前髪
私にとって出先で忘れたらかなり困るものの一つがコームである。
中学時代に前髪を作ってから前髪を上げたヘアスタイルをしたことはない。結構なくせ毛なこともあって頻繁にぐっしゃぐしゃのちょっと恥ずかしくなるような形になってしまうし、雨の日は本当に最悪で前髪のコンディションである程度天気分かるんじゃないかと言いたくなるほど四方八方に散らばってしまう。湿気が多い日はストレートアイロンをどれだけ使ってもまっすぐにはなってくれない。頑固なのは私の精神だけで十分なのだが。。。
いくらぐっしゃぐしゃであっても前髪を上げるというのは抵抗があるらしく、目にかかる鬱陶しさもセットのめんどくささも整えてもすぐ乱れてしまってテンションが下がることを考慮してもやっぱり前髪を作りたいらしい。今は眉毛のメイクがちゃんとできてないのがばれるのでやっぱり前髪は欲しいなとも思ってしまう。乱れた前髪も眉毛のメイクの下手くそさと同様にぶしょったいというかテンション下がるものなんだけど。
顔の好みというのは誰しも存在するのであろうけど、私にとっては前髪がそれに相当するのだろうか。前髪を流している人のことももちろん素敵だとは思うけど、やっぱり好みとして前髪がある人の方が可愛いと思ってしまうらしい。見慣れなさという要因はあるにしてもやっぱり自分のことを鏡で見た時も前髪があった方がいいなと思ってしまう。同じ人でも前髪を切った人の方がいいなと思ってしまう。個人の好みの問題だし、前髪がある方が好きだからといってそれを他人に強要するとかは絶対にしないけど、心の中ではどうも思ってしまうらしい。
ただ、この前髪のあるヘアスタイルで唯一(かどうかは分からないが)問題だと思うのが、前髪がどうなっているか、いちいち確認してしまうという悪癖ができてしまったことだ。女の子はみんなおしゃれに気を遣うものなんですよ!と言ってコームやミラーだけでなくケープやコードレスのヘアアイロンを持ち歩いて整えている様を見るとなかなかすごいなと思ってしまう。良いか悪いかと言う問題ではなく。ちなみに私はコームやミラーは持っていても余計な荷物が増えて面倒なので携帯用ヘアアイロンは持っていない。だいたいこの手の携帯用ヘアアイロン、温度設定が高いのしかなかったりするし(今まで美容師さんには全員からアイロンは低めの温度にしてくださいと釘を刺されている、髪質の問題だろうか)。ディズニーとかUSJとかの観光地系で写真をいっぱい撮るようなところはまだ分かるが、学校にまでヘアアイロンを持ち込むのはその美意識の高さに尊敬すると同時に自分はやろうと思わないと引いてみてしまう節があったりする。
まあでもそんな美意識の高く常にまっすぐ下に落ちた整った前髪を目にしていると嫌でも自分の前髪が気になってしまうのも道理だろうか。割とすぐ乱れてしまう前髪を無理やり手櫛で整えつつ、コンプレックスと自分の好みとの狭間で余計な悩みが渦巻いてしまう。
とはいえ以前は前髪が整っていなかろうがぐっしゃぐしゃであろうがそこまで気にしていることはなかったのだが、中学時代に部活の友人に「○○ちゃんって前髪いつもくるくるだよね、それが○○ちゃんぽくってかわいいんだけど」みたいなことを言われてしまったのがよくなかったのかもしれない。当時は話題の一つとか誉め言葉とかとにかく純粋というか天然というかでそんなに気を悪くせず受け取ってはいたのだが、今思えば多少のイジリ要素とかもあったかもしれない。悪意は…1%くらいあったのかも。知らんけど。
ただ言われてしまうと気になってしまうのが人間の性で、それ以来くるくるの前髪とやらは恥ずかしくなってしまったし、トイレなどに行くたびに自分の前髪を気にするようになってしまった。挙句の果てには車の反射とかですら確認してしまう始末である。何というか、ここまでくると生きるのに窮屈してそうだなと思ってしまう。
今の私が他者の目線を必要以上に気にしてしまうのも、これが原因なのかもしれない。本来は自分が好きだから前髪を切っているはずなのに、いつしか他人がどう見ているかということを確認する指標になってしまったようだ。この問題も前髪を流せば解決するのかもしれないけど、コンプレックスと自分の好みの天秤は、まだまだ後者に傾いている様である。