「民衆を導く笠間の女神」について
「こんなに体温の上がるライブは久々だったな」
帰りに立ち寄った日高屋で 生姜焼き定食を一番搾りで流し込みながら今日のライブを反芻する。最近の日高屋は若い娘の客も多い気がするよ。
CHiLi GiRLのライブに行ってきた
先日東京青山で行われたCHiLi GiRLのワンマンライブ。9月に発売された2ndアルバム『CRAI花蕾(からい)』のリリースパーティーという位置付けの フルバンドによるワンマンショーだ。
CHiLi GiRLこと川嶋志乃舞姐さんのバンドセットでのライブに参加するのは去年以来なので随分と間が空いてしまったけど、去年も今年も相変わらず 僕が一番聴いているアーティストなのは間違いない。
彼女の音楽性が勿論好きだし、津軽三味線奏者としての活動や、自身が先頭に立ってミュージシャン仲間の輪を広げたり海外公演まで行ったりと、その行動力には尊敬の念を覚える。
CHiLi GiRLは ただ曲を作って歌うだけの人ではない。自分の夢や理想を設計図に落とし込み、着実に形にしていく稀有なアーティストなのだ。 それでいて直接お話してみると普通の気さくな明るいお姉ちゃん。
そういうカッコいい人を追っかけるのは楽しい。僕は彼女に導かれた。
表参道駅から徒歩15分程歩いて辿り着くライブハウス「月見ル君想フ」。
駅前から青山のこの辺りはハイブランドショップが数多く立ち並び、キラキラした店内が目に入るのが嫌なので早足で街を通り過ぎる。学生の頃は「社会人になったらこういう高級ブランドを買えるのかな」と思っていたけど、僕は未だ社会人にはなれていないようで。 いや、服なんて古着が一番、車は中古車が一番だよな。と思い込む。思い込め。
CHiLi GiRLは月の下で唄う
東京は夜の6時半。所狭しと手練れのバンドメンバー達がステージに揃うと照明が落ちた。CHiLi GiRLのライブが幕を開ける。
まさかの『LOVE HIT!』からのスタート。CHiLi GiRL楽曲のなかでも演奏が難しいと言われるこの曲のバンドセットの音圧で身体が熱くなるのがわかる。リズム隊は今日も絶好調だ。そして『FLY』『Secret Secret』とアッパーチューン(志乃舞姐さん曰く“チャーミング曲”)を立て続けに並べ会場の空気を暖める。
オープニング4曲で彼女は三味線を持たずボーカルで魅せる。どうしてもCHiLi GiRLというと三味線の音に惹かれてしまうが、歌の伸びやかさ 声のカラフルさは彼女の突出した魅力であり、それを改めて気付かされるのだ。
そこから彼女は相棒である津軽三味線を抱くと、いつものように楽しそうに音でダンスを始めた。満月を後光に彼女はバックバンドの音の波を集めて、それを目の前の僕達に時に優しく 時に激しくぶつけてくる。
ライブハウスでしか味わえない空気や演者の呼吸が今日は特に心地よい。いや、いつでもCHiLi GiRLのライブはこんな感じなのよね。終わってほしくない時間が続く。
GOOD BYE APRIL倉品翔さんとのコラボ曲『ONE Q』。倉品さんの声は艶っぽい。いや、色っぽい。男として嫉妬する程の歌声。そんな倉品さんとCHiLi GiRLのデュエット曲を目の前で聴いてちょっと泣いた。2つの歌声がクロスし、新たな波動として空気を震わせる瞬間 僕は泣いた。やっぱり嫉妬するわ。
『Bitter Young』ではお馴染みとなりつつある、今井晴萌さんのサックスと志乃舞姐さんの津軽三味線の音の斬り合い。と、文章にしてみると何だか分からないけど とにかく達人同士の最高の音の斬り合い。
しかし晴萌さんは細い身体なのにとんでもない肺活量だな。50メートルプールを息継ぎ無しで泳ぎきれそうな肺活量だ。
今回のライブは三味線を置いてボーカルだけで魅せたり、翻って『津軽じょんがら節』の独演で三味線プレーヤーとしての力量を魅せたりと、CHiLi GiRLのアーティストとしての幅の広さを思い知らされた。
それに何より曲が強い。2ndアルバム『CRAI花蕾』を通して聴けばそのポップセンスに触れることが出来る。僕が好きになる曲達は比喩ではなく、“色や景色が付随している”のだけれど、CHiLi GiRL楽曲はどれもがカラフルな色を纏っているのよ。
ライブを見て欲しいなあ。フェスとか出てくれれば彼女の凄さはすぐ広まると思うんだけどな。彼女がいつかデカい会場でライブが出来るようになったら客席の後ろの方で腕組みしながら「CHiLi GiRLも大きくなったな」って呟くのが僕の夢です。(後方彼氏ヅラ)
俺たちの日高屋
最近の日高屋は 金の無い若い人にとって飲み屋の代わりとなっているらしい。おじさんも多いけど。
ちょっとビールを追加で頼もうかな。良いライブの後は酔いたくなるのよね。
2024.11.17(sun)
「 LOVE SPiCE CLUB 〜for 2nd Album “CARAI” Release〜」@東京・青山月見ル君想フ
SET LIST
1.LOVE HIT!
2.FLY
3.Secret Secret
4.MAGIC HOUR
5.Ukiyo FUNK
6.Strawberry Chocolate Night
7.Scrolling Girl
8.ONE Q feat.倉品翔
9.Bitter Young
10.津軽じょんがら節
11.OTEMOYAN
12.恋する炭坑節
13.サマーロマンス計画
14.Summer Sniper
15.壊れちゃう予感がするの
16.Make You, Make Me
En1. 都会の森
En2. BYE BYE METHOD