BATTLE4 エナジーなめたけ
1980年代。
香港ペニンシュラホテルのレストラン「嘉麟楼」の料理長、許成はXO醤をこの世に送り出した男として永遠に料理界にその名を記憶されることとなった。
伝説の男に、なりたい。同じ一人の男として。
エナジーなめたけを試作します。
挽き肉と刻んだにんにくを炒めます。
エノキタケを投入。
調味料とともに熱を通していくだけで、あのなめたけのテロンとした食感と味が生まれるのは不思議で面白いですね。
できたてホカホカのなめたけは独特の美味しさがあるので、ぜひレシピを調べて試作してみてください。簡単でおいしいですよ。
さっきのひき肉とにんにくは完全に要りません。(もっとも、簡単にアレンジできるのが、なめたけの良さではあります。お前も新世界の王となれ…)
これが!俺のエナジーなめたけの秘密さ!!
…なんだこりゃ?熱されたレッドブルからバニラのような洋菓子系の甘い香りが漂いだしたぞ。
雲行きが変わってきたわね。
ビール煮とかコーラ煮ってあるじゃないですか。そういう感じでね、ちょっと味にパンチがあって元気が出る、洋食にも合うなめたけができるはずだったんです。
理論上もそんなに不味いものになるはずない材料しか入ってないと思ったんだけど…香料、かぁ…
試食。
あっま!はじめに砂糖入れたの完全に余分だ!いらん!
そしてこの香りが、麺つゆの出汁味やニンニクの匂いを完全にマスクしてしまっています。
良く言えば、上品。
だが悪く言えば…風味はどこへ消えた?
緊急事態です。
調味料の入れすぎが問題なら…更に対抗する調味料を入れればいい。
酢を当初想定量の2倍に追加。
醤油小さじ2杯追加。
顆粒貝柱だしを小さじ1杯追加。
いけるか?
あれーッ!?いきなりぐっとうまくなったぞ!
陸海空のアミノ酸が玉突き事故を起こし、過剰に美味しくなってきた!
これは成功かもしれんね。
まあ、レッドブル入れた効果があったのかどうかは正直…
結果発表。
火からおろして実食したところ、「味は完全になめたけなんだけど香りはショートケーキ」という謎の物体になっていました。脳が混乱するよォ!【完】