インスタントで稚拙なビジネス本の答えに飛びつかない
ここ2年くらいいわゆるITのそこそこ安定基盤のあるベンチャー企業で役員をやっていて、とても違和感のあることを書きます。
経営者はすぐ使える成功事例に飛びつく
2000年前後のいわゆるIT革命とかその後のITバブルで戦っていた方が現在IT界隈で経営に関わっているケースが多いのですが、そういう人ってプロダクトを作ることには長けているけど組織マネジメントやファイナンス系の経営には経験不足。しかも、そこそこ上にいるから教えてくれる人も少ないし周りにいるのは都合のいい刺激を与え合う集団だったりするので、結果自分を経営者としてストレッチな状況にする課題設定ができない。
IT業界の経営が原点回帰してきた不都合
IT業界に最近「パーパス」が流行ってきていますが、これって理念経営を言い換えているだけなんです。GAFAなどの動きがIT業界の経営スタンスにすぐ影響するんですが、パーパスへの舵切りはかなり難易度が高いです。なぜかと言うとフレームでは解決できないから。ビジネスの根幹どころか、会社としてのミッション/ビジョンを見掛け倒しにせず、KPI設計をし、その上で売上利益を上げて社員を養っていくということなので、実際にそれに耐えうる経営能力を持っている人ってほぼ居ないです。
優秀な人を集めてから何をするかを決めるのも手
最近は人材不足が大きな事業課題です。どんなに崇高なミッションやビジョンでもその実現可能性を突き詰めていくと持っているリソースの限界を突きつけられます。そこでミッションをスケールダウンさせていくしかなくなります。また、優秀な人材ほど引き手数多で自分のビジネススタイルやライフスタイルに応じて働けますし、もっというとある程度結果出した人はフルコミットしなくても十分に生きていけるんです。なので、今後は優秀な人が集まりやすいミッションを掲げて、そこで資本を活用してグロースさせていく小ユニットな会社が増えてくると私は思っていて、個人的にも実験を年内に開始しようと思っています。