世界よ、ふるよには美しい ~象徴都々逸を読んでみよう~
都々逸を読んでくれ
ふるよに関連で訪れてこの記事を読まれている九割九分の方、はじめまして。夢野なつと申します。
突然ですが、みなさんはメガミカードを収納する小箱に書かれた「都々逸(どどいつ)」に目を通したことはおありですか?
そもそも都々逸ってなんやねん、というところから始めますと、「7・7・7・5」のリズムで詠まれる一種の詩でございます。俳句や短歌の仲間と思っていただければいいかと。
メガミ小箱にはみな、そのメガミを象徴する一句の都々逸が記されています。
たとえばユリナであれば、「近く寄るなら 刃の嵐 まさに王道 無敵なり」となります。月影落にライフをごっそり削られる瞬間が脳裏をよぎる、いい句ですね!(吐血)
冗談はさておき、箱に書かれた都々逸はたった26文字という短い言葉で、その一柱のメガミをうまく表現しているものばかりです。
これを読み飛ばすのはもったいない!
というわけでわたくし夢野は、個人的な好みで申し訳ありませんが、好きなメガミ都々逸の紹介をすることで2023年のアドカレ企画に参加させて頂きたいと思います。
戦術とか戦略とかを語るのは無理でした(弱いため)(頭が)。
ヒミカ「遙か果てから 火花に弾に 電光石火の 勝ち戦」
イケメンすぎる付き合ってくれ
ゲームデータにおいては遠距離戦を圧倒的に得意とするヒミカの情報を端的に表現しつつ、戦いの情景を目の当たりにしているかのような描写力にあふれる、私が基本セットの中でもっとも美しいと思っている都々逸です。煙が上がる決闘場の風景が目に浮かびますね。
クルル「部品整え 組み立て絡め 狂気閃く えれきてる」
こちらも情景描写とクルルの性能の表現を見事に両立させている一句ですね。上の句、下の句それぞれの末尾で韻も踏んでおり、レベル高すぎます。そして惜しげもなく使われる「狂気」という力の強いキーワード。
クルルを愛し、語るのならば邪魔な理性は振り捨てろ、というメッセージ性まで感じ取れます。
ホノカ「枝葉広げて 青雲目指し 桜花仄かに 輝かん」
枝葉、青雲、桜花という名詞をリズムよく並べて地面から空へ向かって視線を上げていく想像力をかきたて、さらには「仄か」=「ホノカ」とメガミの名前まで潜ませている粋な一句。
また、枝、雲、花と名詞の持つ生命力のようなものが大きくなっていく点は、ホノカのカードが使うごとに強化されるさまをしっかりとアピールしているものです。
ハツミ「風を見定め 舵切り進め 嵐の狭間に 光あり」
元来、航海というものは危険極まりない行為でした。様々な要因から死と隣り合わせであり、目的地にたどり着くのは命がけ。ハツミの戦いも同じです。相手の一撃が振り下ろされるか、はたまたうまく切り抜けて自分の成すべきを成すか、相手次第で展開の大きく変わる一筋縄ではいかない決闘です。
この句は、順風と逆風をうまく使い分けて戦うというゲーム的な象徴と、そんな航海や戦いを切り抜ければ光明がさし、栄光を掴み取れるという描写を両立させているものなのではないでしょうか。
レンリ「嘘にまみれよ お道化よ嗤え 黒き闇への 騙り部よ」
嘘といえばレンリ、レンリといえば嘘。「語り部」が「騙り部」と書き換えられているところがまたニクい。嗤え、は嘲笑ですから煽り殺陣のカードを連想させます。
そして深読みしていくと、「お道化」が嗤うということはすなわち、レンリ自身が道化、ピエロであるということ。かのメガミさまは己の勝ちを狙いながらも、世界を嘘のフィルター越しに眺め、達観と諦観の果てに舞う見世物を演じているのかもしれません……。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
ゲームとしてのふるよにには一言も触れることのない記事ではありますが、たまにはこんな記事があったっていいのではないかと思い、筆を執らせて頂きました。退屈でなければ幸いです。
ふるよにはゲームとしての面白さ以外にも、ビジュアルの美しさやこういった都々逸のような遊び心も仕込まれている素晴らしい作品ですので、様々な角度からふるよにを楽しむ風潮が芽生えれば私も嬉しいです。
それではみなさま、良き聖夜を。
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