見出し画像

「5人目の彼女に逢う」について

予約した飛行機とか新幹線に乗り遅れたことってありますか?
不測の事態が大嫌いな僕でも何度かある。「万単位の金が無駄になったー」とその直後絶望するのだが。

先日乗る予定だった山形新幹線にも乗り遅れた。新宿駅から東京駅まで向かうのに総武線か中央線に乗るべきなのにいつもの癖で山手線に乗ってしまい「まぁ時間あるし大丈夫だろう」と思っていたが、全然大丈夫ではなかった。
自分でも意味不明な行動をしてしまうことが多々ある。どうも立ち止まって考えることが苦手なようだ。前世はきっと回遊魚だったのだろう。

「とりあえず福島駅までは自由席に座って、そこから山形駅までは全席指定なのでデッキにでも立っておけばよい」と東京駅の優しい駅員さんからアドバイスを頂いたので次の列車に乗り込む。
しかし、立ってんの辛いわーと山形新幹線内のデッキに居たところ、不審者と思われたのか車掌さんに事情を聞かれ「その辺の空いている座席に座っていいですよ」とのことで結局、席に座って山形駅まで行くことができた。
世の中案外何とかなる。
それにしても山形新幹線ってゆっくり走るね。新幹線と名のつくものは全てが速い訳でわないのだな。

山形に行ってきた

秘境 山形
山形のご当地グルメどんどん焼き。カロリー無視のジャンクフードの夢が詰まっている

新幹線が到着した山形駅から徒歩約15分。山形県立博物館まで心地良い秋の風を浴びながら歩を進める。

山形名物グルメといえば芋煮くらいしか思い浮かばなかったけど、「どんどん焼き」というものがあることをネットで知った。道すがらに専門店があるようなので、そこで一番美味そうなチーズどんどんを購入。店内にはここに来た芸能人の写真が沢山飾っており結構有名なソールフードなんだなと思った。世の中知らない食べ物だらけだなぁ。
どんどん焼きは想像通りの味で、雑に言えば薄いお好み焼きを割り箸に巻き付けて、上からお好み焼きソースをぶっかけたものだ。
美味い!    けどコッテリ過ぎて体調が良い日しかこのようなものは食べられないな…胃がやられる

説明が長くても とりあえず写真を撮っておけば読んだ気になる人
ザ・博物館らしい博物館

山形県立博物館は霞城公園内にあり、山形城址は何かの工事が進行中で風情は一切感じない。天守を再建するとかすれば、それがランドマークとなって人も集まりそうな気がするけどお金もかかるしね。周りに全然人が居ないのが気になる。

こんな遠くにわざわざやって来たのはここに展示されている国宝『縄文の女神』に謁見するためだ。現在国宝指定されている土偶は5体の内、4体は先月までに直接見ることが出来た。それから間をおかず勢いのまま山形に来たのである。

国宝「縄文の女神」 
セクシーダイナマイト
説明文を熟読する真面目な観光客
展示室が秘宝館ぽい

縄文の女神は、約4500年前の縄文時代中期のもので、高さ約45cmと日本一大きな立像土偶です。
頭部は扁平な扇形で、上下に6つの乳が開けられています。顔には眼・鼻・口の表現がありません。胸部には、W字形の乳房を持ち、へそにかけての正中線は妊・像を思わせます。腰部には文様が描かれ、大きく後ろに届出しています。下方には角錐状のすそ広がりの脚部がついています。脚部の底面は3cmほどくり抜かれており、焼きむらを抑えるための縄文人たちの工夫がみられます。縄文時代における土偶造形の到達点を示す優品として、平成24(2012)年9月6日国宝に指定されました。

発掘された土偶全てに言えることだが、現代人の普通の感覚では絶対に生まれない造形に心惹かれる。この縄文の女神も意味が分からない。これだけのものを造る技術があるなら、写実的な造形物を造れそうだが縄文時代の遺跡からその類のものは一切見つかっていない。
眼前で見る女神はやはり想像以上に大きくそして細い。どっしりとした下半身と比較し、触れれば折れそうなくびれたウエストに続く抽象的に表現された上半身。
背中を指でたどりたい衝動に駆られる(?)
身長45cmと日本一大きな土偶だが威圧感は全く感じられず、長野県にある国宝土偶「縄文のビーナス」と同様穏やかな空気を纏っている。それはこの2体は明らかに女性的なシルエットをしているからであろう。菩薩像から発せられる空気感と言い換えても良い。ありがたや

この縄文の女神が展示されている山形県立博物館だが、館内には山形県の歴史や自然、文化に関するものが多数展示されている。それはそれで素晴らしいが、せっかくの国宝がその中の一展示品に過ぎないように見えてしまうのは残念だ。

縄文時代の展示物がある博物館や美術館をここ一年で多数周ったが、とても興味がひかれる施設と、自治体の予算が出てるからとりあえずやっているであろう施設が結構ハッキリと分かれていると感じた。
やる気のある施設は展示物の見せ方も工夫しているし、イベントなんかも定期的に行なっているようだ。
先日訪問した山梨県にある「南アルプス市ふるさと文化伝承館」なんかは小規模だけれど土器土偶の貴重品も多い上、そこにいる学芸員の方の熱意が凄く、個々に色々とわかりやすく説明してくれてとても面白かった。
動物園に動物好きの人が勤めていてほしいし、水族館には魚好きな人が勤めていてほしいんだよな。自治体管理の文化施設でもそうであって欲しいなと思ったのである。

とりあえず目標にしていた5体の国宝土偶に会うことが出来た。それで何か願いが叶うかと思ったが特に何も起きない。そりゃそうだ。
僕が通っている美容院の娘の趣味が美術館や博物館を巡ることで、いつもそんな話を聞いていたが、それがそんな面白いことなのかな?と正直思っていた。
今思うのは美術館も博物館も確かに面白い。決してマニアやサブカルだけのものではなかった。

日本には美術館が約1,000件、博物館が約4,300件あるという。旅行先の行き先が増えるようで楽しみだわ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?