「1625」について
あっし生まれも育ちも関東で住所を県外に移したことはない。別に地元に住むことに関してこだわりも愛着もないけど職場が県内にあり、転勤するとなると子会社のある海外となるので、自身の環境の変化が無い限りおそらくこのままここら辺に住み続けることになるのだろう。
実家はバブル期に建てられた駅からだいぶ離れた小高い森を切り開いて無理やり造成されたような新興住宅地にある一軒家で、最寄り駅までバスで30分弱。自転車だとアップダウンの激しい道をいくつか乗り越え、更に田んぼの中のひたすら長い道を向かい風に煽られながら(駅から300メートルは離れた市営の)駐輪場に辿り着いてから更に歩いての最寄り駅だ。そりゃ通学が嫌になって大学を5年も通うはめになるわ。
学生時分はえらい不便なところに家があるんだと思ってたけど、家が駅から遠いとはいえ電車一本で東京まで出られるし、学校を卒業して就職するとなってもわざわざ東京に引っ越すという人は居なかったような気がする(県内から通うという意味で)。東京はすぐそこにあるので、ここは『上京』という行動が縁遠い地域であると思う。
”地方から東京への転入者数は2018年度で約46万人で、転出者数の約38万人を引くと、単純に東京の人口は1年間で約8万人増えている”
1625
さてタイトルの『1625』についてだが、こちらは皆さんご存知の青森県にある岩木山の標高ですね。まぁそれは後から知ったことでRINGOMUSUMEさんが2019年にリリースしたアルバム『FOURs』に収録されている曲のことでもあります。軽快なギターリフから始まるパワーポップで、ライブでは観客と共に拳を振り上げる振りが場を盛り上げる(一回しか生で見たことはありませんが…)
僕はこの曲が凄く好きで、よく出勤中の車の中でこの曲を流しながらリズムに合わせ拳を大きく振り上げている(車の天井が低いのでちょっと嘘)。
メロディ以上に印象を残すのはこの歌の歌詞である。軽快なポップソングと思いきや内容は「上京したけど、もうこんな東京に居るのは嫌だし地元に帰りたい。でも応援してくれている人も居るし、負けるのも逃げるのも泣くのも止めよう」ざっくりするとこんな感じの内容です。これは住み慣れた街や、大切な人から離れて頑張っている人への応援歌とも受け取れる。
地方から一人上京した若者の希望と現実と葛藤。離れてみて初めて分かった実家のありがたみ、地元の澄んだ空気、いつでもそこに居るだけと感じていた岩木山の美しさ。田舎の無い僕にはわからないけど、帰れる場所が美しいって羨ましい。羨ましいぞ弘前。
ノスタルジーを歌うのは東京人には出来まい。この曲を地方在住のRINGOMUSUMEさんが歌うことで更に意味を増す。グループの活動理念である「青森のために活動する」というのは「この街を離れてしまった人も応援する」という意味を含むのではないかと、この『1625』という曲から思うのです。
去年の9月に弘前に初めて行ったけど、岩木山と青空とりんごの木の緑とりんごの赤い果実のコントラストがとても美しかったです。
りんご公園の近辺を散歩していたら、林檎の収穫をしていたご夫婦から声をかけられて、「これ持ってきな」と真っ赤な林檎を2個貰った。その日に泊まったホテルでかじったそれはとてもとても美味しかったよ。