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「午後の興居島で」について

松山はけっこう都会で 路面電車が通りを走るこの城下町はどこもかしこも観光客だらけで平日でも賑わいは途切れない。

先日訪れた愛媛県の松山市内はあからさまに韓国人が増えてるなと感じたけど、理由としては韓国と松山空港の間でLCCが運行されていて、飛行機で3時間程の日本に挙って訪れるのがちょっとしたブームらしい。空港から中心街までバスで20分という近さもあるし、松山城や道後温泉などの(日本を感じられる)名所が集まっている街というのも分かりやすく楽しめるのだろう。

松山の中心街は東京風味
踏切で電車が通過するのを待つ電車が見られる大手町駅前。「ゴールデンクロス」とも言われ、なんとも聖闘士星矢っぽさが

それはそうと路面電車が走る街にずっと住んでいる人には分からないだろうが、僕にとって路面電車は見るのも乗るのもテンションが上がる非日常の乗り物だ。地元には路面電車なんてものは無かった。
道路に線路が続いていているのが普通じゃないし、そもそも車と列車が一緒に走っているのが異次元だ。その異次元列車に現地の人が普通に乗りこなしているのも変な感じ。
調べてみると日本国内では17都市に路面電車が走ってるというが、なんだかんだで宇都宮と岡山の電車以外は全部乗ってるかと思う。普通の電車に乗ることは興味はないけど、路面電車はなんか好きなんだよな。モーター音を聞きながらトコトコガタガタ揺れる車窓から見える街はどこか違うのだ。

   
 


興居島(ごごしま)へ

愛媛県松山市興居島(ごごしま)

松山に来た観光客は何をするべきか?
鯛めしを食べる。道後温泉に浸かる。松山城までおっかなびっくりのリフトに乗る。それも良いが、取り敢えずは離島に行くのが僕のマストだ。

松山市駅から高浜線で終点の高浜駅まで約30分。駅の近くのフェリーターミナルからフェリーで約15分『興居島(ごごしま)』に辿り着く。郊外とはいえ電車もフェリーも運行本数が結構多いのでそんなに不便はない。
なんでここに行こうかと思ったかというと、松山近辺の地図を見ていたら『興居島』という読み方が分からない地名が目に入ったからだ。
「きょいしま?」「こうきょしま?」  よくよく調べてみると「ごごしま」が正解で、なんか悔しいし興味を持ってしまったその興居島に行ってみるかとなったのだ。

レトロ感あふれる高浜駅

お昼過ぎに松山市駅からオレンジ色の電車に揺られて高浜駅へ。

愛媛は“みかん推し”が凄いので電車も駅舎の柱もみかん色だ。そういえば松山市駅で駅員さんに「ここの電車はSuica使えますか?」と聞いたら「まだSuicaは使えませんが“みきゃん”がどうこう…」と言われて「??」となり結局現金で切符を買ったのだが、愛媛県ではSuicaのような「みきゃんアプリ」という決済アプリがあると後に分かった。
しかし買い物で支払いの際に「みきゃんでお願いします」と店員さんにいうのはちょっと恥ずい気がするけど。強面のおじさん も地元のヤンキーも 昨日実家が全焼した人も「支払いは“みきゃん”で」と言っているのだろうか?

そんな みきゃん溢れる高浜駅舎から道路を挟んですぐにフェリー乗り場がある。船の待合所には地元の方々で溢れていて、島暮らしといえど このフェリーのおかげで松山方面まで買い物や仕事に通うのは比較的容易なのかなと思わせる。
興居島行きのフェリーは珍しい形をしていて、乗客は船の左右にある細長い客室に押し込まれる。さらに珍しいのは運賃は船が出航してから船員さんに運賃を払い、更にに島内のレンタサイクルの貸し出しも船内で申し込む。色々と仕事をこなしているここの船員さんは大変だ。

フェリーで興居島を目指す
由良港(ゆらこう)と泊港(とまりこう)が興居島の玄関口。1日14往復もフェリーがあるのでそれ程不便は無い

興居島に降り立ったら、レンタサイクルの管理もしているさっきのフェリーの船員さんから自転車を借りる。
島内に公共交通機関は無いので観光客向けのレンタサイクルは需要が結構あるらしく、「平日なんで普通に借りられるだろう」と思っていた僕がギリギリ借りられたくらいの台数なので、自転車を借りる予定の人は事前予約しておいた方がよいですね。

さぁ出発だ。
といったところで特に目的地もないので由良港から南の方を回ってみることにした。自転車で走っていて気付いたのだが、ここ興居島はみかん栽培が盛んで当然みかん畑は山間にある。山の斜面があるからみかん栽培が盛んというわけで、その斜面だらけの道を進むには電動自転車といえどもかなり体力を奪われる。観光しにきたはずなのに、何故こんな汗だくにならなければならないのか。

広がるみかん畑

興居島で栽培されるミカンはブランド銘柄として有名だという。ここは柑橘栽培にとても適した島らしく急な山の斜面にこれでもかというほどミカンの木が植えられている。栽培する人も気を抜くと瀬戸内海まで滑落しそうなほどの斜面だ。
時期的に収穫時期ではなかったのは残念なので、今度通販で探してみよう。そういえばミカンって何年も食べてないなあ。野菜と果物不足なのは間違いない。

正岡子規の句碑らしい
海に突き出た所にある弁財天神社

海岸線の幹線道路を走っていてもすれ違う車は少ない。歩いている年配の方とはよくすれ違う。  日本の少子高齢化というものは地方に行くとよく実感出来る。この愛媛県の離島の住民も高齢化が進んでいるようだ。港そばの公園のベンチで将棋を打っているおじいちゃん達は平和だ。

高知でレンタカーを借りた際に、店員さんから「郊外に行くと高齢の運転者が多いので周りの車には気をつけて」と釘を刺された。そんなことあるかと思ったけど、四国内を実際運転していてヒヤリとすることが何回かあったのでそのアドバイスは正しかったよ。
「老人が運転する車の誤発進で店に車が突っ込んでこないように、駐車場の車止めが高くなっている店もあるので駐車する時 後ろに下がりすぎないでね」というアドバイスも頂いた。確かにそんなコンビニもあったな。

🍊の島

この日は曇り空だったが、それでも海の綺麗さは計り知える。穏やかな海辺は夏になると海水浴客で賑わうようだ。
海辺の堤防に座って波の音を聞きながら帰りのフェリーまで時間を潰していると、なんかどうでもよくなってくる。こんな静かな土地で老後を過ごすのもいいかな。

フェリー待合所のボス
家に帰ろか

やはり離島は楽しい。
近代化でそれは薄くなったとはいえ、外界と遮断された独自の文化や歴史が垣間見れる離島は非日常空間を体感できる。日常に疲れたら離島に行ってみるのも楽しいかもしれませんよ。

 

 


みきゃんちゃん
犬か?熊か?

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