欲しいと望むかも知れない」にあるのです。では、なぜうっかり本心を伝えてしまったかといえば、タインにこう言われてしまったから。
そう、タインは「女の子が好き」なんです。何気ないこの台詞、サラワットからすると告白していないのにフラれたも同然。(実はこの後、サラワットはショックを受けた表情を浮かべるのですが、それは動画でぜひご確認ください)
そして、大好きだけど、自分に矢印は向かないであろうタインが同じ軽音部に来てしまったことに、サラワットは困惑を隠しきれていないのだと解釈できるのです。いやぁ、素直じゃないサラワットによるミスリードで、視聴者が振り回されまくりです。
続いてのミスリードは、2話の中盤。2人でロッカーに入り密着するというサービスシーンの後、サラワットはタインを突き放します。
軽音部入部をかけたテストで不合格だったら、「俺に関わるなよ」と。初見でサラワットはタインを迷惑がっていると思っていたら、そりゃ関わってほしくないよな、と思うシーンです。
話は進み、タインは無事に入部するわけですが、そのテスト中のシーン。部長から「(ギター以外に)他に楽器を知っているのか?」と聞かれたタインは、ロマンチックなことを言います。その言葉に対して、サラワットのやれやれ顔。
ここも初見であれば、ぐいぐい攻めるタインと「これは入部しちゃうな…」とぐったりなサラワットの構図に見えます。しかし、この入部テストには裏があったことが、11話で明かされるわけです。
そう、サラワットはタインを入部させるため、部長に直訴していたのです。つまり、「もしお前が不合格だったら、俺に関わるなよ」という言葉は、サラワットによるミスリード。振り回してくれるなぁ。
入部テストでタインに「彼は僕がギターを弾きたい理由です」なんて言われて、目を逸らしちゃったのは、迷惑だったのではなく照れちゃったからでしょう。
そして、もう1つ、この2話でもっとも秀逸だと脱帽せざるを得なかったミスリードがこちら。サラワットがタインにDコードを教えるシーン。
素朴な疑問を口にするタインに、サラワットは「俺は楽しく弾きたいから」と返します。この後、タインの入部の理由を聞くのです。
ニセモノの恋人になってもらうために入部したのだと知ったサラワットは、傷ついた顔をして、この場を去っていきます。「俺は楽しく弾きたいから」と言うほど音楽を愛しているサラワットからすれば、不純な理由で軽音部に入ってきたタインに腹を立てるのは当然。そういうシーンだと解釈するのが普通です。
いやっ、ちょっと待てっっっっっ!!!!!
何度も言いますが、この時点で既にサラワットはタインに恋心を募らせているんです。さらに、2話冒頭で「俺は女の子が好きなんだ」と言われちゃってるんです。タインの入部理由は、サラワットにとって追い打ちでしかありません。音楽云々ギター云々ではなく、「やっぱり俺のことは好きになってもらえないのかな…」という不安とショックが、表情に出てしまったんです、きっと。
そう解釈すると、このほんの一瞬の表情のなんと切ないことか。ここでサラワットはごくりと唾を飲みこむんです。怒りを抑えたのではなく、きっと、涙をこらえた。2周目のこのシーンを見た時、僕がどれだけ泣いたことか。このシーンの切なさは、「2gether」全体を通してもかなり上位に入ると思っています。
真実を知らないまま、あっけらかんと見ていたかった…。ミスリード、ズルいよ…。
ここで勝手な解釈はひと段落ですが、最後に1つだけ。あらゆる要素に意味のあるこの「2gether」。ただのサービスシーンでしかないと思わせてくる軽音部の新歓シーンも、物語が進むと意味を持ってくるから凄いです。
この『ローストチキン』を踊るシーン。前にタイン、後ろにサラワットの構図。
そう、タインとサラワットの出会いも、同じだったんですよね。そう思うと、新歓中のサラワットは気が気じゃなかったことでしょう。チラチラチラチラと何度もタインを見ながら、タインが振り返ると目をそらしてしまう姿は、なんとも愛おしい。
ブレてしまうほど『ローストチキン』を全力で踊るタインを見ながら、サラワットは「こんなに音楽を楽しそうに聴く人はやっぱり見た事がないな」って思っていたことでしょう。
乗りに乗ってしまい、第1回より長くなってしまいましたが、今回もここまで読んでくださって、ありがとうございます。
はぁ、サラタイって尊い。
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